研究課題/領域番号 |
23K22015
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補助金の研究課題番号 |
22H00743 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03060:文化財科学関連
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研究機関 | 学習院女子大学 |
研究代表者 |
工藤 雄一郎 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (30456636)
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研究分担者 |
百原 新 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 教授 (00250150)
坂本 稔 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (60270401)
小林 謙一 中央大学, 文学部, 教授 (80303296)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
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キーワード | 放射性炭素年代測定 / 大型植物遺体 / データベース / 遺跡発掘調査報告書 / 先史時代 / 古環境 / 国際化 / 低湿地遺跡 / 樹種同定 |
研究開始時の研究の概要 |
現在日本では遺跡発掘調査と同時に放射性炭素年代測定や種実・花粉分析等の古環境分析が盛んに行われ,膨大な点数の測定・分析結果が蓄積されている。しかし,考古学の周辺科学に位置づけられてきた各種分析データを広く活用するためには,これらの膨大なデータを統合・再構築し,「使えるデータ」へと変換していくことが必要不可欠である。本研究では,考古遺跡での14C年代と大型植物遺体のデータベースを,全都道府県を網羅して完成し広く一般に公開するとともに,同時にこれらのデータベースの英語化を行い,国際的に利用可能なデータベースへと発展させ,広く世界中の研究者が活用できるシステムを構築する。
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研究実績の概要 |
2022年度は,以下の3つの項目について研究を進めた。 1)日本国内の遺跡発掘調査報告書に記載された14C年代を悉皆的に調査し,これをデータベース化する作業を進めた。これについては日本全国を網羅したデータベースとして44425件のデータを「遺跡発掘調査報告書放射性炭素年代測定データベース」として公開した。また,国立奈良文化財研究所が公開している「全国遺跡報告総覧」へのリンクを新たに追加し,利用者の利便性を高める作業を継続的に行った。年代測定データベースを国際的に活用できるように英語化して公開するための準備を開始し,ケンブリッジ大学のエンリコ・クレーマー博士と打ち合わせを行い,英文化の作業を進めた。 2)「日本の遺跡出土大型植物遺体データベース」については,過去5年分の最新の文献を調査し,データを追加していくための基礎的な作業(報告書の刊行数などの確認)を行い,2023年度以降に具体的な作業を進めることとした。 3)既発掘資料の新規の14C年代測定と古環境分析については,長崎県佐世保市泉福寺洞窟から出土した縄文時代草創期の炭化材の資料調査とサンプリングを行った。採取した試料は樹種同定用と年代測定用に切り分け,それぞれの分析用の試料を準備した。また,福島県笹山原遺跡の後期旧石器時代前半期の遺跡およびそれに隣接する低地部分の試掘調査を実施し,古環境分析用の試料を採取した。これについては,予備的な年代測定と花粉分析を実施した。また,千葉県千葉市でボーリング調査を行い,最終氷期の堆積物を採取した。これについては極めて重要な資料であることから,植生史研究に短報として成果をまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた,「遺跡発掘調査報告書放射性炭素年代測定データベース」については,英文化作業が順調に進んでおり,2023年度中にその成果を公開するため,論文化して, Journal of Open Archaeology Data (JOAD) への投稿の準備を進めている。英文化したデータベースの公開方法や利用方法について,国立歴史民俗博物館やケンブリッジ大学と検討を進めた。 佐世保市専福寺洞窟の試料については,縄文時代草創期の資料の調査がほぼ完了に近い状況まで進めることができた。佐世保市内の岩下洞窟などから出土した縄文時代早期の炭化材の資料も残されていることを確認し,2023年度にはこれらも調査を進めるための調整を行った。 また,後期旧石器時代前半期の笹山原遺跡の低地部の調査を本格的に実施するため,予備的な年代測定と花粉分析を実施した。この成果を受けて,2023年度は,笹山原遺跡の低地部の発掘調査を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
データベースの作業は着実に一歩ずつ進めていきデータを蓄積していくことが最も重要であり,人員を確保しつつ国立歴史民俗博物館と協力しながら,2023年度以降もデータの充実をはかる。英語化したデータベースについては,2023年度の前半には初版を公開するとともに,定期的なアップデートが可能な体制を整える予定である。 猪苗代湖周辺遺跡群の年代と古環境に関する調査は,2023年度からの新たな発掘資料を資料を入手し,その分析を着実に進めていく予定である。
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