研究課題/領域番号 |
23K21980
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補助金の研究課題番号 |
22H00708 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
水野 博子 明治大学, 文学部, 専任教授 (20335392)
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研究分担者 |
穐山 洋子 同志社大学, グローバル地域文化学部, 准教授 (10594236)
小澤 弘明 千葉大学, 大学院国際学術研究院, 理事 (20211823)
浜崎 桂子 立教大学, 異文化コミュニケーション学部, 教授 (40296421)
荒又 美陽 明治大学, 文学部, 専任教授 (60409810)
佐藤 公紀 明治大学, 法学部, 専任講師 (70586536)
姉川 雄大 長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (00554304)
渡邊 昭子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (20293144)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | Wien-Berlin-Budapst / Ethnicity/Race/Nation / History of City / Historiy of Migration / Global Colonialism / グローバル・コロニアリズム / 移民 / ジェントリフィケーション / エスニシティ / 人種イデオロギー / 民族 / 国民 / ネーション / ウィーン、ブダペシュト、ベルリン / 都市移民 / 住空間 / 二重の不平等 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は、グローバル・ノース=〈北〉の都市内部に潜む二重の不平等(「空間的-社会的不平等」)を、特に中欧の大都市――ウィーン、ベルリン、ブダペシュト――における移民と住空間の関係からの比較検討を通して考察する。その際、移入民の歴史的把握に重要な鍵概念【I. nation/nationality/1870-1920年代|II. race/1920-1950年代|III. ethnicity/1960-1990年代|IV. ethnicity/race/1990年代-】を設定、精緻化し、より大規模なグローバル・コロニアリズムの都市比較史研究に向けた基盤形成を目指すものである。
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研究実績の概要 |
22年度は研究計画の初年度として、研究対象・地域及び移民世界に関する情報共有と研究分析視角の検討を行なうために、2度の研究会を組織した。第1回は、協力者で地理学者の小谷真千代氏が、本研究課題にとって重要なフィールドである都市空間とそこに作り出される人の移動、なかでも貧困層の移動の問題について、グローバル・コロニアリズムの視座から検討する際の理論的、実践的な知見を提示し、議論した。その結果、従来コロニアリズムに関する歴史学的研究では、植民地における定住を前提に議論することが多かったが、グローバルな移動を分析の主軸に据えることにより、コロニアルな支配―被支配の関係を固定的にとらえるのではなく、まさに定住を促すはずの都市内部の住空間編成を流動的かつ越境的に考察する必要性が共有された。また、分担者及び協力者全員が構想発表を行ない、研究対象とする都市と扱う時代に関する情報共有を行なった。第2回は分担者の浜崎桂子氏が、ベルリン・クロイツベルクという都市空間の成立の歴史と同区の文学作品における表象のありようについて、「暴動」と「多様性」の観点から報告し、ジェントリフィケーション問題を検討する際に留意すべき社会都市ベルリンの特殊性に関する共通認識が確認された。また、協力者の山崎信一氏は、Le Normandの研究を手がかりに、ウィーンを含むヨーロッパの主要都市に散らばる旧ユーゴスラヴィア移民を送出国=祖国・社会主義ユーゴスラヴィアがどのように認識していたかを分析した。これにより、メディア、アソシエーション、母語教育などを通じて形成されていた両者の相互関係からグローバル・コロニアリズムの中の移民問題を捉える重要性が共有された。また、今後の研究の進め方に関するコンセプトの発表と打ち合わせを行なった。これらの準備を踏まえて、23年度以降に本格的な現地調査を行うための研究計画の確認を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、研究開始の前提として、時代区分〔I. nation/nationality/1870年代-1920年代|II. race/1920年代-1950年代|III. ethnicity/1960年代-1990年代|IV.ethnicity/ race/1990年代以降〕を理論的に整理し、各都市への応用可能性を議論することができた。 調査対象のウィーンとベルリンについて、移入民の位置価値を史的段階的に特定するため、特に、移入民の出身国・地域の変遷や、移動目的・ルート、ホスト都市における労働市場等に留意して調査結果を共有できた。特に旧ユーゴ出身の移民の観点から検討を行なった。一方、ブダペシュトのほうについても主に地理学の成果をもとに協議し、社会主義期からの住宅建設の問題を取り上げつつ、その後に進展する1990年代以降のジェントリフィケーションについての先行研究をも精査し、次年度以降の現地調査のための下準備を行なった。23年度にはブダペシュトに関する研究会を行なうプランを立てており、そのための準備を開始した。 また、今年度は予定していた通り2回の研究会・ワークショップを開催し、各調査対象都市に関する研究の方向性と方法の確認及び進捗状況を共有できた。
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今後の研究の推進方策 |
23年度以降も時代区分とそのための理論化を進めていく予定である。それと同時並行で、各都市についての移民の社会状況について情報の蓄積を分析していく。特に、二重の不平等のうち空間的不平等についての検討を開始し、「社会都市」化の過程で行われた三市の都市改造と住環境の変遷を跡づける作業に取り組む。その際、移入民集住地域の住環境(緑地帯面積、一人当たりの居住面積、環境汚染、気候変動等)について、先行研究の検証と現地調査、都市計画に影響を及ぼす統計データ、関連学術雑誌の収集・解析を行う予定である。現地調査については新型コロナウィルス感染症拡大状況を注視しつつ、実施していく予定である。ベルリン及びウィーンへの現地調査を行なうとともに、政治状況を見ながらブダペシュトへの現地調査も実施したい。また、昨年度に引き続き、時代区分〔I. nation/nationality/1870年代-1920年代|II. race/1920年代-1950年代|III. ethnicity/1960年代-1990年代|IV. ethnicity/ race/1990年代以降〕の理論的検討も継続し、時代の特性を空間的把握の差異の補助線として活用する方法論の獲得を試みる。 今後も年に2回程度、研究会またはワークショップを開催し、各調査対象都市に関する研究の方向性と方法の確認及び進捗状況を共有する。
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