研究課題/領域番号 |
23K22018
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補助金の研究課題番号 |
22H00746 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03070:博物館学関連
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
日高 真吾 国立民族学博物館, 学術資源研究開発センター, 教授 (40270772)
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研究分担者 |
廣瀬 浩二郎 国立民族学博物館, 人類基礎理論研究部, 教授 (20342644)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | ユニバーサル・ミュージアム / 視覚障害者案内 / 展示案内システム / 文化財保存 / 博物館案内ツール / 視覚障害者 / 聴覚障害者 / 車いす利用者 / 自動運転モビリティー / ユニバーサルデザイン / 博物館 / 3Dプリンター |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ポストコロナ社会を見据えつつ、ユニバーサル・ミュージアムの視点に立った展示システムの開発を目指し、①現在の社会で敬遠されている「触る」という行為をあえて展示観覧のきっかけとする展示案内システムの開発、②ポストコロナ社会のなかで、多くの人が安心して同じモノを触ることができる仕組みについて提唱することを目的とする。また、本研究課題は、2015年9月の国連サミットで採択された「国際目標SDGs」のうち、「4.質の高い教育をみんなに」、「10.人や国の不平等をなくそう」への貢献を意識し、 学会発表や論文発表、シンポジウム、講演会、WEB配信など、効果的な情報発信を展開するものである。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、令和4年度に引き続き展示展示案内システムの要件について、まず、視覚障害者の情報収集手段としての触覚と聴覚の役割、聴覚障害者と健常者の情報収集手段としての視覚と触覚の役割を整理した。その上で、健常者と障害者が同等に博物館展示を楽しめる展示案内システムのデザインの設計を進めた。 具体的には、視覚障害者対応の展示観覧システムの開発として「触る」という行為を展示観覧のきっかけとする展示案内システムとして開発を進めているDr.みんぱこを研究代表者らが所属する国立民族学博物館本館展示場の日本の文化展示場に仮設置した。そして、展示効果についてモニタリングを実施した。その結果、番組時間、解説内容についてより触察で得られる情報に特化したほうが良いとの検証結果を得ることができた。また、国立民族学博物館と協定を結び視覚障害者案内のメニューを実践しているみんぱくミュージアムパートナーズ、あるいは視覚障碍者サービスをおこなっている機関と協力し、日本の文化展示場における視覚障害者案内メニューを策定に取り組んだ。ここでは、令和4年度から開発を進めているモバイル型触知図との連携を目指していたが、触知図よりは音声ガイドの方が分かりやすいとの知見を得ることができ、計画の修正をおこなうことした。 また、聴覚障害者対応の展示観覧としては、国立民族学博物館で展開している字幕を付与したビデオテーク番組の観覧効果の検証を継続した。 車いす利用者、高齢者、視覚障害者対応の観覧システムとして導入を検討している自動運転モビリティーについては、安全に展示場内を観覧できるシステムへと鍛えた。 そのほか、ユニバーサル・ミュージアムを実践している博物館施設の情報収集の一環として、研究分担者の広瀬が実行委員長を務める「ユニバーサル・ミュージアムーさわる!触の博覧会」の巡回展を開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題は、ポストコロナ社会を見据えつつ、ユニバーサル・ミュージアムの視点に立った展示システムの開発を目指し、①現在の社会で敬遠されている「触 る」という行為をあえて展示観覧のきっかけとする展示案内システムの開発、②ポストコロナ社会のなかで、多くの人が安心して同じモノを触ることができる仕 組みについて提唱することを目的とするものである。 令和5年度は、展示案内システムを具体的に施行することとして、館内展示場に仮設置し、効果の検証をおこなった。 具体的には、視覚障害者対応の展示観覧システムの開発として「触る」という行為を展示観覧のきっかけとする展示案内システムとして開発を進めているDr.みんぱこの実機を日本の文化展示場で試験運用をおこなった。また、字幕付きビデオテーク番組の作成するとともに、自動運転モビリティー導入に向けたトライアルを実施し、本格運用の見通しを得ることができた。加えて、ユニバーサル・ミュージアムの実現に向けた活動を実践している研究分担者の広瀬は、自身が実行委員長を務めた国立民族学博物館の特別展「ユニバーサル・ミュージアムーさわる!触の博覧会」を岡山県立美術館に巡回展示し、その展示効果を検証した。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、令和5年度に引き続き、展示案内システムの要件について、まず、視覚障害者の情報収集手段としての触覚と聴覚の役割、聴覚障害者と健常者の情報収集手段としての視覚と触覚の役割を整理する。その上で、健常者と障害者が同等に博物館展示を楽しめる展示案内システムのデザインを設計する。 具体的には、令和5年度に本の文化展示場に仮設置した「Dr.みんぱこ」の使用状況の分析結果をもとに、デザインや案内内容を見直し、試作品を製作し、検証する。「Dr.みんぱこ」とは、視覚障害者対応の展示観覧システムの開発として「触る」という行為を展示観覧のきっかけとする展示案内システムである。また、サウンドデザインの観点から設計を進めている音声ガイドのプロトタイプを制作し、検証する。これらの検証では、視覚障害者支援団体のたんぽぽの家と連携する。また、3Dプリンターを利用した複製品を積極的に展示観覧のツールとして利用している博物館関係者と意見交換をおこない、触察展示の意義について明らかにする。 聴覚障害者対応の展示観覧としては、国立民族学博物館で展開している字幕を付与したビデオテーク番組の観覧効果を検証する。また、車いす利用者、高齢者、視覚障害者対応の観覧システムとして導入を検討している自動運転モビリティーについては、音声ガイドと組み合わせた展示観覧システムを開発し、その効果について検証する。 そのほか、ユニバーサル・ミュージアムを実践している博物館施設の情報収集に努める。また、研究分担者の広瀬が実行委員長を務める「ユニバーサル・ミュージアムーさわる!触の博覧会」の振り返りをおこない、その効果を検証する。
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