研究課題/領域番号 |
23K22151
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補助金の研究課題番号 |
22H00880 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
須田 敏子 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 教授 (70387992)
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研究分担者 |
森田 充 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 教授 (30453492)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2026年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2025年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 補完性 / 制度組織論 / 国際比較 / 人事機能・人事部門 / 人的資本 / 人事施策 / 人事機能 / 人的資本開示 / 人的資本構築 / 制度派組織論 / ジョブ型・マーケット型人事 / 因果探索 / 制度変化 / マーケット型人事 / 人事に関する意思決定権 / 制度環境 / 技術環境 / 制度企業家 / サステナビリティ / ダイバーシティ |
研究開始時の研究の概要 |
継続課題のため、記入しない。
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研究実績の概要 |
2023年度の研究実績について、文献研究、定量研究、文献研究+定性研究の3つの面について研究実績を記載する。 (1)文献研究:人的資本構築の構築方法について、人材ポートフォリオ、資源ベース型戦略論、組織文化等の理論からの分析を目指して文献研究を行う(研究代表者・須田敏子)。 (2)定量研究:(2-1)2016年・2017年実施の「人事部門の組織と機能に関するサーベイリサーチ」(2016年調査は日本企業対象、2017年調査は外資系企業対象)を基に分析を行い、「British Academy of Management 2023 Conference」に投稿し、アクセプトを受けて発表を行う(研究代表者・須田敏子)。(2-2)人的資本可視化指針に基づき2023年3月決算の有価証券報告書から開示が開始した人的資本開示項目について、資本コスト、業績予想誤差との関連について統計的因果探索の手法のひとつであるLiNGAM(Linear Non-Gaussian Acyclic Model)を用いて実証研究を行っている。その結果、資本コスト、業績予測誤差から人的資本開示への因果パスは確認されず、人的資本開示から資本コスト、あるいは業績予想誤差への因果パスも確認されなかった。この結果を「2023年日本応用経済学会秋季大会」等で発表を行う(研究分担者・森田充)。 (3)文献研究+定性研究:ジョブ型・マーケット型人事による賃金決定と人的資本構築について、日立製作所・東京エレクトロン・テルモ・三菱ケミカル・三菱マテリアルの5社を調査し、英米の文献研究結果とともに書籍『ジョブ型・マーケット型人事と賃金決定ー人的資本経営・賃上げ・リスキリングを実現するマネジメント』を出版する(研究代表者・須田敏子)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献研究、定量研究、文献研究+定性研究の3つの側面から現在までの進捗状況を記載する。 (1)文献研究:人的資本経営について、人的資本開示を中心としたアカウンティング分野での議論、経営戦略とHR戦略のマッチングモデル、資源ベース型戦略論に基づくSHRMモデル、人材ポートフォリオモデル等に関するHR分野における1980年代から蓄積されてきた研究に関する文献研究を行う。当面のアウトプットは、2024年度開講「人的資本経営」の実施である。 (2)定量研究:(2-1)「人事部門の組織と部門に関するサーベイリサーチ」に基づき論文を執筆し、「British Academy of Management 2023 Conference」にアクセプトされて口頭発表を行う。(2-2)人的資本開示に関する実証分析。具体的にはサステナビリティに関連する情報開示がどのように企業価値につながるか、因果推論のアプローチではなく、因果探索という新しい分析手法により分析を進める。同時に人的資本に関連して賃金に関する情報と株式リターンの観点で分析を行い、いくつかの国内学会・研究会で口頭発表を行う。 (3)文献研究+定性研究:文献研究面は、ジョブ型・マーケット型人事に関する英米を中心に先進諸国の動向に関する文献研究を行う。具体的には、日本で普及してきた伝統的職務評価付きマーケットペイ活用と2000年前後から欧米で普及してきているマーケットプライシング型マーケットペイ活用に関する具体的方法と、英米のマーケットペイデータなどである。定性研究面は、日立製作所・東京エレクトロン・テルモ・三菱ケミカル・三菱マテリアルに対するケーススタディの実施である。文献研究と定性研究の結果は、書籍『ジョブ型・マーケット型人事と賃金決定ー人的資本経営・賃上げ・リスキリングを実現するマネジメント』として出版した。
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今後の研究の推進方策 |
本科研費研究の残りの期間である2024~2026年度の3年間の推進方策は以下のとおり。 (1)2022年実施の「外資系企業の人材マネジメントに関するサーベイリサーチ」の分析と発表を進める。内容は、2016~2017年度実施の2つの「人事部門の組織と機能に関するサーベイリサーチ」の分析から、資本国籍によって人事施策の選択に関する海外子会社のコントロール度合いが異なることが発見されている。今後は、2021年度実施の「外資系企業の人材マネジメントに関するサーベイ」を分析し、資本国籍以外の海外子会社のコントロール度合いを決める要因を分析する。具体的な分析方法は、従来の因果推論に加えて2023年度に実施した因果探索の手法である。 (2)科研費研究で継続的に実施してきたサステナビリティ重視という制度環境の形成・普及メカニズムに関する制度派組織論・補完性分析などの観点からの分析を進める。具体的には、人的資本経営、ESG、SDGs、コーポレートガバナンスコードなどさまざまなサステナビリティの領域が、「なぜ」「どのように」経営と人事分野(人事施策・人事機能)に影響を与えるかを分析していく。 (3)科研費研究で継続して実施してきたジョブ型・マーケット型人事の研究から、ジョブ型・マーケット型人事は人的資本構築に直結していることが発見されたため、ジョブ型・マーケット型人事による人的資本構築方法に関する分析をさらに進め、理論の精緻化を図る。同時にケーススタディを進めて、ジョブ型・マーケット型人事と人的資本経営の具体的な関係を明らかにする。具体的には、従来のケーススタディ企業に対する研究の深化とケーススタディ企業の数の拡大である。さらに、定量研究についても2025~2026年度に厚生労働省・労働政策研究・研修機構と共同で実施する計画が現在進行中である。
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