研究課題/領域番号 |
23K22195
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補助金の研究課題番号 |
22H00924 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
山岡 祐衣 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, プロジェクト助教 (20726351)
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研究分担者 |
越智 真奈美 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 政策科学研究部, 室長 (00749236)
上鹿渡 和宏 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (10623689)
土井 理美 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (40778982)
伊角 彩 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (70773175)
藤原 武男 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80510213)
木村 一絵 福岡国際医療福祉大学, 看護学部看護学科, 講師 (30432909)
家子 直幸 早稲田大学, 総合研究機構, 客員次席研究員 (10894115)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2026年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 家庭訪問 / 親子関係構築 / 虐待予防 / ペアレンティング / 事故予防 / ペアレンティング・トレーニング / 養育支援訪問事業 / 親子の相互交流 / 心理社会的発達 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、子どもとの関わり方に悩んでいる・家庭環境が安全でないなど、虐待のリスクが高い家庭、または虐待通告後・一時保護解除後などの家族を対象とした家庭訪問型のペアトレ・プログラムを実践し、養育行動や養育環境の改善、育児ストレスの軽減などを検証することを目的に実施する。1年目に国内外の研究者ならびに自治体関係者・児童福祉現場の専門家の意見を踏まえてプログラム開発を行い、2年目以降に本格的に家庭訪問プログラムを導入する。3ー5年目に、養育支援訪問事業との比較研究を実施し、家庭訪問型のペアトレ・プログラムの効果について検証する。
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研究実績の概要 |
本年度の研究では「セーフケア」という家庭訪問によるペアトレ・プログラムを導入するために、1)プログラムの翻訳、2)訪問員へのインタビュー調査、3)自治体との家庭訪問導入に関する打ち合わせ、4)訪問員への研修、5)パイロットの家庭訪問を実施した。1)については、米国のセーフケアのナショナルセンター(National SafeCare Training and Research Center: NSTRC) と連絡をとり、日本で実施する上での版権の利用許可・セーフケア・プログラムの実施・翻訳・文化的修正について相談し、本研究者の所属機関を通じて契約の締結を行った。その上で、マニュアルの翻訳と文化的修正(例えば事故予防に浴槽での溺水を入れるなど、日本にあわせた内容を追加、銃による事故の内容については削除など)を行った。2)現行の家庭訪問事業における課題を整理するため、養育支援訪問事業の訪問員16名にインタビュー調査を実施した。3)セーフケアの導入に合意がとれた福岡市の2区の担当者と、対象家族の選出、家庭訪問導入の流れについてミーティングを実施し、現地のプログラムの運営を児童養護施設のスタッフがコーディネーターとして協働してくださることとなった。4)作成した日本版セーフケア・プログラムの内容をもとに、12ー1月の週末に3日間、訪問員6名に対して研修を実施した。訪問員は養育支援訪問事業の訪問員をしていた人の中から募集をした。5)プログラムの実施に同意がとれた家族に対して、研修を受けた訪問員が3月よりパイロットの家庭訪問を開始した。本研究者は東京医科歯科大学の倫理委員会で承認を受けた上で、家庭訪問対象者と訪問員に対する質問紙調査を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度はまずプログラムの実施に向けた準備に最も時間を費やし、版権の利用許可の取得に始まり、プログラに必要なマテリアルの準備を開始した。同時に、プログラムの実施に同意が取れた自治体(子育て支援の課)の担当者の方とはミーティングを重ねながら、プログラムを受ける家族を紹介する流れを検討し、どのような家族に必要で、どうやってプログラムを紹介し、どのように連絡相談・報告するかという体制作りを行った。また児童養護施設のスタッフがコーディネーターになってくださったことで、その連絡調整などを連携しながら実施することができた。 さらに、自治体が行っている家庭訪問事業における課題を理解するため、研究計画では当初計画していなかった訪問員に対する質的研究を実施したことで、訪問員が抱えるニーズや困難さの理解に繋がり、現在の事業で果たしている役割とセーフケア・プログラムで新たに担う役割の理解や整理をすることができた。 その上で、作成したマニュアルをもとに訪問員の募集、訪問員の研修を行い、そして、対象家族を実際にリクルートして、パイロットの家庭訪問を開始することができたので、研究計画は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の研究では、セーフケア・プログラムの実施可能性(feasibility)とその効果を確認するため、家庭訪問を受けた家族に対し、その前後での質問紙調査を実施していく。養育不安や子育てへの悩みを抱えた家族、子どもとの関わり方や遊び方のスキルが乏しい家族を対象としているため、セーフケアは自治体の担当者がまず声をかけ、それからプログラムの実施と研究の実施の同意を取る流れとなっている。参加者の確保が重要であるが、もともと虐待ネグレクトのリスクが高い家族を対象としているため、リクルートが困難な部分でもある。そのため、家族に家庭訪問を紹介する立場である行政職員に対するインタビューも実施し、家庭訪問をどのように家族に紹介し、導入する上での困難さはどこにあるのかを明らかにする研究も実施したいと考えている。その上で、対象家族数が伸びてくれば、より確かな前後比較の研究結果を報告することを目指す。また次々年度以降の研究計画についても自治体と相談を重ねながら進めていく予定である。
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