研究課題/領域番号 |
23K21989
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補助金の研究課題番号 |
22H00717 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
出穂 雅実 東京都立大学, 人文科学研究科, 准教授 (20552061)
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研究分担者 |
佐野 勝宏 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (60587781)
中沢 祐一 北海道大学, 医学研究院, 助教 (70637420)
半田 直人 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 学芸員 (60792009)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2025年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | モンゴル / 上部旧石器時代前期 / 初期ホモサピエンス / ジオアーケオロジー / 最初期ホモサピエンス / タルバガタイン・アム遺跡 / 上部旧石器時代初期/前期 / 景観変化 / 高精度居住年代決定 |
研究開始時の研究の概要 |
モンゴル国タルバガタイン・アム上部旧石器時代前期遺跡の発掘調査を継続し、(1)遺跡の高精度居住年代決定、(2)遺跡内の居住・狩猟行動の復元を目指す。また、モンゴルとシベリアの他遺跡との比較から、(3)地域における道具使用行動、資源環境との関係、行動パターンの通時的変化を明らかにする。さらに、北アジアの他地域との比較から、(4)他地域との文化接触・融合関係の評価を実施したうえで、(5)モンゴル北部の通時的人間行動変化とその理由を推測し、(6)北アジアの上部旧石器時代初期から前期への行動的・遺伝的変化を整合的に説明する変遷モデルを構築する。
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研究実績の概要 |
本研究は、モンゴル国セレンゲ県タルバガタイン・アム上部旧石器時代前期遺跡の発掘調査を柱として実施する。4年間の発掘調査を通じて、(1)遺跡の高精度居住年代決定、(2)遺跡内の居住・狩猟行動の復元を実施する。また、モンゴルとシベリアの他遺跡との比較から、(3)地域における道具使用行動、資源環境との関係、行動パターンの通時的変化を明らかにする。さらに、北アジアの他地域との比較から、(4)他地域との文化接触・融合関係の評価を実施したうえで、(5)モンゴル北部の通時的人間行動変化とその理由を推測し、(6)北アジアの上部旧石器時代初期から前期への行動的・遺伝的変化を整合的に説明する変遷モデルを構築する。 2023年度は以下の通り研究を実施した。A.タルバガタイン・アム遺跡の発掘調査:今年度は、計画通り深さ100cmに精査が到達した。加えて、周辺の地形・地質調査をおこなった。B.遺跡の居住年代の決定:年代測定供試料の出土コンテクストなどについて整理した。C.遺跡内の居住・狩猟行動の復元:発掘調査現場では、出土遺物およびその空間分布データを引き続き取得した。取得したデータの整理を行い、これまでの遺物の分布パターンを詳しく検討した。さらに、3Dスキャナーによる、出土遺物の3Dモデルの製作に着手した。D.モンゴル・トランスバイカル地域における季節的行動パターンの復元:情報収集と既存データの整理を継続すると共に、遺跡の年代の分析に着手した。E.他地域との文化接触・融合関係の評価:中国の資料分析は、ビザ無し渡航がいまだ不可能のため、韓国での資料調査をおこなった。F.モンゴル北部の上部旧石器時代初期から前期への人間行動変化とその理由の推測:精密な研究モデルの構築のため、関連する研究の文献調査を継続して行った。G.モンゴル後期更新世化石データベースの作成、および化石の保存処理を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タルバガタインアム遺跡発掘調査は当初計画よりも進展している。昨年度までに地形調査の結果、遺跡はタルバガタイ川が形成した河成段丘に立地していることがわかったが、今回はより詳細にタルバガタイ河谷の地形発達史と、それに影響を与えた気象条件と地質の関係をモデル化することができた。さらに、遺跡は当初の想定よりさらに安定した堆積条件で埋没していることがわかり、遺跡の年代決定を高精度に追求できる可能性が高まった。年代測定サンプルをモーターツールを使って調整を行った際に、有機物の焼ける臭いが強くしたため、コラーゲンの残存は非常に良好であると予想される。 また、これまでの調査で多数の動物化石が産出しているが、動物化石の表面の風化の状態が層序ユニット毎に異なっていることが分かった。最下層が最も新鮮で、上位のユニットになるにつれて風化の状態が強く進行するようになる。このことは、動物化石が埋没後プロセスで本来の産出層準から移動していること、また保存環境が、沖積コンテクスト、崩積環境、そして風成環境へと、層序ユニット毎に変化していることを示していると予想される。
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今後の研究の推進方策 |
研究それ自体の進捗状況だけではなく、各国の物価高、極めて深刻な円安、および社会状況などに配慮しながら、次のとおり今後の研究を計画する。(1)タルバガタイン・アムの発掘調査を予定どおり継続する。昨年度までの経験を踏まえ、発掘調査マニュアルのアップデートと調査機材の更新などを確実におこない、効率的に精度の高い発掘調査が行えるように万全の準備を行いたい。 (2)発掘調査で出土した遺物は、3Dスキャニングによるデータ化を継続して実施する。また、動物化石試料については、動物種、出土層位、コンテクスト、接合関係、資料のサイズなどを総合的に検討したうえで、年代決定を着実に遂行してゆきたい。 (3)モンゴルと韓国の資料整理と分析を本年度に実施する。また周辺地域の資料調査については、当初計画では中国とロシアで実施する予定であったが、中国への入国が制限されていること、またロシアとの渡航を延期する勧告が外務省から出ているため、今後の動向を注視しながらも韓国での資料調査を優先することで滞りなく研究を実施できるよう努める。 (4)モンゴル後期更新世化石データベースの作成を継続する。また、モンゴルでは保存処理がまだ実施されていない資料が多いため、適宜保存処理作業を進める。
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