研究課題/領域番号 |
23K22023
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補助金の研究課題番号 |
22H00751 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04010:地理学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
奈良間 千之 新潟大学, 自然科学系, 教授 (50462205)
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研究分担者 |
飯田 佑輔 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10706328)
田殿 武雄 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 第一宇宙技術部門, 研究領域主幹 (50553351)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
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キーワード | 氷河 / 氷河湖 / 氷河湖決壊洪水 / リモートセンシング / AI深層学習 / ドローン / 天山山脈 / 岩石氷河 / 自然災害 |
研究開始時の研究の概要 |
中央アジアの天山山脈北部地域(テスケイ山脈とキルギス山脈)では,2006年以降に9つの氷河湖決壊洪水が生じ,3人の犠牲者のほか,インフラや農地に被害が出ている.これまでの我々の研究成果から,これら洪水は「短命氷河湖」と呼ばれる,わずか1年~数ヵ月で出現・出水するタイプの氷河湖であることがわかった.本研究では,「短命氷河湖」に関するハザードの理解とその災害軽減を目的に,衛星データとAI深層学習による「短命氷河湖」のモニタリング手法の開発,危険な「短命氷河湖」を特定するハザードレベルの新評価基準の提案,短命氷河湖が出現するモレーンコンプレックスの内部構造の解明をおこなう.
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研究実績の概要 |
本研究では,「短命氷河湖」に関するハザードの理解とその災害軽減を目的に,3つの課題に取り組んでいる.1)衛星データとAI深層学習による「短命氷河湖」のモニタリング手法の開発,2)現地調査と衛星データ解析による危険な「短命氷河湖」を特定するハザードレベルの新評価基準の提案,3)現地調査と衛星データ解析による短命氷河湖が出現するモレーンコンプレックスの内部構造の解明である. 1)については,画像の領域検出に特化したモデル構造「U-Net」を用いた氷河湖領域の自動検出に取り組んだ.光学画像から約1300のデータセットを作成し,そのうち80%を学習用データセット,20%を検証データとして用いて,モデルの学習をおこなった.学習したモデルはピクセル単位での評価において,96%の精度で氷河湖領域を算出することができた. 2)について,2023年7月と9月にテスケイ山脈のコルムドゥ氷河湖で現地調査を実施した.氷河前面に設置した自動気象観測データの回収,氷河の融解量観測のためのステークの融解深測定,ドローン空撮をおこなった.これらデータから,氷河の日融解量と氷河湖の体積変化を求め両者を比較した結果,夏期融解量増加型の短命氷河湖は,日融解量が増加する7月半ば~8月前半にかけて出現することがわかった.さらに,年々の融解量と氷河湖の体積変化を比較した結果,夏期融解量増加型はトンネル閉鎖が関与する年とそうでない年があることがわかった. 3)については,昨年度は現地調査のデータが得られなかったため,衛星画像解析で氷河起源型岩石氷河の形成環境の解明に取り組み,モレーンコンプレックスの形成環境は岩壁面積が大きく関係していることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)衛星データとAI深層学習による「短命氷河湖」のモニタリング手法の開発について,AI深層学習により氷河認識と氷河面積の抽出が可能になった. 2)現地調査と衛星データ解析による危険な「短命氷河湖」を特定するハザードレベルの新評価基準の提案について,ドローン空撮や回収した気温,タイムラプスカメラ,水位計のデータから氷河の日融解量と氷河湖の体積を算出し,夏期融解量増加型の短命氷河湖の形成要因と挙動が明らかになった. 3)現地調査と衛星データ解析により短命氷河湖が出現するモレーンコンプレックスの形成環境が明らかになった.
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今後の研究の推進方策 |
1)衛星データとAI深層学習による「短命氷河湖」のモニタリング手法の開発について,今年度は作成したモデルを使用し,対象地域における氷河湖面積の時系列変化を明らかにする.また,これまでの成果を論文としてまとめる. 2)現地調査と衛星データ解析による危険な「短命氷河湖」を特定するハザードレベルの新評価基準の提案について,7月に現地調査を予定しており,昨年度に設置した自動気象観測機器,水位計,タイムラプスカメラのデータ回収,ステークの再測をおこなう.テスケイ山脈北部全体の融解量を算出し,氷河湖変動との関係を調べる. 3)現地調査と衛星データ解析による短命氷河湖が出現するモレーンコンプレックスの内部構造の解明について,7月にキルギス山脈の氷河前面において地中レーダー探査と二次元電気比抵抗探査で内部構造を調べる.
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