研究課題/領域番号 |
23K21965
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補助金の研究課題番号 |
22H00693 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
外村 大 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (40277801)
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研究分担者 |
中山 大将 北海道大学, 経済学研究院, 准教授 (00582834)
伊地知 紀子 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 教授 (40332829)
加藤 恵美 帝京大学, 外国語学部, 准教授 (60434213)
岡田 泰平 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (70585190)
山下 英愛 文教大学, 文学部, 教授 (80536235)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
13,390千円 (直接経費: 10,300千円、間接経費: 3,090千円)
2026年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2025年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 歴史認識 / 戦後補償 / 韓国 / 市民運動 / 人権問題 / 歴史問題 / 日韓関係 / 在日コリアン / 人権 / 植民地主義 |
研究開始時の研究の概要 |
この研究では、1970~80年代において、朝鮮植民地支配や戦時動員での人権侵害への補償や不平等な関係の清算をもとめる、日韓の市民の協働の取り組みについて焦点を当てる。国境を超えて人びとがどのように関係を作って運動を展開したかや、そこで生じた問題、それぞれの国にどのような社会的影響を与えたかなどを、当時の市民運動団体の文書や、活動に参加した人びとの証言などから跡付け、分析していく。同時に80年代までの市民の活動が1990年代以降の戦後補償要求とどのように連続性を持つのかや、今日なお課題となっている歴史問題解決に示唆するものが何であるかを考察していく。
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研究実績の概要 |
今年度は、主に研究代表者および分担研究者がそれぞれの課題に関する先行研究の整理の継続および史料収集と分析を進めた。外村は、歴史否定の言説を生み出した、冷戦以前の日本における民衆意識の問題などについて分析を進めた。伊地知、岡田と中山はそれぞれの課題(済州4・3事件、フィリピンでの戦争犯罪、サハリン残留者の引き揚げ問題)の前提を再確認する作業を主に続けた。そして、各自が、4・3事件真相究明の活動の基盤となった済州島と日本の済州島出身者コミュニティを結ぶの越境的なネットワークの歴史、戦前戦中のフィリピンの地域社会と日系人の活動、戦後のサハリン近現代史の先駆的な研究の再検討についての論文を、2023年度中に発表している。このほか、加藤は在日コリアンの権利確立運動の先駆的な取り組みを行ってきた川崎市桜本の関係者の協力を得ながら調査を続け、その経験が今日、現在にどう受け継がれているかの分析を行っている。山下は、近年の韓国でのフェミニズム、慰安婦問題解決運動の再検討の研究動向を摂取するとともに、韓国の研究者との議論を深めている。 また、本科研の主催ではないが、東大韓国学研究センター主催の日韓の歴史問題についての若手研究者による研究会が継続されており、冷戦期の歴史問題についての報告もいくつかあった。科研プロジェクトメンバーもこの企画に積極的に参加し、近年の新たな研究動向についての理解を深めた。 これ以外に、冷戦期の市民運動にかかわる資料の整理も順調に進展している。まず、田中宏一橋大学名誉教授所蔵資料の整理については、全体の3分の2程度についてデータベース化が進み、重要資料のスキャニングにも着手している。なお、田中宏氏以外の市民運動関係者からも冷戦期の在日コリアンの権利擁護運動に関する資料の提供を受けており、その整理も開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
残念ながら2023年度は、研究代表者・研究分担者が、全体で対面での討論を長時間進める機会は設定できなかった。しかし、適宜、情報交換を行い、それぞれの関連分野に関する知識共有や分析視角についての議論を進めた。その結果、前述のように、各自がそれぞれ、設定したテーマに関する論文や学会発表を行うことができた。 また、田中宏一橋大学名誉教授の所蔵する史料については、整理の進行によって、特定の課題や市民団体、同じミニコミなどについての、通時的な動向を見ることが可能となった。これによって、ある運動や団体の活動の生成、発展と終息について把握し、より深い分析を提示する段階に入ったと考えている。 また、論文としてまとめる段階ではないが、いくつかの課題に関連して、研究代表者、研究分担者はそれぞれ、国際学会での研究発表を行っている。それを通じて得た国外の研究者との交流、問題関心の共有によって、今後、国外、特に韓国でのこのプロジェクトに関連する研究調査を展開する足掛かりを築くことができた。 これ以外に、国内でのクローズドの研究会であるものの、東京大韓国学研究センター主催の若手研究者の研究会への協力・参加も、本プロジェクトに関連する新たな分析視角を得る契機となった。このことは、歴史研究者や社会学研究者の間で、歴史問題解決の市民運動の歴史を捉えなおそうという気運を醸成し、関連分野の研究の活性化を期待することができる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度以降も引き続き、各自が担当する研究テーマについての史料収集と分析を進める。また、田中宏一橋大学名誉教授等の所蔵する、1970~80年代の歴史問題解決に関する市民運動団体の資料の整理についても継続するとともに、重要資料に関してはスキャニングして関係者間での共有、共同での分析も行う。前年度からの継続としては、歴史問題解決の市民運動について研究している若手研究者の研究会についても、可能な限り参加・協力し、新たな研究動向の吸収や情報交換に努めたい。 今年度の取り組みとしては、まず、このプロジェクトに参加する研究者が全体で集まり、長時間討論する機会をなるべく早い段階でそれを設定したい。その際には、この研究課題の「終点」を見すえて、論文集の作成の準備についても議論を開始する。なお、プロジェクト参加者の全体の討論と合わせて、合同での資料調査やフィールドワーク(例えばサハリン関係の資料が豊富な北海道大学図書館での調査、済州島民のコミュニティや在日コリアン関連の資料館等の見学、韓国の女性団体訪問など)を実施することも検討している。 なお、このプロジェクトは、冷戦期の市民運動の研究であり、それに携わっていた当事者が現在でも活躍しているし、問題解決のための継続的な努力が続けられている運動課題もある。したがって、関係者を交えて議論を交わすことも重要である。そのために、2024年度中には、研究発表とそれに対する市民運動に携わる当事者のコメントを軸とする国内シンポジウムを開催する。さらに来年度以降は、韓国や類似の歴史問題、市民運動の展開が存在したそれ以外の国の研究者を招いて、国際シンポジウムも準備していく。 そのような活動を通じて、さらに分析を深めて、論集刊行も含めて、研究成果を公開するつもりである。
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