研究課題/領域番号 |
23K22081
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補助金の研究課題番号 |
22H00809 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
高安 健将 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (90399783)
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研究分担者 |
空井 護 北海道大学, 法学研究科, 教授 (10242067)
加藤 雅俊 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (10543514)
大西 祥世 立命館大学, 法学部, 教授 (30468813)
田中 嘉彦 白鴎大学, 法学部, 教授 (30895834)
池谷 知明 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (50261251)
竹中 治堅 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (70313484)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
15,080千円 (直接経費: 11,600千円、間接経費: 3,480千円)
2025年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 議院内閣制 / 二院制 / 半議院内閣制 / 比較政治 / 日本政治 / 政党システム / 比較研究 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、議院内閣制と二院制という異なる思想的背景をもつ政治制度の接合が、権力を民主的に創出し制御する上で機能しうるか、その条件は何か、を探究することを目的とする。本研究は、この目的に対し、日本政治研究、豪州・イタリア・英国との比較研究、政治理論、の3つのアングルから接近する。 議院内閣制と二院制の組み合わせによる政治過程への作用は、政党政治の力学や制度運用に決定的に影響される。本研究は、こうしたことに注意を払いつつ、両院の権限、選出方法、正当性の政治過程への効果に特に着目する。その上で、議院内閣制に基づくデモクラシーを補完する多様な二院制のあり方を政治理論的に位置づけ、各国を貫く視座を得る。
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研究実績の概要 |
2023年9月にMeg Russell教授(英国 University College London)を招き、3日にわたり研究会、意見交換会、公開のシンポジウムを開催した。シンポジウムには、研究者の他に、ジャーナリスト、実務家らも参加し、活発な質疑応答となった。研究会と意見交換会では、ラッセル教授とともに、プロジェクト・メンバーも報告を行い、日英両国の議会政治について有意義な知の交換と共有が可能となった。 海外への調査としては、英国、イタリア、ニュージーランドで実施している。また、海外の学会報告としては、Canadian Political Science Association、International Sociology Association、Australian Political Science Association、European Association of Japanese Studies、American Political Science Associationにて、プロジェクト・メンバーにより報告が行われている。他にも、National Chengchi University(台湾)、National Tsing Hua University(台湾)、Oxford University(英国)、Cambridge University(英国)、European University Institute(イタリア)にて開催された研究会にメンバーが参加している。国内学会における報告は2件です。 研究成果としては、日本政治学会の機関誌である『年報政治学』2023-I号の特集がある。これを含めて、単著論文は、プロジェクト全体で15本、書評論文2本、書籍1冊(共著)ある。英語論文は2本、うち1本が査読付きである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の予定は以下のとおりであった。4年の研究期間のうち、1年目は、文献と資料状況の確認、研究アイディアの相互紹介を行う。2年目と3年目は本格的なデータ収集や聞き取り調査を行い、成果公表に向けた準備期間とする。4年目は調査の継続とともに国内外の学会発表、学術論文発表を行う。 本年度はプロジェクトにとり2年目となる。海外調査をイタリアと英国で行い、海外から第一線の研究者を招聘し、プロジェクトの問題意識に基づいて充実した意見交換を行うことができた。プロジェクト・メンバーの一人はイタリアで長期在外研究が可能となっており、イタリアについて多くの情報を得ることが可能となっている。このように、分析材料は着実に収集できている。 他方で、すでに集まっている材料を用いた分析結果については、カナダ、米国、台湾、英国、イタリアなど、主として海外の学会等で初期段階のアイディアを発表して意見交換を始めることが可能となっている。 政治理論面では、M.J.C.Vileの古典的研究や,Michael W. McConnell,The President Who Would Not Be King(2020),Alexander Bolton and Sharece Thrower, Checks in the Balance(2022)などの近年の注目すべき研究の検討を進めた。これにより、権力分立論や抑制均衡論を,それを不可欠な構成要素とする立憲主義論にまで立ち返りながら原理的に考究することを目指しており、政治理論がプロジェクト全体をつなぐ役割を果たしてくれることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
プロジェクト・メンバー個々の研究をいっそう進める。 まず、議院内閣制と二院制の日英比較の観点から、公選上院とウェストミンスター・モデルとの接合可能性、日本の参議院改革等についての研究を進める。あわせて、英国内の権限委譲の進捗に鑑み、連邦国家と単一国家における上院の在り方についても探求する。オーストラリアとの比較では、「半議院内閣制」概念の理論的意義と経験研究上の課題を検討していく。特に、議会政治が、ガングホーフが示した「半議院内閣制」的な運用がなされる条件を、オーストラリアと日本を事例として丁寧に探っていく。イタリアとの比較では、引き続き第2共和制における議院内閣制と二院制との関係について考察を進める。政権交代がなかった第1共和制にたいし、左右両派の政権交代が起こるようになった第二共和制において、制度的に「弱い」内閣が「強い」議会をどのように統制しているかに焦点を当てて研究を行う。 日本の政治過程については、議院内閣制と二院制の組み合わせが連立政権の構成にどのように影響を与え、また特に外交・安全保障政策の内容と決定過程にどのように関係したのかを検討していく。憲法では、参議院の緊急集会および二院制によって生じる国政選挙の実際が憲政にどのような影響を及ぼすかについて、検討する。また、二院制における「ジェンダーに配慮した議会」のあり方について考察する。 政治理論では、前年度に引き続き,権力分立論や抑制均衡論の理論的な分析を進め,得られた成果を論文のかたちで発表する。 以上を踏まえ、意見交換を行なっていく予定である。特に夏頃には全員がそろう大掛かりな研究会を開催する予定である。
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