研究課題/領域番号 |
23K21999
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補助金の研究課題番号 |
22H00727 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
長友 朋子 (中村朋子) 立命館大学, 文学部, 教授 (50399127)
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研究分担者 |
道上 祥武 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 研究員 (10827330)
廣瀬 覚 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 飛鳥資料館, 室長 (30443576)
仲林 篤史 京都府立大学, 文学部, 研究員 (30986592)
中村 大介 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (40403480)
中村 大 立命館大学, 研究部・衣笠リサーチオフィス, 職員 (50296787)
川畑 純 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (60620911)
大賀 克彦 奈良女子大学, 大和・紀伊半島学研究所, 特任講師 (70737527)
岸本 直文 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 教授 (80234219)
小野 映介 駒澤大学, 文学部, 教授 (90432228)
岩本 崇 島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 准教授 (90514290)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | 考古学 / 初期国家形成期 / 山城地域 / 地域開発 / 地方政体成長 / 弥生時代 / 古墳時代 / 古墳 / 集落 / 生業 / 交流関係 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、山城地域の墳墓研究の新たな成果が提示され(広瀬・梅本編2021)、東海地域との交流や中央政体との密接な結びつきなど、大規模古墳の築造契機については対外関係が重要視されている。しかし、墳丘築造や埴輪製作の最新技術などは中央政権からもたらされるものの、実際の大規模古墳の築造には膨大な労力が必要であり、人員や技術者を確保できるだけの地域基盤の構築が必要である。この点が、山城地域の研究ではこれまで十分に深められていない。菟道宮があったと記されるほど宇治が拠点地になりうる背景や、久津川車塚古墳築造の基盤形成を、地域の遺跡の情報から解明することが本研究で試みる新しい部分である。
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研究実績の概要 |
2023年度には、8月末~9月末に史跡整備に伴う久津川車塚古墳の発掘調査に協力し、発掘調査をおこなった。代表者・分担者・協力者らは、久津川車塚古墳の発掘調査成果を現地で熟覧し、打ち合わせを実施した。2024年1月21日には、城陽市主催のシンポジウムが開催され、その講演で岸本直文氏が墳丘企画、長友朋子が造り出しと儀礼に関する研究成果を公開した。また、2024年2月17日には内部検討会を実施し、代表者、分担者、協力者合計11名が集まり、中間報告と意見交換をおこなった。 久津川車塚古墳の後円部出土遺物についても、再調査をすすめている。東京国立博物館所蔵の鉄器については、川畑純氏と長友朋子、補助学生2名が未報告資料の実測作業を2日間おこなった。玉についても、京都大学総合博物館所蔵品の調査を進めるために申請書を提出し、受理された。山城地域の遺跡集成は、古墳と古墳以外の遺跡に作業班を分けて、中村大氏が中心となり、作業をすすめている。さらに、長友朋子が春に埴輪の焼成実験を行った。混和量の異なる4種類の素地による、野焼きと窯焼成の実験である。窯における焼成では、4種類の粘土で製作した埴輪すべてが割れずに焼成できたのに対し、覆い型野焼きは、粘土に対する砂の混和量が少ない埴輪は割れてしまい、2対1の素地の埴輪は割れなかった。この実験結果と分析成果は、4月20・21日の考古学研究会第70回研究集会でポスターセッションとして公開した。 以上、代表者、分担者、協力者らにより、当該研究の目的にそって多角的に分析と検討をすすめ、中央政権と山城地域首長墳の関係性や、山城地域の地形環境、遺跡の分布の変化などが、徐々に明確になりつつある。引き続き検討を進めつつ、その成果をできるだけ速やかに公開したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終的に、①初期国家形成時における山城地域の地域開発と地方政体の成長(論文集)、②久津川車塚古墳の梅原報告書資料に関する遺物調査報告(報告書)という2つの書籍に研究成果をまとめる。そのために、分担者と協力者は、それぞれの分担研究領域について分析と検討をすすめた。 論文集①について、2024年2月に実施した内部検討会でその進捗状況を確認し、おおむね順調に進展していることが把握された。また、さらに追究すべき部分や知りたい内容などについて、メンバー内で質問や意見がだされた。これを受け、それぞれが課題を持ち帰り、さらに検討を進める予定である。また、論考を提出する前に、もう一度内部検討会を実施することになった。遺跡集成については、おおむね遺跡全体を把握し、位置情報入力が完了した。今後、時期など詳細な情報を入力していく準備が整った。以上の通り、本研究の計画にそって、おおむね順調に進展しているといえる。 遺物調査報告書②のための調査も各分担者により実施できた。鉄器に関しては実測図を把握し、今後4回の調査に分けて行う計画をたてた。また、春に1回目調査を実施した。玉類に関しても調査依頼を出し、2024年度調査をおこなう。鏡は分担者によって調査済みであり、補足調査など必要に応じて行われる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度実施の埴輪焼成実験成果を、2024年4月20・21日に考古学研究会第70回研究集会のポスターセッションで公開する。また、2023年2月の内部検討会の内容をふまえ、5月26日の日本考古学協会セッションで、久津川車塚古墳の発掘調査成果、遺物再整理や地理的環境に関する中間的な研究成果を公開する。また、9月に久津川車塚古墳の発掘調査成果を分担者、協力者が現地で熟覧し、打ち合わせをおこなう。11月末か12月には、古墳時代研究会拡大例会で、古墳時代を中心とした集落と交流に関連する中間的な研究成果報告をおこないたい。文献史専門の分担者に1名加わっていただくため、内諾をいただいている。できれば、古墳時代研究会拡大例会で発表をしていただく。 遺跡集成については、上半期に時期を入力するための下準備をおこないつつ、他の項目を埋めていく。下半期に時期入力をはじめ、いったん粗い地図を11月末頃までに完成させる。 遺物の再整理については、玉類の調査と鉄器調査をすすめる。鉄器に関しては、所蔵機関との調整によるが、9月に加え、できれば3月頃にも調査を実施したい。玉類は上半期中に実施をおこないたい。できれば、成分分析の実施の可能性を探りたい。 秋か年度末に内部検討会をおこない、2024年度末か2025年度夏に論考編の原稿を集める。論考提出前にシンポジウムによる速やかな成果公開も検討中である。
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