研究課題/領域番号 |
23K22133
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補助金の研究課題番号 |
22H00862 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
石島 博 中央大学, 法務研究科, 教授 (20317308)
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研究分担者 |
前田 章 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30317309)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | ESG投資とカーボンニュートラル / 金銭的リターンと環境・社会的インパクトの両立 / ESGを考慮した資産価格評価 / 気候変動リスクを考慮したポートフォリオ選択 / テキスト分析によるESG格付とスコア |
研究開始時の研究の概要 |
2050年の脱炭素社会の実現に向け、世界的な潮流となっている、E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)を考慮したESG投資の本質は、①市場平均を超えるリターンをもたらし、かつ、②ESGに良いことをする、という「ダブルボトムライン効果(ダブル効果)」にある。特に、カーボンを主要因とするE(気候変動)が、最も重要な現代的問題である。そこで本研究は、(P0)カーボンのニュース等のテキスト情報より、(P1)ESGセンチメントの構築、(P2)ESG価格指数の構築、という研究項目に取り組むことにより、(P3)株式投資等のダブル効果を可視化することでESG投資の本質を解明する。
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研究実績の概要 |
2050年の脱炭素社会の実現に向け、世界的な潮流となっている、E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)を考慮したESG投資の本質は、①市場平均を超えるリターンをもたらし、かつ、②ESGに良いことをする、という「ダブルボトムライン効果(ダブル効果)」にある。また、E、S、Gのなかで、カーボンを主要因とするE(気候変動)が、最も重要な現代的問題である。そこで本研究は、(P0)カーボンのニュース等のテキスト情報より、(P1)ESGセンチメントの構築、(P2)ESG価格指数の構築、という研究項目に取り組むことにより、(P3)株式投資等のダブル効果を可視化し、ESG投資の本質を解明することを目的とする。本研究の目的を達成すべく、本2022年度は、研究実施計画に沿って、以下の研究項目を実施した。 (P0) テキスト情報:カーボンのニュース等のテキスト情報をベータベースに格納するシステムを構築した。 (P1) ESGセンチメントの構築:準備として日本経済新聞の記事より、日本債券市場のセンチメント(JGB-VIX)の計量化を行った。本項目については、次年度以降も取り組む予定である。 (P2) ESG価格指数の構築:ESG投資が包含するダブル効果を①既知の企業財務変数で説明するキャッシュフロー価値、②カーボン等のESGセンチメントで説明するESGを享受するヘドニック価値により評価する、ESG資産価格評価モデルの理論構築を行った。 また、本研究成果を国際水準で結実すべく、サステナブル不動産に関する国際会議“The 26th AsRES Annual Conference: 2022 AsRES-AREUEA Joint Conference, Tokyo, Japan”をアジア不動産学会(AsRES)の会長として、全米不動産都市経済学会(AREUEA)と共催し、世界各国の研究者と議論を深めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、代表者・石島と分担者・前田を中心として、研究協力者(研究代表者の研究室出身者)の専門的知識を有償で得て本研究を効果的に実施している。 すなわち、研究計画調書および研究実施計画に沿って研究項目を着実に遂行しており、現在までの進捗状況は「おおむね順調に進展している」と自己評価している。 さらに、研究項目「(P3)株式投資等のダブル効果の可視化」について、前倒しで取り組んでおり一定の成果を上げている。具体的には、日本の株式市場において、二酸化炭素排出量が多い企業は株価リターンが低くダブル効果があることを示した。本結果は、二酸化炭素排出量が多い企業は株価リターンが高くダブル効果がないという、米国や中国の株式市場における先行研究(Bolton and Kacperczyk 2021a,b)と異なる結論である。今後の研究においては、ダブル効果を可視化することにより、その異なる結論の要因について究明することとする。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究についても、代表者・石島と分担者・前田が中心となり、研究協力者と協働して効果的に実施することとする。具体的には、研究計画調書および研究実施計画に沿って、以下の研究項目を効率的に実施する予定である。 (P1) ESGセンチメントの構築: 前年度より継続して、カーボンなどのESGキーワードを含むニュースに反映されたESGセンチメントを日次時系列として構築する。 (P2) ESG価格指数の構築:前年度より継続して、ESG投資がもたらすダブル効果を2つの価値-①キャッシュフロー価値と②ESGヘドニック価値-に着目して評価する、ESG資産価格評価モデルの理論構築を行う。 (P3) ダブル効果の可視化: 研究項目(P1)のESGセンチメントは各企業への投資で享受できるESG属性の量、研究項目(P2)のESG価格指数は市場が評価するESG属性の単価を表す。本研究項目(P3)では、両者の積としてESG投資から享受する効用を金額で表した「ESG価格」を計量化し、ダブル効果を可視化する。 本研究成果を国際水準で結実すべく、先導的なESG研究者が参加する国際会議にて発表することにより、多様なフィードバックを得て研究を格段に向上させ、学術雑誌への投稿・掲載等を目指す。なお、研究の成果を向上させるべく、また上手くいかなかった場合にも対応すべく、半年に1回、研究体制全体の研究打ち合わせを開催する。
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