研究課題/領域番号 |
23K21961
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補助金の研究課題番号 |
22H00689 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03010:史学一般関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
丹羽 謙治 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (40264460)
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研究分担者 |
佐藤 宏之 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (50599339)
山内 利秋 九州医療科学大学, 薬学部, 准教授 (20351942)
有馬 晋作 鹿児島大学, 法文学部, 客員教授 (20382450)
金井 静香 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (30295232)
伴野 文亮 鹿児島大学, 法文学部, 特任准教授 (60865624)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,250千円 (直接経費: 12,500千円、間接経費: 3,750千円)
2025年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
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キーワード | 歴史資料保全 / 地域史 / 歴史リテラシー / 文化財 / 郷土史家 / 史料ネット |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は近年地震や豪雨災害が頻発するなかで、歴史学と社会の新たな関係性を創出する試みとして、高齢化が進み人口減少が続く南九州の宮崎・鹿児島両県を対象に、地域資料の保存、レスキューをキーワードとして、来るべき災害に備えながら、地域の住民が自ら積極的(能動的)に歴史資料を把握し、それを守り伝えていくために資する活動を、研究者と市民の垣根を可能な限り低くしながら展開するものである。
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研究実績の概要 |
本研究は、歴史学と社会の新たな関係性を創出するため、1.歴史リテラシーの獲得を目指す実践プログラムの開発、2.郷土史家の営みの検証(顕彰)と復元、3.歴史資料の位置情報の高度利用化、4.研究者と市民の協働によるテキストの開発を通じて、能動的市民性を涵養することを目的としている。 令和5年度は本研究の2年目に当たるが、上記の4つの柱のうち、1、2、3が中心となった。「1.歴史リテラシーの獲得を目指す実践プログラムの開発」については、昨年度に引き続き、宮崎県佐土原町にゆかりの古文書群「能勢直陳家文書」を、佐藤宏之准教授が責任者となってこれをウエッブ上で翻刻、研究するシステムを設定し、一般の参加者を募り、古文書リテラシーの涵養を図った。「2.郷土史家の営みの検証(顕彰)と復元」については、令和5年に生誕150年を迎えた鹿児島の郷土史家・加藤雄吉の業績について取りまとめを行うとともに、加藤が著した旧薩摩藩士の人物誌の入力を精力的に行った。寄託資料の敬天舎の蔵書について、関連する自治大学校の床次文庫の調査を2回実施した。 資料保存に向けた実践的な活動としては、山内准教授を中心に、宮崎歴史資料ネットワークに協力して宮崎県門川町の旧家の母屋と蔵に所蔵されている資料レスキューを行うとともに、当該地域が南海トラフ地震による津波の危険性が高い地点に位置するところから、大規模災害を想定した自治体職員、文化財保護関連団体、教育機関等関係者に災害時における資料の救出のトレーニングを行うイベントを開催した。また、9月7日には宮崎県高鍋町において災害時を想定したDIG(Disaster Imagination Games)を企画、高鍋町職員を中心に文化財関係者に呼びかけて実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ感染症がほぼ終息し、社会の動きが回復することで、宮崎歴史資料ネットワークと鹿児島歴史資料防災ネットワークとが連携を図り、鹿児島県と宮崎県の両県にまたがる歴史資料保存の課題について、地域の市民や行政を巻き込んだ各種のワークショップや資料レスキューを複数回開催することができている。一方、地域に存在した資料に対して、目録作成や調査・分析が少しずつであるが進み、次年度または再来年度に向けて目録の完成に目途が立ちつつある。また、資料の整理を依頼される件数も増え、中には数量の多い資料群を依頼されるケースも出てきており、整理に向けた体制づくりが課題となっている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究も3年目に入り、成果を公開して地域に還元を図っていく準備をする時期に入ってきた。イベントとしては、従前どおり資料保存や自然災害から資料を守る活動に資するDIGやフスマ剥がし、修復技術の講習会などを開催していく。また、ITを利用した文化財の位置情報システムを利用した資料防災のあり方を検討する。 歴史資料保存および地域の歴史を掘り起こすテキストを作成するための資料収集を早期に行い、まずは地域に根差した歴史と資料に関するテキストのパイロット版を作成したい。また、地域の郷土史を担ってきた研究者(郷土史家)の顕彰については、九州本土のみならず離島地域をも対象とし、郷土史家が集めた資料の整理・公開にとどまらず、郷土史家が果たした役割を郷土の人々が認識できるようなイベントの開催、出版物の公刊を行っていく予定である。
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