研究課題/領域番号 |
23K22070
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補助金の研究課題番号 |
22H00798 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05070:新領域法学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
下山 憲治 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (00261719)
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研究分担者 |
大島 堅一 龍谷大学, 政策学部, 教授 (00295437)
大坂 恵里 東洋大学, 法学部, 教授 (40364864)
除本 理史 大阪公立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (60317906)
神戸 秀彦 関西学院大学, 司法研究科, 教授 (70195189)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2026年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2025年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | 原子力エネルギー政策 / 放射性廃棄物 / 核燃料サイクル政策 / トランスサイエンス問題 / アダプティブ手法 / 処分場立地選定 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、放射性廃棄物等の管理・処分に当たる組織やその管理・処分に向けた民主的意思決定と参加手続等に関する新たな法的枠組みを提案しようとするものである。 放射性廃棄物の最終処分は、相当長期に及び、それに伴う様々な複合リスクに対する不安、受容の難しさなどがあるため、現在の科学技術をもってしても最善解の探索は困難である。本研究は、使用済み核燃料自体の処分も射程に入れた新たな管理・処分の仕組みも想定し、社会状況の変化等に対応でき、民主的で、科学技術の動態性に対応できる法的制御とその制度化の研究を進め、研究成果を社会に還元することを最終的な目標とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、調査研究・総括班、法的手法研究班及び経済的手法・環境正義研究班という研究体制で実施した。国内外の最新知見の整理と論点整理、研究者間における基礎概念に関する認識や理解を共有化すべく研究会等を開催するとともに、東アジア、ドイツの研究者等との連携とその深化を目指し、意見交換等を行った。さらに、実情を踏まえた適切な制度を構想するため、福島県等において放射性廃棄物処理の課題を含めて、ヒアリング調査等を行った。 研究統括チームは、ドイツの法制度・立法の動向や取り組み状況、実情等に関し、2022年8月にドイツの環境法研究者により、ドイツのエネルギー政策と課題などに関する報告を中心としたワークショップ(オンライン)等を行った。また、原子力施設と地下水・地質の関係について、米国における高レベル放射性廃棄物処分に関する法制度と現状について研究報告会を行った。 法的手法研究班は、意思決定を可能な限り可視化、住民参加手続を含む合理的な決定プロセスの分析・検討を行うに当たり、公法・民事に特有の手法の共有、課題を抽出等を行った。その成果は、損害賠償制度や原子力のリスク処理に関する法的検討・費用負担、原子力規制機関の独立性、透明性や中立性についてのまとめ、原子力法制に関わる危機管理手法の検討等の成果にまとめられた。 経済的手法・環境正義研究班では、トランスサイエンス問題や世代間倫理、長期に及ぶリスク管理などに関し、原発事故と財政、汚染廃棄物の再生利用、原発事故リスクと自己責任などに関する研究等の成果を公表した。 最後に、機構・組織班は、放射性廃棄物処分に関する国および地方、研究者・研究機関との関わり等を含めて、ドイツなど国際比較研究と立法動向等を把握し、また、日本の現行法制度を検討し、次年度に向けた基礎的作業として行政機構等の論点・課題の整理等を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要および研究発表等に記したように、研究協力体制の基盤整備等を目指し、韓国および台湾とドイツ研究者との意見交換等を実施した。また、研究成果も福島原発事故に関わるものを中心にまとめられており、本研究プロジェクトの初年度としては順調に進展していると思われる。海外の動向調査・研究についてドイツ人研究者の報告を中心としたワークショップの開催、ドイツ、台湾および韓国の研究者と意見交換を行い、研究交流やワークショップ等の開催など次年度に向けた取り組みを協議した。 地下水・地質に関連する問題などについて地質学研究者のほか、アメリカにおける高レベル放射性廃棄物処分に関する動向に関する法学研究者による報告と質疑を通じて、これらに関する論点の明確化、課題の共有化など認識が深まった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度以降、ドイツおよび台湾・韓国の制度や動向について研究者等との意見交換等を継続するとともに、とりわけ、日本を含めた各国・地域のエネルギー政策の動向と放射性廃棄物処理状況およびその手続等の法制度について2024年度中に中間報告を行うためのワークショップ等の開催に向け、研究の進展・充実化をする予定である。また、福島における放射性廃棄物処理の問題と事故に対する責任の問題とは相互に関連するため、双方の問題領域を見据えて検討を進める。加えて、ドイツ、台湾および韓国など、研究連携・交流を密にし、情報共有と積極的な研究展開をはかることができるように進める予定である。
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