• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

戦略的曖昧性と期待形成に関する実験研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K22102
補助金の研究課題番号 22H00830 (2022-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2022-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分07010:理論経済学関連
研究機関立命館大学

研究代表者

西村 直子  立命館大学, 食マネジメント学部, 教授 (30218200)

研究分担者 青柳 真樹  大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (50314430)
舛田 武仁  信州大学, 学術研究院社会科学系, 准教授 (80725060)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2026年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
キーワード戦略的曖昧性 / 期待形成 / 不確実性下の選好 / 実験 / ゲーム理論 / 経済実験 / 曖昧性 / 不確実性下の意思決定 / matching probability / 戦略的意思決定
研究開始時の研究の概要

本研究の第1の課題は,自他の社会的関係性がゲームを介して作り出す「戦略的曖昧性」を考察対象とする。主観確率に代わる期待(=belief)の測定指標開発に関する直近の研究潮流を踏まえ,戦略的曖昧性に対するbeliefを実験で抽出し,戦略性を含まない場合と比較して曖昧性認知構造の特徴を明らかにすることである。本研究の第2の課題は,確率的な情報が手に入る状況であっても,意思決定者はその情報の全てを考慮することはせず、一部のみを選択的に取得しようとする合理的あるいは非合理的行動に着目し,不確実性に戦略性を伴う場合の選択的情報取得行動に特徴的な構造を実験的に明らかにすることである。

研究実績の概要

確率的に把握できない不確実性に対し、主観確率に代わる認知(=belief)の測定指標開発に関する直近の研究潮流を踏まえて、戦略性のある場合とない場合のbeliefを実験で抽出し、戦略的曖昧性に関する認知構造の特徴を明らかにすることを第1の目的とする。他方,確率的な情報が手に入る状況であっても,意思決定者が故意にそれを使わないで選択を行う可能性を考慮した合理的不注意 (Rational Inattention)研究を踏まえ、不確実性に戦略性を伴う場合の選択的情報取得行動に特徴的な構造を実験的に明らかにすることを第2の目的とする。
2022年度は主に第1の目的に関する研究に費やされた。まずは必要な文献を入手し、関係理論と実験結果を調査・整理し、matching probability手法によって採取する事象の主観的重みを使って、曖昧性認知構造を特徴づける指標を構築した。それを実証するため、以下の実験デザインを構築した。戦略的意思決定環境として、協調解のあるゲームとないゲーム(囚人のジレンマ)の2x2ゲームを用意した。異なる2色のボールが複数入っている袋から1つのボールをランダムに抽出する状況を、非戦略的環境として用意する。2色の配合割合を不明とすることで曖昧性を表現する。これらの非戦略的・戦略的状況で起こり得る4つの単独事象とそれらの組合せ事象の起こりやすさについて、実験参加者のbeliefをmatching probabilityの手法で測定する。
予備実験は順調に実施でき、そのデータの現時点での解析結果として、同じ参加者から採取したmatching probabilityから生成した曖昧性認知構造の指標は,袋の場合とゲームの場合とで違いが生じていること。その違いには異なる指標間で濃淡があり、それらがゲーム構造の違いと連動していることなどが観測できている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2022年度の研究は予定通り第1の目的に費やされた。まずは必要な文献を入手し、関係理論と実験結果を調査・整理し、matching probability手法によって測定される事象の主観的起こりやすさが、確率構造に従うものなのか、どうかを検討する。そして、確率法則に従わない場合には、その逸脱方向や大きさをどのように測定するか、逸脱の方向や大きさが曖昧性認知構造のどのような特徴を捉えているのかを検討し、それを捉える指標を複数構築した。
上記を量的に解析するために、以下のような実験デザインを構築した。協調解のあるゲーム(協調ゲーム)とないゲーム(囚人のジレンマ)の2種類の2x2ゲームを使って戦略的意思決定の環境を作る。利得の大きさの組合せをそれぞれのゲームについて2種類作り、複数回ある協調解(あるいは協調セル)の重みに変化をつけた。実験参加者をランダムに2人グループに分けて,これらのゲームを一度だけプレイしてもらう。
これに対して、上記とは異なる実験参加者2人を別々に呼んで、2色の複数のボールを自由に2つの袋に詰めてもらい、異なる袋から1つずつ抽出した玉の色によって2x2ゲームの4通りの場合分けに対応する4通りの組合せを作ることで、非戦略的意思決定の場を作る。
全く別の実験参加者を別途招集し、上記の非戦略的・戦略的の2つの意思決定における4通りの事象とそれらの組合せ事象について、それら事象の起こりやすさを予想してもらいmatching probabilityの手法で測定して数値化する。
上記の予備実験を実施し、データ解析を開始した。予備実験は順調であったため、データは本実験データとして扱えると思われる。

