研究課題/領域番号 |
23K22192
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補助金の研究課題番号 |
22H00921 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 奈良大学 |
研究代表者 |
吉村 治正 奈良大学, 社会学部, 教授 (60326626)
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研究分担者 |
正司 哲朗 奈良大学, 社会学部, 教授 (20423048)
村上 史朗 奈良大学, 社会学部, 教授 (30397088)
渋谷 泰秀 青森大学, 社会学部, 教授 (40226189)
佐々木 てる 青森公立大学, 経営経済学部, 教授 (70396597)
増田 真也 慶應義塾大学, 看護医療学部(藤沢), 教授 (80291285)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | 社会調査 / ウェブ調査 / 非標本誤差 / 学習効果 / 選択バイアス / 最小限化回答 |
研究開始時の研究の概要 |
旧来的な社会調査と比べた時に、ウェブ調査は特に一次集計で顕著な偏りを示すことが知られている。だが、現時点ではこの原因が特定できておらず、そのためにこれまでの社会調査の結果とウェブ調査の結果とを直接的に比較することができずに断絶が生じている。本研究では、この偏りがウェブ調査の回答者の代表性とウェブ調査に特有な回答行動の二つの要因によると考え、これを検証することで、ウェブ調査の結果と旧来の社会調査法による調査結果とを対比可能とする補正プログラムの開発を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は、社会学や政治学を中心に議論されてきた非回答誤差および網羅誤差という概念と社会心理学や心理学で展開されてきた測定誤差という概念を統合することで、ウェブ調査の偏りを補正する新しいプログラムを開発し、旧来的な方法による社会調査結果とウェブ調査の結果を対比可能なものとすることを課題とする。旧来的な社会調査とウェブ調査が示す結果の不一致については、社会学者は標本抽出の不明瞭さ(選択バイアス)を指摘し、心理学者・社会心理学者は不注意な回答者の存在(最小限化回答行動)を指摘する。このうち22年度はウェブ調査に特有な回答傾向を社会心理学的な視点から検証していった。まず、旧来の方法に比べてウェブ調査では同じ内容の質問に対して一貫した回答が得られにくいことが本課題の参加者によって明らかとなり、この原因として回答バイアス(特に社会的望ましさのバイアス)と不注意回答者の影響を二つ考え、そのそれぞれの影響を実験的ウェブ調査を実施することで測定した。この調査の結果はいまだ分析の途上であるが、現在のところ、どうやら中間回答選択肢の存在が回答バイアスに影響を与えている可能性が指摘されている。また、回答に用いる機材(スマホ、PCなど)が、例えば不注意回答の発生に影響を及ぼしている可能性についても、心理学的実験を通じて検証した。こちらについてもデータ分析の途上であるが、特にスマホの場合は回答の際にミスが起きやすい(同じような質問が続くと画面が変わったことに気づかない、など)ことが指摘されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
22年度については、本課題ではほぼ予定通りの進捗が得られている。ただし、コロナ禍の影響がまだ残っていたため、たとえば対面での研究会は回数を減らしてオンライン型に切り替えるなどの対処が求められた。また大学生を用いた回答実験でも少人数ごとに時間をずらして実験を行うなどの工夫が必要とされ、この準備のために多少の日程を要した。とはいえ、こうした影響は軽微なもので、全体としては順調に進捗していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
23年度は社会学的な視点からウェブ調査の標本抽出法の影響について検討する。つまり全く同じ質問内容で標本抽出法が異なる二つのウェブ調査、住民基本台帳からの無作為抽出によるウェブ調査と登録モニターを対象とする一般的なウェブ調査を同一の地域で同一の時期に実施し、その結果の不一致を測定し、これと密接に関連する変数を探す。また回答選択肢の与え方を変更したり質問の順序を入れ替えることで、こうした不一致を低減できるかを検証していく。調査の実施についてはすでに調査拠点の自治体との交渉を始めており、本年9月の実施を想定して準備を進めている。また22年度の回答実験によって得られたデータの分析を急ぎ、23年度のうちに学会報告を含む成果報告を行う予定である。
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