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縄文時代のヒスイ・コハクを用いた装身具の総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K21996
補助金の研究課題番号 22H00724 (2022-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2022-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分03050:考古学関連
研究機関明治大学

研究代表者

栗島 義明  明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員(客員研究員) (60445864)

研究分担者 谷畑 美帆  明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (10440174)
水ノ江 和同  同志社大学, 文学部, 教授 (10824568)
米田 穣  東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30280712)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
12,740千円 (直接経費: 9,800千円、間接経費: 2,940千円)
2025年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
キーワードヒスイ / コハク / 装身具 / 交易 / 縄文 / 勾玉・小玉 / 在地系石材 / 緑色石英 / 原産地遺跡 / 大珠 / 縄文時代
研究開始時の研究の概要

昨年度に実施した山形県材木遺跡の調査は、在地石材を用いた装身具製作の痕跡を具体的に明らかとした本州地域での初の事例となった。しかし、30点余り発見された石材は未だに類例のない「未知の岩石」である為、今年度も引き続き類例発見と鉱物学的な分析を進める。
装身具を佩用した人骨は全国的にも少なく、特に貝塚等の遺存環境の整わない内陸部では殆ど資料が見当たらない。そこで新たに洞穴遺跡の調査を実施して装身具佩用の人骨の発見を計画する。広範な地域での類例比較を通じて、本研究の目的とする縄文社会における装身具の佩用原理と社会的制度についても、新たなアプローチが可能となるとの見通しを得ている。

研究実績の概要

23年度の研究実績として特筆されるのは9月に実施した山形県材木遺跡の学術調査である。糸魚川産のヒスイ製装身具が日本列島の全域に流通していることが明らかだったが、その一方では列島各地で少量ながらも在地産の緑色系石材を用いた製装身具製作も想定されてきた。しかし、石材が特定された上で作工程が明らかとされたケースは殆ど無い。今年度に実施した材木遺跡からはヒスイに類した緑色透明感を備えた緑色の石英を用いた装身具製作の姿が明らかとなった。調査によって縄文時代晩期(2,500年前)に形成された遺跡内から原石・分割・粗割・整形・未穿孔などの緑色石英製品が検出され、この地で勾玉や小玉が製作されていたことが判明した。特定石材を用いた装身具製作の痕跡が明らかとなった例は本州地域では初めてであり、その重要性を鑑みて調査概要と出土遺物情報については速やかに報告書として刊行してその成果を公けとした。
材木遺跡の調査成果については年度末に開催したシンポジウムで広く研究者間で共有し、またそこでは改めて縄文時代の装身具について東日本全域での様相や特徴について議論を重ねた。この会では、装身具佩用人物の食性問題やその社会的扱いについての新たな問題も提起され、特に装身具を身に付ける人物が殺傷対象になっていた可能性も論じられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

年度当初から山形県材木遺跡の発掘調査を計画し、地元教育委員会や県考古学会他との調整を重ね、9月に約1週間の調査を実施した。短期間の調査で住居などの遺構は未検出ではあったものの、土器と石器を含めて3000点以上の遺物発見がされた。縄文晩期末葉の単純遺跡であり、多数の遺物の中には勾玉・小玉などの装身具と共に約30点の緑色石英遺物が発見された。原石や加工品が主であるが、勾玉や小玉の未製品も含まれており、ここでヒスイ代替石材とした緑色石英を用いた装身具製作が行なわれていたことが明らかとなった。これは本州地域では初めての発見例であった。
調査成果について年度内に分析し、年度末に報告書として刊行すると共に、全国の研究機関への配布をおこなうことで研究の成果と課題を研究者間で共有できるようにした。また、その成果と含めた縄文時代の装身具に関するシンポジウムを1月に開催し、120名ほどの参加者をえることができた。

今後の研究の推進方策

ヒスイとコハクを用いた装身具流通について各地域に於ける遺跡出土品の集成を引き続き進める。また材木遺跡の調査で判明したヒスイ代替を担った在地石材の利用実態についても検討を進める。現在、長野県(茅野市)と静岡県(静岡市)の2か所で、在地の緑色系石材の産地・産状を確認しつつあり、その縄文時代に於ける利用状況についての検討を進めている。また、材木遺跡の出土品については改めて製作工程の技術的分析(原石・分割・整形・研磨)を進めると共に、未知とされる鉱物学的な検討も予定している。
縄文時代中期末(4,500年)を境として、それまで単体・大型であった装身具類は1cm以下の小型玉類へと変貌を遂げる傾向が顕著である。こうした変化についての合理的な説明はなされていないが、墓への副葬状態の検討から、その背後に垂飾から連珠への変化があったと想定している。この変化は単に装身具の変化に留まらずに装身原理、装身具の佩用が複数人物や複数世帯へと変化した社会的現象として評価可能と予想しており、各地の墓とその出土品の検討を踏まえてこの問題の検討も実施してゆきたい。
今年度は東日本地域に於ける縄文時代装身具について、各地域の研究者を招聘してシンポジウムを開催したが、次回は西日本地域研の研究現状について焦点を当てたにシンポジウム開催を企画している。

報告書

(2件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (18件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 千葉県坂ノ越遺跡出土の縄文時代草創期土器の検討2024

    • 著者名/発表者名
      阿部芳郎・米田 穣・栗島義明・佐々木由香
    • 雑誌名

      駿台史学

      巻: 180 ページ: 1-23

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 装身具を纏った人物への凶行2024

    • 著者名/発表者名
      渡辺 新・谷畑美帆
    • 雑誌名

      縄文の装身具を考える

      巻: 1 ページ: 71-82

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] 黒曜石の蛍光X線による産地推定2024

    • 著者名/発表者名
      大屋道則
    • 雑誌名

      山形県材木遺跡

      巻: 1 ページ: 31-36

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] 石器群の石材環境2024

    • 著者名/発表者名
      秦 明繁・大屋道則・三澤裕之
    • 雑誌名

      山形県材木遺跡

      巻: 1 ページ: 52-56

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] 出土した装身具2024

    • 著者名/発表者名
      栗島義明
    • 雑誌名

      山形県材木遺跡

      巻: 1 ページ: 14-25

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] 緑色石英を用いた装身具製作2024

    • 著者名/発表者名
      栗島義明・三澤裕之
    • 雑誌名

      山形県材木遺跡

      巻: 1 ページ: 57-66

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] 星降る中部高地の縄文世界2023

    • 著者名/発表者名
      栗島義明
    • 雑誌名

      山梨県立考古館 開館50周年記念図録

      巻: 1 ページ: 88-94

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] ヒスイ製装身具の展開とその意義2023

    • 著者名/発表者名
      栗島義明
    • 雑誌名

      シンポジウム「縄文/弥生の骨製装身具の展開とその意義」

      巻: 1 ページ: 31-38

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] 西九州の大珠2023

    • 著者名/発表者名
      水ノ江和同・大坪志子
    • 雑誌名

      九州考古学

      巻: 98 ページ: 111-122

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 装身具を装着した縄文人の食生活は特殊だったのか?2023

    • 著者名/発表者名
      米田 穣
    • 雑誌名

      縄文/弥生の骨製装身具類の展開とその意義

      巻: 1 ページ: 53-56

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] 副葬された石鏃 ─堂の貝塚6号人骨に伴う石鏃─2023

    • 著者名/発表者名
      栗島義明
    • 雑誌名

      資源環境と人類

      巻: 13 ページ: 123-137

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 宮ノ前遺跡出土土器の放射性炭素年代2023

    • 著者名/発表者名
      栗島義明・米田 穣
    • 雑誌名

      資源環境と人類

      巻: 13 ページ: 149-166

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 縄文時代の装身具製作2024

    • 著者名/発表者名
      栗島義明
    • 学会等名
      シンポジウム「縄文時代の装身具を考える」
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] ヒスイ・コハク製装身具の広域流通2023

    • 著者名/発表者名
      栗島義明
    • 学会等名
      山梨考古博物館
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] ヒスイと代替石材の開発2023

    • 著者名/発表者名
      栗島義明
    • 学会等名
      シンポジウム「縄文/弥生の骨角製装身具の展開とその意義」
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 装身具研究を巡る二・三の問題2022

    • 著者名/発表者名
      栗島義明
    • 学会等名
      シンポジウム「ヒスイ・コハク」
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [図書] 山形県最上町材材木遺跡2024

    • 著者名/発表者名
      栗島義明
    • 総ページ数
      70
    • 出版者
      デザイン工房きら
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [図書] 縄文時代の装身具を考える(シンポジウム資料集)2024

    • 著者名/発表者名
      栗島義明
    • 総ページ数
      86
    • 出版者
      デザイン工房 きら
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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