今後の研究の推進方策

2023年度以降では、曖昧性認知構造を把握するために必要な指標の種類を増やすことを追求する。ある事象をEとしその余事象をEcとし、matching probability手法で測定したそれら事象の起こりやすさをMP(E),MP(Ec)とすれば、曖昧性認知が確率法則にしたがえば、1=MP(E) + MP(Ec)が成立するはずである。この性質はBinary Complementarity(BC)と呼ばれる。また、2つの事象EとE'の間に包含関係(E⊃E')があるとき、確率法則に従えばMP(E)>MP(E')をみたすはずである。この性質はMonotonicityと呼ばれる。ゲームにおける戦略的意思決定を考慮すれば、2人のプレイヤーの選択の組合せ、つまり2つの事象が同時に起こる場合に注目する必要がある。例えば囚人のジレンマでは、1人のプレイヤーが「自白」を選択する単独事象の可能性は、2人のプレイヤーが同時に「自白」を選ぶ組合せ事象の可能性よりも、MPがMonotonicityをみたせば大きいはずである。しかし、matching probability手法では、両者が「自白」を選択する可能性と各自が自白を選択する可能性を異なる質問に分けて別々に回答させるため、実験参加者に両者を連動させて再考する猶予、つまり思考誘導を与えない。
これまで特にBCに着目して既にBCの等号が成立しないデータを観測してきた。BCはその定義から単独事象が主な対象であるが、今後は組合せ事象も対象にできるMonotonicityにも着目する必要がある。また、ゲームにおける意思決定の特徴をさらに把握できるように、組合せ事象を対象とした別の指標も構築したい。そのための追加実験も予定する。
他方,研究の第2目的に関する文献探索にも着手する予定である。

報告書

(1件)
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Matching strategic agents on a two-sided platform2022

    • 著者名/発表者名
      Aoyagi Masaki、Yoo Seung Han
    • 雑誌名

      Games and Economic Behavior

      巻: 135 ページ: 271-296

    • DOI

      10.1016/j.geb.2022.06.007

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 消費者による食品リスク判断の謎と経済実験手法2022

    • 著者名/発表者名
      西村直子
    • 雑誌名

      立命館食科学研究

      巻: 7 ページ: 151-173

    • DOI

      10.34382/00016756

    • ISSN
      2434-818X
    • URL

      https://ritsumei.repo.nii.ac.jp/records/16791

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Comparing behavior between a large sample of smart students and Japanese adults2022

    • 著者名/発表者名
      Hanaki Nobuyuki、Inukai Keigo、Masuda Takehito、Shimodaira Yuta
    • 雑誌名

      The Japanese Economic Review

      巻: 25 号: 1 ページ: 1-39

    • DOI

      10.1007/s42973-022-00123-0

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] Matching Strategic Agents on a Two-Sided Platform2022

    • 著者名/発表者名
      青柳真樹
    • 学会等名
      FSS-ECON Seminar
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Many-to-Many Matching of Heterogeneous Skills on a Two-Sided Platform2022

    • 著者名/発表者名
      青柳真樹
    • 学会等名
      Tsinghua Conference on Behavioral, Experimental and Theoretical Economics
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Voluntary Partnerships and Cooperation: An Experimental Study2022

    • 著者名/発表者名
      西村直子
    • 学会等名
      2022 Asia Pacific ESA
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-08-08  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi