研究課題/領域番号 |
23K22173
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補助金の研究課題番号 |
22H00902 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
赤川 学 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (10273062)
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研究分担者 |
櫛原 克哉 東京通信大学, 情報マネジメント学部, 専任講師 (00814964)
渡邊 隼 日本大学, 経済学部, 講師 (10908627)
出口 剛司 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (40340484)
井口 高志 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (40432025)
祐成 保志 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (50382461)
佐藤 雅浩 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (50708328)
藤田 研二郎 法政大学, 人間環境学部, 准教授 (60802105)
石島 健太郎 東京都立大学, 人文科学研究科, 准教授 (70806364)
武内 今日子 関西学院大学, 社会学部, 助教 (20980585)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2026年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2025年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2024年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 多重的社会問題 / 地域包括ケア / 地域(居場所) / 構築主義 / ハウジング / 障害学 / 医療社会学 / 批判的社会理論 / 環境社会学 / 人口減少社会 |
研究開始時の研究の概要 |
21世紀の世界は、多産多死から多産少子、少産少死という人口転換を経て、「少産多死」という新たなステージに到達することが見込まれる。本研究の目的は、「少産多死」が一般的となる多死社会・日本において、多重化する社会問題を分析する理論と方法を、統合的に発展させることである。その目的を達成するために、本研究では、(ア)人びとの主観的意味世界を記述する構築主義的フィールドワーク、(イ)社会問題を認知するリテラシーと、課題解決に向けて行動するコンピテンス(能力)の分布とその要因を解明する大規模アンケート調査、(ウ)社会の構造変容がもたらす帰結を批判的に読解する理論社会学という3つの手法を組み合わる。
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研究実績の概要 |
21世紀の日本では、年間死亡者が100万人を越え、慢性疾患など長くて緩慢な死が多数を占める「多死社会」が出現する。同時に、誰もが住み慣れた地域で暮らすことができる地域包括ケアシステムの構築が、大きな政策的課題となる。地域包括ケアシステムは、人間のさまざまな行為が医療化されつつあるという構築主義的医療化論の認識枠組みのもとで、新たな角度から分析される必要があるという認識のもと、研究を遂行した。 特に福祉社会学・医療社会学・障害学の分野では井口高志は、「『スピリチュアリティ』と言わずに死や超越的なことを言葉にすることに関する鼎談を行った。また石島健太郎は、1970年代における色盲の治療に関するレトリック戦略について研究し、日本社会学会学会賞(論文の部)を獲得した。また佐藤雅浩は、精神疾患言説における逸脱と医療化について再考し、櫛原克哉は東京都多摩地域の病院スタッフを対象としたインタビュー調査により、精神科病院の長期入院および脱施設化の動向について考察した。 また都市社会学やハウジング研究や環境社会学の分野では祐成保志は「住まいの不平等と政府の責任について理論的に検討し、「『新しい生活困難層』の登場について実証的に分析した。また渡邊隼は、スマートシティをめぐる研究動向について整理した。さらに藤田研二郎は、環境NGO・NPOの経済的条件を捉えるために経済的機会構造を検討し、漁業者の藻場保全活動とブルーカーボンについて鹿児島県指宿市山川地区での取組みを分析した。さらに研究会議を1回開催して、人口減少社会における多重的社会問題を把握する理論と方法を再検討した。また言説分析や構築主義フィールドワークを国際的に牽引するライナー・ケラー教授(アウクスブルク大学)を招請して、多重的社会問題を理論化する方法論に関する国際ワークショップを開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者・赤川学は、昨年までの研究実施状況をもとに、少子化や結婚に関する社会発信を行うとともに、猫をめぐる社会問題の構築主義アプローチにも着手している。また、言説の知識社会学的アプローチや、質的統合法(KJ法)を多重的社会問題を経験的に分析するための方法論として応用すべく検討を重ねている。 本プロジェクトが目的とする既存研究業績の英語発信に関しては、研究分担者のうち、井口高志は、Takashi Iguchi, 2024, “The Logic of Dementia Prevention in Contemporary Japanese Society and Its Rise and Fall: An Analysis of Newspaper Article Texts since 1980s”, British Sociological Association Virtual Annual Conference 2024 (Recorded Presentation submitted in February), April 3-5, Online.という研究報告を、石島健太郎はIshijima, Kentaro, 2023, “How to recognize innate disposition of care workers”, XX ISA World Congress of Sociology, Melbourne, June 2023という研究報告を行っている。 その他、研究代表者を中心として、日本語による著書、論文の公刊を積極的に行っている。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者・赤川学は、少子化や結婚に関する社会発信を行うとともに、言説の知識社会学的アプローチや、質的統合法(KJ法)を多重的社会問題を経験的に分析するための方法論として応用すべく検討を重ねている。 本プロジェクトが目的とする既存研究業績の英語発信に関しては、研究分担者のうち、井口高志は、Takashi Iguchi, 2024, “The Logic of Dementia Prevention in Contemporary Japanese Society and Its Rise and Fall: An Analysis of Newspaper Article Texts since 1980s”, British Sociological Association Virtual Annual Conference 2024 (Recorded Presentation submitted in February), April 3-5, Online.という研究報告を、石島健太郎はIshijima, Kentaro, 2023, “How to recognize innate disposition of care workers”, XX ISA World Congress of Sociology, Melbourne, June 2023という研究報告を行っている。 3年目となる2024年度は、言説の知識社会学的アプローチに基づく研究報告を継続するとともに、2024年後半には、社会問題認知リテラシーの分布調査の調査票作成、サンプリング、調査計画などに基づいてオンライン調査を実施する。具体的には社会問題の認知地図を作り、社会問題を深く正確に認識する能力(コンピテンシー)が社会的属性や社会関係資本、文化資本などによって規定されているかどうかを検証する。
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