研究課題/領域番号 |
23K22003
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補助金の研究課題番号 |
22H00731 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
高田 貫太 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (60379815)
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研究分担者 |
稲田 宇大 (金宇大) 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (20748058)
廣瀬 覚 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 飛鳥資料館, 室長 (30443576)
諫早 直人 京都府立大学, 文学部, 准教授 (80599423)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
10,530千円 (直接経費: 8,100千円、間接経費: 2,430千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 考古学 / 古墳時代 / 日朝関係史 / 航路と寄港地 / 航路・寄港地 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、古墳時代(≒朝鮮半島の三国時代)における倭と古代朝鮮の交渉史を、実際に用いられた航路や寄港地の動態に焦点を定めて、考古学的に検討する。それによって倭と古代朝鮮の王権間の力学関係のみならず、実際の交渉に携わった多様な出自をもち、複数の社会に属した集団や個人の能動的な動きを含みこんだ多元的な日朝関係史を新構築する。
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研究実績の概要 |
本研究では、古墳時代(≒朝鮮半島の三国時代)における倭と古代朝鮮の交渉史を、実際に用いられた航路や寄港地の動態に焦点を定めて、考古学的に検討することを目的としている。フィールドを3 世紀後半~6 世紀前半の朝鮮半島西・南海岸に定め、海を望む立地にある集落・墳墓・祭祀遺跡の分析から、詳細な航路や寄港地を推定復元する。また、寄港地とおぼしき地にのこされた考古資料の多様な系譜を明らかにし、交渉にのぞむ倭系集団や百済・加耶系の集団、寄港地を生業の場とした現地集団との多元的な交流の動態を解明する。 2022年度は、まず3世紀後半~6世紀前半の朝鮮半島西・南海岸域における臨海性の高い集落・墳墓・祭祀遺跡について、発掘調査報告書に基づいて網羅的に集成を行った。次に、集成作業と並行して、近現代の地形改変以前の地理が記録された古地図を活用し、寄港地とおぼしき遺跡の分布図を作成した。 続いて、集落・墳墓にみられる外来系(倭・百済・加耶など)資料を集成し、その具体的な系譜関係を追究するとともに、それらの分布集中地点を抽出した。分布集中地点を、様々なモノや情報が集まり、多様な人びとが往来する場、すなわち「推定寄港地」と判断することにした。 上述の作業に基づいて、朝鮮半島西・南海岸(本年度は全羅道地域)において、栄山江河口、新安地域、海南半島、高興半島、光陽地域などを「推定寄港地」と把握した。いずれの地も臨海性が高く、かつ狭小ながらも平野部が広がり、かつ河川路の関連がうかがえる地点である。そして、特に海南半島において現地踏査を行い、実際の景観や遺跡の地勢についての知見を深め、「推定寄港地」としての把握の有用性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
朝鮮半島西・南海岸における遺跡集成作業は、所属先所蔵の発掘調査報告書や「韓国歴史文化調査データベース」を活用することにより、支障なく実施することができている。また、これまでの研究成果に基づきながら、「推定寄港地」の推定も、順調に進めていくことができた。 懸案事項は、コロナ禍による朝鮮半島西・南海岸への現地踏査が中止になることであったが、幸いにも韓国渡航手続きが簡素化されたこと、韓国側の研究協力者の多大なご協力により、充分な踏査を実施することができた。 そのために、(2)おおむね順調に進展している、と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍による韓国渡航の規制が、実質的に撤廃されたために、基本的な感染症対策は講じつつ、計画に沿った現地踏査・対面での研究会を推進していきたい。 また、研究会における日韓研究者同士の議論、2022年度の資料集成の実績、さらに2023年度の資料集成作業に基づきながら、「推定寄港地」を有機的につなぎあわせることで、沿岸航路を復元する。さらに、今年度も外来系資料の検討を深めることで、寄港地を行きかう人びとの出自、帰属社会、目的地などを具体化させていきたい。
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