研究課題/領域番号 |
23K22153
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補助金の研究課題番号 |
22H00882 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
秋野 晶二 立教大学, 経営学部, 特別専任教授 (50202536)
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研究分担者 |
菊池 航 立教大学, 経済学部, 教授 (00710724)
山中 伸彦 立教大学, ビジネスデザイン研究科, 教授 (40339594)
黄 雅ブン 北星学園大学, 経済学部, 准教授 (50609914)
安田 直樹 立教大学, ビジネスデザイン研究科, 准教授 (70756981)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2024年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2022年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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キーワード | GVC / グローバルバリューチェーン / ガバナンス / 調整 / パワー関係 / サプライヤーチェーン / グローバル・バリュー・チェーン |
研究開始時の研究の概要 |
今日の生産体制は、グローバルに立地した多数の独立企業で構成される企業間ネットワークによって実現されている。本研究は、この企業間ネットワークにおいて不可欠な企業間の管理・調整について理論と実証の両面から解明する。理論研究では、GVC研究におけるガバナンス理論の批判的検討を通じて、ガバナンス理論の深化と発展を試みる。実証研究では、理論的研究を踏まえ、主に電子機器産業を対象とし、定性的・定量的な実証分析を通じて、企業間ネットワークにおける多様な企業間調整の実態をガバナンス・メカニズムとして整理し、そのメカニズムのパワー関係とその要因を解明する。
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研究実績の概要 |
研究代表者・分担者それぞれの理論研究・文献研究に加えて、専門の研究者からのアドバイス、国内外の企業や個人に対する聞き取り調査や収集資料、質問紙調査はおおよそ当初の予定通りに進み、それぞれの調査・研究から、各社のGVCのガバナンス、調整の実態と既存理論の問題点が明らかになってきた。特に国内外の聞き取り調査では、企業間調整の実態に関して具体的に聴取することができた。 以上のような本年度の研究活動に基づいて以下のような成果と課題が明らかとなった。理論的研究と実態調査から、GVCガバナンス論において想定されているガバナンス類型の三つの規定要因ではGVCの実態を解明するには十分ではないことが明らかになってきた。すなわち、GVCのガバナンス論で想定されている業界ごとの類型では、実際のGVCの複雑性、すなわちGVCを構成する多様で多数の企業間のガバナンスや調整の実態を十分に反映することができないということが明らかとなってきた。この点を踏まえて、GVCを構成する多様な部品やコンポーネントのサプライヤーの複雑な関係性、すなわちリード企業-サプライヤー間の複雑な企業間関係を反映した実態の把握と理論的な枠組みの考案が必要であるということが明らかとなった。 また聞き取り調査では自動車業界関連企業の調査も実施しており、その調査の過程で、業界間のガバナンスの実態に大きな違いがあることも発見でき、新たな研究課題も見つけることができた。 ただし本研究の質問し研究では、回収率が低く、実数も少なかったため、当初予定していた統計的な解析ができなかった。しかし本調査はパイロット調査として実施されたものであり、したがって次年度は件数を多くして、質問紙の内容、調査対象などにも検討を加え、改善する必要があると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、研究会を7回実施し、研究代表者・分担者それぞれの研究報告、研究の予定と進展・成果の報告がなされた。またGAFAのネットワーク研究を行っている2名の専門家を講師に招聘し、プラットフォームの実態に関連してレクチャーをしてもらい、当該分野の知見を得るとともに、本研究のパイロット質問紙調査へのアドバイスや統計研究の際の留意点などのコメントをもらった。また国内調査については、合計4社に対して、対面あるいはオンラインによる聞き取り調査を実施し、海外調査では、米国サンフランシスコ・シリコンバレーおよび台湾台北・新竹への調査を実施した。前者については、スタンフォード大学でのアップル社のアーカイブの資料収集をほぼ終えることができ、後者では、予定していた企業や個人、各種機関7か所への訪問と聞き取りを実施することができ、さらに図書館や資料室では新たな資料や文献なども探索することができ、次年度に収拾する予定とした。アンケート調査については、質問紙を作成したうえで、電子回路業界150社に対してパイロット調査として質問紙調査を実施し、12社から回収がなされ、その解析を行った。 以上の研究活動により、本研究プロジェクトは、初年度で計画していた内容をほぼ実行することができ、したがって進捗状況としては、おおむね順調に進展したといえる。 ただ本研究では質問紙調査においてその回収率が低く、実数もすくなかったため、当初予定していた統計的な解析が十分にできなかった点が、課題として残されている。パイロット研究ということもあったため、この調査の経験を基にして、本調査となる次年度においては、調査件数を増やすだけではなく、質問紙の内容の改善、調査対象の厳選、補助調査の実施などを検討することで、回収率を上げ、また補足的な調査を実施するなどの工夫をして、改善することが必要と考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、当初予定していた通り、まずは研究会(6~7回)を基礎にして各参加者の研究報告の確認・検討を行うとともに、専門家に講師を2回程度依頼し、アドバイスを受けることとする。また企業等へのインタビュー調査も国内については当初予定よりも回数を増やし、8~10回(含:オンライン)ほど実施したい。これは質問紙調査の回収率が低かったため、これを補完するものである。これに伴って、海外調査においても、本研究において中心となる台湾のおける企業・個人・機関の調査に集中し、訪問調査に重点をくこととする。そのため、当初予定していた米国調査を台湾調査に振り替え、台湾調査を2回実施することとする。調査企業・個人を増やすことで、資料収集も含めた台湾調査を拡大、実態の解明に注力する。 現在課題となっている質問紙調査については、当初予定通り7月あるいは8月中に実施予定とし、9-10月に一度結果を整理することとする。ただし、パイロット調査での回収率の低さを改善するために、質問の改良・簡素化、調査対象企業の限定(業種・製品の限定)、調査企業数の増加などの方策を講じることとする。また先に挙げたように質問紙調査の補完としてインタビュー調査を実施することで、質問紙調査との連携を図り、実態調査の充実を図ることとする。 また今年度は本研究の理論研究と実態調査を踏まえた論文執筆の構想を作成し、執筆することを予定している。特に質問紙調査の結果を踏まえて10~11月ころには論文の構想をまとめ、それに基づいて研究代表者・分担者の中から執筆者を選定し、論文の共同執筆を行う。なお当該論文は立教大学の助成により英文論文とし、投稿を予定する。 それ以外に研究代表者・分担者は本研究活動を通じて得た知見を適宜論文執筆や学会報告で公開し、研究会などを通じてメンバー間で共有しながら、本研究全体を進めていく。
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