研究課題/領域番号 |
23K22162
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補助金の研究課題番号 |
22H00891 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07090:商学関連
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研究機関 | 椙山女学園大学 (2024) 神戸大学 (2022-2023) |
研究代表者 |
南 知惠子 椙山女学園大学, 現代マネジメント学部, 教授 (90254234)
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研究分担者 |
高嶋 克義 追手門学院大学, 経営学部, 教授 (30197090)
西岡 健一 関西大学, 商学部, 教授 (40553897)
結城 祥 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (10554321)
金 昌柱 立命館大学, 経営学部, 教授 (40580501)
田頭 拓己 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (10802241)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
13,520千円 (直接経費: 10,400千円、間接経費: 3,120千円)
2024年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | マーケティング / 流通・ロジスティックス / 商業 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の概要は、デジタル化進行によりメーカーが消費者への直接的取引を行うDtoCや定額課金サービスの出現を背景とし、メーカーのECチャネル戦略を通じたエンクローチメントに対し、小売企業が行う対抗と協業とを研究対象とするものである。本研究は、取引コスト理論に基づき、併せてサービス・マーケティングの観点も導入し、小売企業のメーカーECに対する対抗・協業と市場成果との関連をモデル化し、実証分析を行うものである。
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研究実績の概要 |
本研究では、メーカーによるDtoCやECを通じた消費者への直接的アプローチを、小売領域へのエンクローチメントと捉え、小売企業の対抗と協業への誘因を定式化し、市場成果との関連性を実証することを目的としている。初年度にあたる令和4年度では、まず本研究の理論的基盤を整理し、実証研究を進めるためのデータ収集、さらに関連する研究トピックでの実証研究を行った。具体的には、分担者の高嶋は、商業とマーケティングの対立に関して理論的に再検討し、情報化が小売業に与える影響を論じ、査読誌に論文掲載した。また分担者の金は小規模小売企業の戦略的な協業についての実証研究を進め、海外査読誌に採択された。分担者の結城はメーカー側の製品差別化について市場志向と投機―延期の理論的枠組みから実証的にアプローチし、海外査読誌に論文を掲載した。 研究代表者の南は、分担者の田頭、西岡とともに、実証研究のための小売企業の出店状況と小売企業のECプラットフォームへの出店状況、DtoC企業のオンライン出店状況についてのデータを収集し、データベース構築に着手した。また南は、これまで小売研究において小売企業の市場への組織的対応に焦点を当て、マネジャーの権限とタスクからアプローチしてきたが、その研究成果を海外査読誌にて論文掲載した。 デジタル化の進行に伴い、小売企業がECへの進出を図ることと、メーカーが直接販路を構築することは近年注目を集めているが、小売企業の取り得る戦略について理論的に定式化し、実証的に市場成果を示す研究がこれまでに行われておらず、代表者、分担者による本年度の研究アプローチは、本テーマについての理論的な整備を行い、関連する次元、小売企業の協業や、メーカーの製品戦略、さらに小売企業の組織的な対応についての研究を進めたという点で重要性を持つ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年間の研究計画の中で、初年度は理論的な検討とデータベース構築を計画していたが、メーカーの小売へのエンクローチメント現象について、従前のメーカーによる製販統合といった垂直統合問題という理論的な設定ではなく、デジタル化によりメーカーと小売企業がどのように対抗、協業戦略を採り得るかについて理論的に検討したという点で研究上、順調に進めていると言える。メーカーは製品を企画・製造し、流通業者に販売すること、商業者である小売企業はメーカー・卸からの仕入れにより社会的品揃えを形成することが期待される役割であったが、それぞれの役割がエンクローチメントにより変化し、メーカーも小売企業もデジタルプラットフォームで消費者にアプローチできる状況になった現在、理論的に直接的に消費者アプローチをする誘因や成果、ECプラットフォーム形成や、出店により利用する誘因と成果について理論的に明らかにする必要があり、理論的整理を行ったことで研究が進捗したと言える。 また、本研究ではDtoC戦略を行う企業がどれだけ存在するか、小売企業が対抗するための出退店状況、さらに小売企業のECプラットフォームへの出店状況についての情報を必要とするが、メーカー、小売企業の同一商圏(関東6県)のデータ収集を年次と月次で収集できるように整備できたことが進捗である。 理論的な検討に加え、本テーマについての実証研究を進めるに際し、種々の統計解析手法を検討する必要があり、本年度が関連するテーマについての研究を実施し、実証研究手法を様々に実践してきた点においても研究が進捗していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、理論的な整備とデータベース構築の着手、さらに関連テーマの実証研究を行ったが、今後の研究を推進するためには、データベース構築を完成させ、小売企業の対抗と協業の2つの動きに関する実証研究を実施していく必要がある。メーカーと小売、さらにECプラットフォームに関する実証研究の分担関係をさらに進め、隔月による定期的な研究ミーティングを対面やオンラインでことにより研究をより着実に推進していくことを計画している。 令和4年度に収集し、構築したデータベースに含まれるデータ項目に加え、仮説検証上、さらに必要となるデータ項目についてはリサーチアシスタントやアルバイト学生を雇用し、公開データを収集してデータベース統合を進める予定である。モデルの検討や、統計解析手法については、海外研究協力者の助言も得て、洗練させる予定である。 上記のように、理論的、実証的な研究をさらに推進していく予定である。
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