研究課題/領域番号 |
23K22000
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補助金の研究課題番号 |
22H00728 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
木立 雅朗 立命館大学, 文学部, 教授 (40278487)
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研究分担者 |
余語 琢磨 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (00288052)
田中 聡 立命館大学, 文学部, 教授 (10368011)
佐藤 弘隆 愛知大学, 地域政策学部, 准教授 (50844114)
田畑 幸嗣 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60513546)
黒石 いずみ 福島学院大学, 公私立大学の部局等, 教授 (70341881)
畑中 英二 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 教授 (90812438)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
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キーワード | 登り窯 / 京焼清水焼 / 京式登り窯 / 三次元計測(SfM–MVS ) / 五条坂京焼登り窯(旧藤平) / 京焼炭山共同組合登り窯 / 近現代文書 / 聞き取り調査 / 職人長屋 / 共同トイレ / 染織産業 / デジタル・アーカイブ / 3Dモデル / 伝統工芸(染織と窯業) / 聴き取り調査 / 3Dモデル生成 / 京焼・清水焼 / 西陣織 / 極小町屋 / 京焼 / 職人 / 町屋 / 染織 |
研究開始時の研究の概要 |
京式登り窯とその工房を中心として3次元計測を行い、建築史・聞き取り調査・近現代史資料の総合的調査研究を進める。 ①京式登り窯と覆屋・工房の3次元計測を行い、一部の発掘調査を行なう。 ②工房と職人長屋の生活空間の建築学的検討を行なう。 ③伝統工芸に関わってこられた方々の聞き取り調査を行なう。 ④伝統工芸に関わった近現代文書のデジタル・アーカイブを行う。
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研究実績の概要 |
京都市・五条坂京焼登り窯(旧藤平)の3次元計測の成果をまとめ、日本文化財科学会第40回記念大会において報告した。また、同窯の第2次発掘調査と工房の3次元計測の成果を日本考古学協会第89回総会・研究発表会において報告した。 さらに宇治市に所在する京焼炭山共同組合が所有する登り窯の窯焚き調査を行うとともに、その3次元計測を行なった。これまでは大気汚染防止条例によって使用を禁止され、長く使用を停止した登り窯であったが、ここでは煤煙防止装置を設置して登り窯の操業を継続しており、生きた登り窯の記録として重要であった。 五条坂の陶工の聞き取り調査を進め、製陶所が所蔵する近現代文書のデジタル・アーカイブなどを進めた(道仙化学製陶所、浅見五郎助家文書、小川文斎家文書、石田製陶所文書など)。これによって、登り窯と生産の実態を繋げる上で貴重なデータをさらに蓄積することができた。 また、西山夘三が調査した陶工の住居の追跡調査も進め、かつての生活の実態を明らかにするとともに、西山の調査以後、職人の生活環境が大きく変化した状況を再確認することができた。陶工をはじめとする職人たちの日常的な生活の場である長屋の共同トイレはすでにほとんど消滅したと想定されていたが、実際には長屋の片隅に痕跡器官のようにして残存していることを確認した。そのため、その確認調査を進め一部では改修されながら、現在も使用されていることを確認した。 京都の染織産業については西陣・友禅関係の図案・近現代文書のデジタル・アーカイブを進めることができたが、資料数が厖大なため、全体像の把握を中心にしつつ整理を進めた。これまでは戦時中の生産実態については聞き取り調査を中心に語られてきたが、近現代文書の中には戦時中の生産実態を直接示すものが確認され、極めて貴重なデータを含んでいることを確認している。まだ整理途中であるため、今後の成果が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
京焼炭山共同組合の登り窯の3次元計測を行なったことにより、現在まで残っている京焼登り窯はすべて計測を終えることができた。少なくとも京都市内に残存する登り窯は、現在知られているものについてはすべて調査を行なうことができた。一部補足調査が必要な登り窯が残るし、京都市外に展開した京焼登り窯についてはその確認調査などが必要である。 聞き取り調査については、当初見込んでいた登り窯と生産の実態に関わる側面については充分な成果を上げることができた。ただし、聞き取ることができた人数は氷山の一角にすぎず、継続的な調査が必要である。長屋をはじめとする生活実態の調査についてはかつての西山夘三の調査記録の再調査によって想定以上の成果を上げ、共同トイレの再認識によって、新しい課題も見出しつつある。 染織産業の史資料の調査は、収集した資料の全体像の把握に追われているが、その資料価値を徐々に掘り起こすことができている。
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今後の研究の推進方策 |
これまで計測してきた京焼登り窯の3次元モデルの分析を進め、地域の産業遺産としての価値について検討を進めてゆきたいと考えている。そのためには京都だけでなく、他産地の状況とも比較してゆく必要がある。近くは信楽焼・丹波焼などの産地とその登り窯との比較検討が残されている。 聞き取り調査については補足調査を進めつつ、可能な範囲で幅を広げて京焼陶工をはじめとする職人の生活実態について、建築史的観点を重視しながら進めてゆきたい。 染織産業の調査については、収集した資料が厖大だが、染織産業の見直しを進め、京焼関係の職人生活との対比を行ないたい。
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