研究課題/領域番号 |
23K22183
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補助金の研究課題番号 |
22H00912 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
竹ノ下 弘久 慶應義塾大学, 法学部(三田), 教授 (10402231)
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研究分担者 |
石田 賢示 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (60734647)
永吉 希久子 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (50609782)
千年 よしみ 国立社会保障・人口問題研究所, 国際関係部, 特任主任研究官 (00344242)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | 階層 / 移民 / 大都市 / 社会経済的統合 / パネル調査 / 教育機会の不平等 / 労働市場 / 家族 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、世界的にも有数の大都市である東京に居住する移民の社会統合について、独自のパネル調査を企画し実施することで、次の点を明らかにする。第1に、移民の経済的統合について、移民の日本社会における職業生活の変化からかれらの職業経歴を明らかにする。第2に、移民の経済状況をふまえて、日本社会における移民の配偶者選択、家族形成と子どもの出生を明らかにする。第3に、第1の労働市場と地位達成の分析、第2の婚姻と出生という人口学的分析をふまえて移民家族の状況と子どもの教育機会の不平等を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2023年度は、過去2回の調査実施状況をかんがみ、東京都内の調査対象地区に居住する外国籍住民について追加サンプリングを実施した。調査対象となる東京都の区内に居住する20歳から59歳の合計3000名を住民基本台帳より無作為に抽出し、最終的に752名より回答を得た。調査項目は、2021年度と2022年度に実施した調査項目から取捨選択した。そうすることで、これまでに作成した2回分の調査データと結合して分析を行うことが可能となった。調査票は、日本語でベースとなる調査票を作成し、これまでと同様に、英語、中国語、韓国語、タガログ語、ベトナム語に翻訳して、合計で6言語で実施した。これらのアンケート調査の配布と回収を行った。回収した調査票については、昨年度と同様に、コーディング・マニュアルの作成、調査票のエディティング、データ入力、データクリーニングを業者に委託して行い、データセットを構築した。これらのパネル調査の実施と並行して、2023年度も、公的統計を用いたデータ分析や論文執筆を進めた。移民研究を行う上でベースとなる社会階層と不平等に関する理論的、実証的な研究も並行して実施した。さらに、これまでの分析結果についての中間報告を兼ねたワークショップを共同研究者である区役所の職員を交えて行い、意見交換を行った。海外の研究者との研究交流や国際的な学会大会に参加することで、分析手法や海外の移民研究の動向についての専門的な知見を得ることができた。学内の別のプロジェクトで招待し、1か月ほど慶應義塾大学に滞在したイギリスの研究者とも研究交流することで、最新の移民研究の知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度も、これまでの調査の実施状況をかんがみ、調査対象者のサンプリングから調査票の作成、調査票の翻訳、調査票の配布と回収、調査データの入力とクリーニング、データセットの構築を、予定通り行うことができた。また2023年の8月と11月には、中国とドイツで開催された国際学会の大会への参加と研究報告、ウィーン大学での移民研究についての招待講演と同大学の研究者との研究交流を通じて、近年の移民研究の動向について多くの知見を獲得することができた。公的統計データを用いた二次分析も進めており、2023年8月に開かれた国際学会大会ではその成果の一部を報告し、参加者から多くのフィードバックを得た。公的統計データを用いた移民の経済統合に関する研究成果が、国際誌に掲載されるなど、研究は順調に進展している。本科研に関わる多くの研究者が、海外の研究者とのネットワークを有しており、研究成果の国際発信に努めている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、本科研の最終年度にあたる。2024年度も、これまでと同様に第1回調査、第2回調査、追加調査という合計3回行った調査の対象者に対して、かれらを追跡する調査を行う。第2回調査と追跡調査で用いられたものと同じ質問項目を用いることで、移民の時間に伴う変化を明らかにすることを試みる。また、第2回調査と追加調査では、同一の内容を測定しながら、回顧的に質問した項目と調査時点の状況を質問した項目が2種類存在する。設問のたずね方が異なることによって、質問の回答傾向にどのような違いがみられるかを検討したい。そして、移民を対象とするパネル調査は、日本ではほとんど行われてこなかったことをかんがみ、今回の調査でどのような問題に直面したのかなど、調査方法に関わる問題点についても、先行研究と比較しながら検討を進めたい。こうした独自の調査作業と並行して、本年度も各種の公的統計や筆者らが過去に実施したミクロデータを用いた分析もあわせて進めていく。
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