研究課題/領域番号 |
23K22206
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補助金の研究課題番号 |
22H00935 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
増井 香名子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (30815220)
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研究分担者 |
岩本 華子 神戸市看護大学, 看護学部, 准教授 (30588687)
山内 圭 新見公立大学, 健康科学部, 教授 (90280156)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2026年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2025年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | ドメスティックバイオレンス / 子ども虐待 / 支援・介入方策 / 強圧的コントロール / Safe and Together / DVインフォームド / 交差 / Safe & Togetherモデル / 実践方策 / 支援者育成 / 米国 / coercive control / ドメスティック・バイオレンスインフォームド / DV・児童虐待 / 子ども家庭福祉 / 児童相談所 / 支援・介入 / 専門職育成 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、児童虐待とDVが交差する状況において子どもと被害者である親の安全と福祉(ウェルビーイング)を高めるための支援と介入のあり方を探求する。 その目的のため、①海外の実践研究(マニュアル・支援者教育プログラム等)、②当事者調査の分析、③支援者への実態等調査、を実施する。得られた知見を実践研究会、研修、セミナー等を通じて実践者に伝え、フィードバックを得ながら、専門職向け研修プログラムや支援ツールを開発する。このプロセスを通じて、強圧的コントロールに基づく支配の本質的理解を深め、DVケースに対応する子ども家庭福祉等の実践ガイドを示し、児童虐待とDVに関わる日本の実践に新たな視点と方策を提供する。
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研究実績の概要 |
本研究は、子ども虐待とDVが交差するケースへの支援・介入方策について検討し、子どもおよびDV被害者の安全と福祉(ウェルビーイング)を高めるための実践につなげることを目的としている。「DV被害者と子どもの支援実践研究会:FaV-RIC実践研究会」を継続的に開催し実践研究を進めた。 取組みとして、国外の先行知見の収集・分析および日本国内の状況を鑑み、知見の早期共有が必要であると考え、発信と実態調査に努めた。主な取組みは以下の通りである 1)米国のマニュアル"Child Protection in Families Experiencing Domestic Violence”の分析結果をまとめ、子ども虐待防止学会学会誌「子どもの虐待とネグレクト」において報告した。2)Safe & Togetherモデルの高度専門職・実践者向けトレーニング内容に対する整理・分析に着手した。3)Safe & Togetherのe-ラーニング「Japanese: 日本語版)Safe & Together:イントロダクション【モデル入門】」を6箇所の児童相談所および2箇所の婦人相談所職員に提供し、コース受講後にアンケート調査とインタビュー調査を実施した。その中で、日本の実践現場におけるSafe & Togetherモデルの知見の有用性を確認した。4)昨年度に続き、ライブ配信セミナー「DVと子ども虐待が併存するケースにおける児童福祉実践-Safe&Togetherモデルから学ぶ-」を主催し、DV加害者のエンゲージメントについて日本の実践現場に紹介した。5)子ども虐待防止学会公募シンポジウムにおいて報告を行い、加害者の関わりに関する米国の児童保護機関のマニュアルの紹介および加害者面接をロールプレイにより紹介した。6)子どものインタビュー調査から明らかになった子どもの強圧的コントロールの被害実態や経験等を複数の学会において報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国外実践の調査研究と並行し、研究知見を論文・学会・セミナーの開催・実践調査により国内研究者・実践者に向けて精力的に発信することができた。特に、2023年度は日本の児童福祉現場が十分に知見を持ち得ていないDV加害者である親へのエンゲージメントと面接をテーマに取り組みを進め、オンラインセミナーおよび子ども虐待防止学会において知見を実践者に発信する機会をもてたことは、意義深いと考える。Safe & Togetherモデルを紹介するオンラインセミナーでは昨年度に続き500名を超す子ども虐待やDV支援の専門家等の参加申込みがあった。 また、Safe & Togetherのeラーニング「Japanese: 日本語版)Safe & Together:イントロダクション【モデル入門】」を実践者105名に提供しつつ、その効果及び実践現場の現状を把握するための調査を実施することができた。eラーニングでの学びや知見が実践にとって役立つ(「とても役立つ」+「役立つ」)と回答したのは96.7%、eラーニングでの学びや知見を、DVを経験した家族のケースに適用することに意欲を感じる(「とても強く感じる」+「強く感じる」)と回答したのは92.3%であった。特に意欲を感じる(「強く意欲を感じる」+「意欲を感じる」)と回答があった内容は、「加害者の行動が子どもに及ぼす影響を理解する」「加害者の行動が被害者や被害者である親の子育てに及ぼす影響を理解する」「被害者である親のストレングスを理解する」「DVとメンタルヘルス・物質依存との交差や影響を理解する」であった。 以上のような取り組みができたことによりおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、引き続き海外の資料等の調査実施に努めるとともに、これまで積み上げてきたDV被害者支援の知見およびDVケースにおける児童福祉に関わる国外の先行知見を日本の実践現場に発信する機会をもち、日本のDVと児童虐待の交差ケースへの支援・介入の実践の変革につなげる年としたい。これまでの研究を踏まえ、日本への実践現場への導入を試みる際の視点として、①強圧的コントロールに基づくDV支配の理解、②被害親のストレングスに基づいた協力関係の構築、③加害者パターンの理解と加害親の行動変容につながる関与を挙げることができる。これらを踏まえ主に以下に取り組む予定である。 1)Safe & Togetherモデルの創設者であるDavid Mandel氏の書籍を翻訳し、実践者を対象に読書会を開催し、その知見の日本への援用について検討する。2)DV被害者支援等に関する知見を書籍化し発表する。3)支援者のアンケート結果から日本における加害者が行う強圧的コントロールの実態を分析する。4)昨年度実施したSafe & Togetherの知見提供による支援者調査の継続的実施の可能性を検討しつつ、調査結果の分析を実施する。5)子ども虐待防止学会にSafe & TogetherのDavid Mandel氏の招聘を行うとともに、シンポジウムを開催する。
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