研究課題/領域番号 |
23K22150
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補助金の研究課題番号 |
22H00879 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 大手前大学 |
研究代表者 |
伊藤 宗彦 大手前大学, 経営学部, 教授 (90362798)
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研究分担者 |
富田 純一 東洋大学, 経営学部, 教授 (30396824)
大村 鍾太 桃山学院大学, ビジネスデザイン学部, 准教授 (40724050)
松尾 博文 東京国際大学, 国際戦略研究所, 教授 (50312814)
加護野 忠男 神戸大学, 社会システムイノベーションセンター, 特命教授 (80030724)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
15,080千円 (直接経費: 11,600千円、間接経費: 3,480千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | DX改革 / ビジネス・プロセス / ビジネス・システム / IoT / ビッグデータ解析 / IOT / デジタルエコノミー / フューチャーレディ / プラットフォーム / ビッグデータ / AI |
研究開始時の研究の概要 |
日本企業がどのようにしてDX改革を実現し、ビジネス・プロセスやビジネス・システムを進化させてきたのかについては、詳細な検討はされていない。そこで、本研究では日本企業200社へのアンケート調査と20社へのインタビュー調査を通じて、日本型DX改革の実態を明らかにし、そのビジネス・プロセスやビジネス・システムを進化させるメカニズムを探求したい。このテーマに関して、申請者らはすでに30社以上のインタビュー調査,アンケート調査を開始しており、それら企業が進化するメカニズムについても検討を始めている。本研究では、日本企業を対象として企業のDX推進の精緻化を図り新たな日本型DX改革のあり方を提言する。
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研究実績の概要 |
本年度は、①DX改革に取り組んだ企業(約200社)の選定を行った。財務データ、顧客の満足度データ(口コミなど)、日経コーパスなど新聞記事、アンケートデータの収集・分析により、日本型DXの全体の傾向を把握した。②先進的・特徴的なDX改革企業を約20社選出し、詳細なインタビュー調査を行った。その内容は、ビジネス・プロセスやビジネス・システムの観点から、それら企業のDX改革による経営システムの変換プロセスを明らかにした。分析は、200社のアンケート及び、インタビュー調査の結果とともに詳細なものを行う予定である。③さらに 先行研究、関連文献の調査を行い、100件程度の文献調査を行った。 本研究では、「ビジネス・プロセス」や「ビジネス・システム」をキー概念とし、データを重視した経営システムへの変革プロセス、データガバナンス、データの標準化という3つの観点より日本型DX改革の課題と競争優位性を明らかにする予定である。そのうえで、MITのウェイルによるデジタルエコノミー時代のビジネスモデルの類型の再検証と精緻化を試みる。本枠組みは、従来行われてきたバリューチェーンによるものか、プラットフォーム上のネットワークを介して参加するエコシステムの形態なのかというビジネスデザインの次元と、顧客との関係性が完全か部分的かという2つの次元によって、従来型のサプライヤー、独自のプラットフォームを構築するモジュラー・プロデューサー、顧客との関係性を高め様々な関係性を構築するオムニチャネル、そして、自社のプラットフォーム上に様々な機能の企業を取り込み、多様な形態のビジネスを行うエコシステムドライバーという4つのビジネスモデルが定義できる。ウェイルの研究はその後、進歩しており、我々の五研究枠組みもさらに進化したものになると予想している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の実績でも説明したが、DX改革に取り組んだ企業(約200社)の財務データ、顧客の満足度データ(口コミなど)、日経コーパスなど新聞記事、アンケートデータ、インタビュー結果の収集・分析により、日本型DXの全体の傾向を把握する研究計画を示している。その予定の進捗状況としては、財務諸表データは、ほぼ収集し終えた。また、調査対象企業のリストも作成し、調査の準備も進めている。このリスト作成には、先進的・特徴的なDX改革企業約20社に対し、詳細なインタビュー調査を行った結果を含めている。その内容は、ビジネス・プロセスやビジネス・システムの観点から、それら企業のDX改革による経営システムの変換プロセスを明らかにできそうである。 企業にとって、顧客間関係の完全な把握と、主要な意思決定を行うためのプラットフォームの構築がDX改革の課題であり、その際、AI、IoT、ビッグデータ解析といった技術が重要な役割を果たすことが調査結果で明らかになりつつある。顧客間関係やプラットフォームから得られる情報はデータ化され、企業の競争力の源泉となる。経験と過去の成功体験を重視した経営が中心となる。日本企業がデータに基づく経営に変革する際、顕在化するのではないかと言われているのが、①システムのレガシー化、②ICTを推進する人材不足、③システムの新規化の原資不足、という2025年問題である既存のビジネス・プロセスを捨て、データベース機能、ネットワーク機能を最大限利用した新規の経営プロセスを、再設計、再構築するのが日本のDX改革の目標となる。 本研究の学術的な目的は、「ビジネス・プロセス」や「ビジネス・システム」をキー概念とし、データを重視した経営システムへの変革プロセス、データガバナンス、データの標準化という3つの観点より日本型DX改革の課題と成功パターンを明らかにする点にある。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、「ビジネス・プロセス」や「ビジネス・システム」をキー概念とし、データを重視した経営システムへの変革プロセス、データガバナンス、データの標準化という3つの観点より日本型DX改革の課題と競争優位性を明らかにする点にある。そのうえで、MITのウェイルによるデジタルエコノミー時代のビジネスモデルの類型の再検証と精緻化を試みる点が特徴である。本枠組みは、従来行われてきたバリューチェーンによるものか、プラットフォーム上のネットワークを介して参加するエコシステムの形態なのかというビジネスデザインの次元と、顧客との関係性が完全か部分的かという2つの次元によって、従来型のサプライヤー、独自のプラットフォームを構築するモジュラー・プロデューサー、顧客との関係性を高め様々な関係性を構築するオムニチャネル、そして、自社のプラットフォーム上に様々な機能の企業を取り込み、多様な形態のビジネスを行うエコシステムドライバーという4つのビジネスモデルが定義している。 この枠組みには、大きく3つの限界がある。第一に、ビジネス・プロセスをマネジメントする、あるいはビジネス・システムとして再構築するといった視点が不足している。第二に、DX改革を実践している企業がビジネス・プロセスやビジネス・システムを進化させていくメカニズムが明らかにされていない。第三に、バリューチェーンやサプライチェーンの下流に進出できる企業にフォーカスした提言となっており、上流に留まりながら競争力向上を図る企業の取り組みや課題を十分に説明できていない。以上3つの課題に対して本研究では、「ビジネス・プロセス」や「ビジネス・システム」の視点、それらが「進化するメカニズム」の視点、「サプライチェーン上流企業」の分析といった三つの視点・分析を新たに導入・強化することで、ウェイルの類型の再検証を図りつつ精緻化を試みることを目指している。
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