研究課題/領域番号 |
23K22166
|
補助金の研究課題番号 |
22H00895 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
岡田 幸彦 筑波大学, システム情報系, 教授 (80432053)
|
研究分担者 |
櫻井 鉄也 筑波大学, システム情報系, 教授 (60187086)
佐野 幸恵 筑波大学, システム情報系, 准教授 (60580206)
今倉 暁 筑波大学, システム情報系, 准教授 (60610045)
角ヶ谷 典幸 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (80267921)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)
2025年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
|
キーワード | 会計情報科学 / データ解析 / 管理会計 / 会計情報システム / 機械学習 / アカウンティング・インフォマティクス / データコラボレーション / 疑似データ / 仕訳データ解析 / 財務諸表分析 / テキスト分析 / 意思決定会計 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、管理会計と会計情報システムの高度化と知能化を主眼としたアカウンティング・インフォマティクス(会計情報科学)の確立を目指す基盤研究である。本研究では、(a)勘定科目が異なり、欠損が多く、分散しがちな会計データを一貫して情報処理するための理論・技術、(b)会計データと企業や組織に関連するテキスト情報等を組合せて情報処理するための理論・技術の構築や開発を目指す。
|
研究実績の概要 |
2023年度は、アカウンティング・インフォマティクス(会計情報科学)の基盤研究を発展させるために、(1)機密データである仕訳データを共有せずにデータ解析する手法の研究開発、(2)仕訳データを複式簿記ならではの相互参照性情報を可能な限り保持したデータ解析手法の研究開発、の2点を重点的に行った。その他、日経新聞から辞書を作って有価証券報告書内のテキスト情報を特徴量化し、財務諸表分析とかけあわせる方法等も検討した。 (1)については、データ解析手法自体の研究開発と疑似データの生成手法についての研究開発を行った。データ解析手法は、組織の壁を越えて生データを共有せずに機械学習を行う手法の実証実験、よりセキュアな生データを共有しない機械学習手法の開発、生データを共有せずに平均介入効果や条件付介入効果を推定できる革新的な疑似実験手法の提案を行った。疑似データの生成手法については、SMOTEやVAEを用いたリアルな合成データの作成手法を研究した。これらの研究成果は、2023~2024年度にかけて、仕訳データ解析の文脈で実験と新手法開発に活かす。 (2)については、世界の簿記研究の動向の整理を終え、また、会計分野以外における仕訳データ解析の最新動向も調査した。これらをふまえ、複式簿記ならではの情報が相互参照性(借方と貸方の1セットの関係を保持し続けること)にあることに狙いを定め、相互参照性を活かした特徴量エンジニアリングを検討し、中心性指標やグラフ埋め込み技術によって新たな仕訳特徴量を生み出し、機械学習に活かす方法論を固めていった。この方法論による次月の業績指標の予測精度は、伝統的な自己回帰モデルよりは上回るものの、未だ一貫した法則的性質は見出せていない。2023~2024年度にかけて、アカウンティング・インフォマティクスならではの意義ある法則や方法論を見出していきたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体の研究の進捗やパブリケーションは、非常に順調である。しかし、情報系のパブリケーションは計画以上の成果が出ているものの、会計系のパブリケーションには多少の課題がある。
|
今後の研究の推進方策 |
2023~2024年度も、機密データである仕訳データを共有せずにデータ解析できる手法の研究開発は継続して行い、さらに発展させる。そしてここで生み出された技術やノウハウを、アカウンティング・インフォマティクスとして発展させていく。 今後も研究分担者である櫻井と今倉は、研究代表者とともに、勘定科目が異なり欠損が多く分散しがちな機密情報の会計データを一貫して情報処理するための理論・技術の基盤研究を担当する。今後も引き続き、共同研究契約を結んだ大手税理士法人A社と水戸信用金庫から提供を受けた、現実の仕訳データと決算書データを用いたデータ解析技術の研究開発を行う。特に、仕訳データ特有の情報を解析・活用するための基盤技術と、決算書の階層構造と入れ子構造を加味したモデル化技法について研究開発し、実社会での活用可能性を議論する。 一方、研究分担者である角ヶ谷と佐野は、研究代表者とともに、会計データと企業や組織に関連するテキスト情報等を組合せて情報処理するための理論・技術の構築・開発を行う。今後は会計系のパブリケーションを強化し、大阪大学の椎葉教授をはじめ、会計学者の共同研究者の輪を広げ、アカウンティング・インフォマティクス研究を加速させていく。これらの取り組みと研究成果によって共有可能な疑似的会計データを作成することができた場合は、オープンデータとして社会工学データバンク(https://commons.sk.tsukuba.ac.jp/data)へ登録するとともに、よいデータ解析事例については社会工学ディスカッションペーパーシリーズもしくデータサイエンス・ケースバンク(https://datasci.sk.tsukuba.ac.jp/)へ採録し、アカウンティング・インフォマティクスのオープン・サイエンスの土壌を整える。
|