研究課題/領域番号 |
23K21988
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補助金の研究課題番号 |
22H00716 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
橋本 達也 鹿児島大学, 総合科学域共同学系, 教授 (20274269)
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研究分担者 |
木村 理 岡山大学, 文明動態学研究所, 助教 (10881485)
中久保 辰夫 京都橘大学, 文学部, 准教授 (30609483)
平井 洸史 奈良県立橿原考古学研究所, 企画学芸部学芸課, 主任技師 (50884251)
上田 直弥 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 助教 (70823780)
初村 武寛 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (80634279)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2025年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
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キーワード | 古墳 / 陪冢 / 大量器物埋納 / 巨大古墳 |
研究開始時の研究の概要 |
陪冢は5世紀代の巨大古墳に伴い周囲に計画的に築造された中小型古墳である。主墳である巨大古墳との階層構造を視覚的に明示する存在であり、同時にそこでみられる大量の器物埋納は王権の政治・生産・軍事組織の分掌を象徴し、国家形成過程における社会の複雑化過程を明らかにするものとして注目されてきた。しかしながらその資料情報は古い調査による不十分なものが多い。本研究では、最新の考古学的知見に基づく研究によって陪冢・大量器物埋納資料を再検討し、資料情報を更新するとともに各地の関連資料と比較を行う。その上で巨大古墳群に関する研究を進展させ、古代日本の国家形成における社会構造の研究を深化させようとするものである。
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研究実績の概要 |
古墳時代中期の巨大古墳の周囲に計画的に配置、築造された中小型古墳である陪冢および陪冢でみられる大量器物埋納の調査を軸として、巨大古墳とそれを取り巻く諸関係の分析を進めることで、国家形成過程における社会の複雑化過程を明らかにする研究を目指している。 二年度目となる2023年度は、初年度から引きつづき陪冢の代表ともいえる大阪府古市古墳群中の野中古墳出土資料の調査を継続した。とくに初年度に取得したX線画像を利用し、調査を進めている。さらに大阪大学考古学研究室で取得していた野中古墳出土甲冑のX線CTデータの提供を受けて、各種画像作成等、資料分析も実施した。これまで未報告となっている埴輪の整理にも着手している。 また、東京国立博物館において百舌鳥古墳群中の代表的陪冢資料、大阪府カトンボ山古墳出土資料の調査を本研究の主要メンバーが参加して三次元計測や実測調査を共同で実施した。 その他、本研究メンバーは奈良県佐紀古墳群の陪冢資料をはじめ、大量器物埋納と比較研究上で関連する古墳・遺跡出土資料の調査をあわせて進めている。調査では実測・写真撮影に三次元計測も加えつつ精度の高い情報の蓄積に努めている。 これら陪冢・大量器物埋納に関わる重要資料を再検討によって巨大古墳の時代に関する研究が古い調査による不十分な資料情報によって進められてきた課題の解決に向けて前進させることができると考える。 また、研究代表者・研究分担者に研究協力者に加えた研究メンバー全体の活動は、オンライン研究会を2ヶ月一回程度のペースで実施し、相互の研究内容について情報共有・意見交換を進めている。それらを踏まえて、本研究終了までに世界の巨大墳墓群構造との比較を視野に入れつつ、資料に立脚した古代日本の国家形成における社会構造の研究を全体でまとめる準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
陪冢・大量埋納器物の資料調査・分析を初年度から継続して進めている。2023年度は大阪府野中古墳出土未整理資料について、2022年度に取得したX線画像を利用した調査、大阪大学考古学研究室提供のX線CTデータを利用した画像解析が中心的な調査であった。その他、東京国立博物館蔵、百舌鳥古墳群のカトンボ山古墳出土資料の調査を研究メンバー共同で実施した。とくに石製模造品の三次元計測、これまで十分な情報が紹介されていない鉄器の調査に力を入れている。そのほか、佐紀古墳群出土陪冢資料や、比較対象として有用な陪冢以外の関連古墳・遺跡出土資料の調査を研究メンバーがそれぞれ進めている。調査には三次元計測の活用を積極的に行い、精度高い資料情報の収集を進めている。また、各地の巨大古墳群、陪冢・大量器物埋納の情報収集を進めながら、本研究の一端を研究メンバーが論文や講演会等での発表にも利用している。 研究代表者・研究分担者、研究協力者を加えた研究メンバーで、オンライン研究会を2ヶ月に一度程度の頻度で開催し、メンバー全体で研究発表・情報共有・意見交換を行い、研究を進めている。 資料研究を基本とした上で、階層構造、軍事組織や生産流通システム、広域交流など国家形成における社会複雑化の考察を進め、研究発表、論文発表、発表準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
研究活動の第一は陪冢・大量埋納器物の基本資料の情報収集、調査・分析研究であり、継続してこれを行う。とくに初年度から継続して調査を進めている古市古墳群の野中古墳出土資料の調査は本研究の中でも重要課題として一層の進展につとめる。さらに、東京国立博物館蔵カトンボ山古墳出土品の調査も継続して行う。調査には三次元計測の実践・活用を行い、精度高い資料情報の集積につとめる。 あわせて大型古墳群と陪冢・大量器物埋納に関連する古墳出土資料の現況情報の収集、調査、比較検討を継続的して進める。関連して比較研究の有効な古墳・遺跡出土資料の調査を進める。 第二に、各地の巨大古墳群の構造、陪冢・大量器物埋納の資料集成・比較研究に基づく総合研究を継続して進める。関東から九州に至る日本列島各地の巨大古墳と陪冢・中小古墳・大量器物埋納施設等の出土遺物について、研究組織メンバーが分担してデータ集積、資料調査を行い、情報を共有しつつ分析検討を重ねる。 第三に、資料研究に基づきつつ、各メンバーは国家形成における社会複雑化の考察を進める。オンライン研究会を継続的に開催し、メンバー間で共有しつつ意見交換・検討を重ねて総括に向けた準備を進める。
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