研究課題/領域番号 |
23K22033
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補助金の研究課題番号 |
22H00761 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
兼子 純 愛媛大学, 法文学部, 教授 (40375449)
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研究分担者 |
橋本 暁子 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (10715642)
山下 亜紀郎 筑波大学, 生命環境系, 助教 (60396794)
駒木 伸比古 愛知大学, 地域政策学部, 教授 (60601044)
金 延景 立正大学, 環境科学研究所, 客員研究員 (70847087)
川添 航 立正大学, 地球環境科学部, 助教 (80964220)
山元 貴継 琉球大学, 教育学部, 准教授 (90387639)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
14,950千円 (直接経費: 11,500千円、間接経費: 3,450千円)
2025年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | 地方都市 / 韓国 / 時空間ダイナミズム / 土地利用 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,多くの先進諸国において人口減少や脱工業化が進み,都市の縮小がみられる。本研究の目的は,韓国の地方都市が,少子高齢化・人口減少の進行にもかかわらずスマートシュリンクを実現させつつあることに注目し,これら地方都市でみられる地方活性化に向けた時空間ダイナミズムを解明することである。時空間ダイナミズムとは,時間とともに変化していく地方都市の空間構造にみられる自発的活力を想定したものであり,これらを多角的な空間スケールと分析手法から明らかにしていく。そこで得られた都市構造に関する知見は,「地理学」および「アジア」から発信することを企図している。
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研究実績の概要 |
前年度の成果を受けて,全国スケールでの統計資料分析と歴史資料分析から地方都市の類型化と人口減少地域の抽出を試みた。全国スケールでの分析では,人口が減少する地方都市における市街地の空間的変化を明らかにするために,Landsat7のデータを用いて土地被覆の分類から都市域の変化を分析した。この研究成果の一つとして,研究分担者の山下亜紀郎ほかの研究では,韓国の地方過疎都市における人口の変化と既成市街地の空間的広がりを定量的に把握した。さらにその特徴を比較分析することを意図して,韓国の77の一般都市のうち,1995年から2015年までの20年間に人口減少した20都市を調査し,人口減少の度合いは都市によって異なり,すべての都市で既成市街地が著しく拡大していることを明らかにした。逆に都市のスポンジ化と呼ばれる遊休地や未利用地の増加により,既存の既成市街地が非既成市街地へと変化する一方で,河川環境や歴史公園の整備により,非既成市街地へのポジティブな変化を確認した。 上記の韓国全土の空間分析と2022年度の予備調査をもとに,全羅北道南原市を事例地域に選定して,その中心商業地の構造変化を明らかにするために,都市の骨格をなす主要施設の立地と店舗構成を現地調査した。公共施設などの移転との関係と南原市の中心商業地の現況について,南原市の関連機関への聞き取り調査を行った。本調査の結果を2023年度日本地理学会春季学術大会(青山学院大学)で発表した。 2024年度の現地調査の候補地として,江原道の地方都市である江陵市および太白市の予備調査を行った。後者は炭鉱都市という起源をもつため,日韓の地方都市比較という視点から,福岡県筑豊都市の事例を現地調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要に記した通り,8月と2月に現地調査をして,その成果を学会発表し議論することができた。この研究結果から,同業種の店舗集積,人口規模に比して商業地の活気の維持といったこれまでの研究結果と同様の傾向を確認することができた。一方で,鉄道駅や公共施設が移転した地域では,空店舗などの低未利用地も目立つ中で,リモデリングしたカフェ等の出店もあり,土地利用再編の萌芽がみられる。事例都市では,商業集積地区と在来市場での業種によるすみ分けがなされている一方,カフェなどの新しいタイプの飲食店は移転した市庁舎のある地区に新規の商業集積を形成しており,既存研究での指摘されている商業機能の役割分担を詳細に検討する予定である。 マクロスケールでの分析では,都市圏の拡大状況に関する研究成果を公表して,韓国地方都市の市街地拡大に関する一般化を図ることができた。地方都市の類型化と歴史的変遷に関しては現在調査を進めている所である。 次年度以降の事例調査について,江原道での現地調査を予定しており,その予備調査を実施した。その中で炭鉱都市という産業構造の変化によって衰退した都市の都市構造を理解することが重要であるため,日韓で同様の事例を比較しながら研究を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は前年度の成果を受けて,引き続き全国スケールでの統計資料分析と歴史資料分析から地方都市の類型化と人口減少地域の抽出を試みる。 上記の広域スケールの分析から,対象とする事例地方都市として江原道太白市を選定し,よりミクロな範囲で詳細な実態分析を行う。2022年度に調査を行った全羅北道南原市は周辺を山地に囲まれ古くから独立した商圏を保つ中心地として発展してきたが,近年では著しく人口が減少している。一方で,中心市街地の商業機能は維持されているようにも観察できるため,2022年度の調査成果と比較する現地調査を実施する。現地調査は太白市で8月下旬から9月前半,南原市で2月後半から3月前半を予定している。 上記の各研究グループでの調査成果を随時共有しつつ,韓国側の研究者も交えた遠隔ツールを用いて月1回の研究会を実施する。現地調査の準備と分析結果の報告会を国内で実施する。
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