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社会的養護を18歳未満で措置解除された若者の重なり合う困難と家族形成に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K22208
補助金の研究課題番号 22H00937 (2022-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2022-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分08020:社会福祉学関連
研究機関佛教大学

研究代表者

長瀬 正子  佛教大学, 社会福祉学部, 准教授 (20442296)

研究分担者 永野 咲  武蔵野大学, 人間科学部, 准教授 (10788326)
松本 伊智朗  北海道大学, 教育学研究院, 特任教授 (20199863)
谷口 由希子  名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 准教授 (80449470)
伊部 恭子  佛教大学, 社会福祉学部, 教授 (90340471)
新藤 こずえ  上智大学, 総合人間科学部, 准教授 (90433391)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
14,040千円 (直接経費: 10,800千円、間接経費: 3,240千円)
2026年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2025年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
キーワード社会的養護 / ケアリーバー / 若年層 / 家族形成プロセス / 最困難層 / 退所者 / 健康リスク / 家族形成 / 再困難層
研究開始時の研究の概要

本研究の目的は、児童養護施設等の社会的養護で育ち、退所した若者(以下、退所者)の実態と生活困難の諸相を明らかにすることである。特に、①18歳未満で児童福祉法の措置対象年齢であるにもかかわらず措置を解除された若年層、②退所者自身の家族形成のプロセスに焦点をあてる。退所者を、日本社会において最も社会的排除されやすく複合的な困難を抱えやすい層と位置づけ、若年で妊娠や出産を経験し、早期に家族形成にいたる退所者の生活世界を明らかにする。家族の支援を得にくく困難に陥りやすい若者の実態を描き出すとともに、施設等で育つ子ども、退所者への政策的介入および支援のあり方を検討することを目指す。

研究実績の概要

2023年度は、本研究の目的である児童養護施設等で育った若者の健康リスクと家族形成のプロセスについて下記のように研究をすすめてきた。
【調査1】養育者・支援者への面接調査は、インタビューをする予定の10施設のうち半数を実施することができた。2018年度に実施した自立援助ホーム退居調査において、支援者が「最も困難である」と捉えた事例の具体的な様相について時系列に沿って把握することができた。障害、それによってもたらされる学校からの排除等退居者が困難に陥るいくつかの背景が明らかとなった。
【調査2】退所者を継続的に追跡するパネル調査では、千葉県の退所者調査を千葉県のアフターケア機関とともに実施することができた。具体的には、2023年12月に質問紙調査を実施し224名の回答を得ることができた。児童養護施設(66.1%)と自立援助ホーム(21.0%)で育った経験をもち、男性が42.9%、女性が52.2%という結果であった。また、2024年1月から3月にかけて31名の社会的養護経験のある方にインタビュー調査を実施することができ、質問紙調査では把握しきれないケアリーバーの困難をインタビュー調査によって把握することができた。千葉県でアフターケアを担う事業所CANSとのつながりを得ることができ、今後、退所者の方の生活動態を捉えていくパネル調査についても実現できる可能性が高いと考える。
【調査3】妊娠・出産・子育てを経験した退所者への面接調査の調査については、前述した千葉県の退所者調査において複数名の妊娠・出産・子育てを経験した退所者のインタビューを実施することができた。
【調査4】海外訪問調査については、永野・長瀬がサポーターとして参与する社会的養護の当事者参画を進める団体IFCAとの交流のなかで、アメリカの社会的養護事情に触れ、調査実施の方向について検討を続けている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度は、新型コロナウィルスの影響も弱まり、調査を前に進めることができた。
【調査1】養育者・支援者への面接調査は、予定している施設のうち、半数の施設に調査を実施することができた。
【調査2】退所者を継続的に追跡するパネル調査では、千葉県のアフターケア機関とともに社会的養護施設を退所して10年以内の退所者の実態について質問紙調査とインタビュー調査を実施することができた。千葉県でアフターケアを担う事業所CANSとのつながりも生まれ、継続的なパネル調査を実施する可能性が高まった。
【調査3】妊娠・出産・子育てを経験した退所者への面接調査については、千葉県の退所者調査を踏まえ、今後の具体的な調査設計に着手している。
【調査4】についても、2024年度訪問に向けて順調に情報収集することができている。

今後の研究の推進方策

2024年度以降は、本研究の目的である児童養護施設等で育った若者の健康リスクと家族形成のプロセスについて下記のように研究をすすめていく予定である。
【調査1】養育者・支援者への面接調査について、2024年度中に予定している施設への調査を完了する予定である。面接調査をとおして、困難に陥る若者の状況には障害や早期の学校からの排除等いくつか共通する困難が明らかとなった。今後分析をすすめ、何が困難をもたらすリスクとなっているのか、何が課題であるのかを明らかにしていく。また、2025年度においては、これらの研究成果を学会等で発表していく。
【調査2】退所者を継続的に追跡するパネル調査では、2023年度に実施した千葉県の退所者調査において質問紙調査およびインタビュー調査の分析をすすめ、夏ごろをめどに研究成果報告書としてまとめる予定である。2026年度には、第1回目パネル調査を実施できるよう準備を進めていく。
【調査3】妊娠・出産・子育てを経験した退所者への面接調査の調査については、【調査2】の千葉県退所者調査のインタビュー調査では複数名の妊娠・出産・子育てを経験した退所者が協力してくださった。これらの退所者のインタビューの分析をすすめ、女性ならではの困難さにどのようなものがあるかという点、社会的養護経験者ならではの困難さに着目しながらすすめていく。
【調査4】海外訪問調査については、永野・長瀬がサポーターとして参与する社会的養護の当事者参画を進める団体IFCAとの交流のなかで、アメリカの社会的養護事情についての情報収集をすすめてきた。また、オーストラリアのCREATE(クリエイト)という社会的養護の経験のある若者の活動に着目し、3月に訪問する予定である。

報告書

(2件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (31件)

すべて 2024 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (16件) (うちオープンアクセス 5件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 図書 (7件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] 社会的養護経験者による「伝えたいこと」と支援課題―全国調査自由記述内容の分析結果から2024

    • 著者名/発表者名
      伊部恭子
    • 雑誌名

      佛教大学 社会福祉学部論集

      巻: 20 ページ: 153-174

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 子どもの「声」とその基盤 ―児童養護施設における『子どもの権利ノート』から考える2023

    • 著者名/発表者名
      長瀬 正子
    • 雑誌名

      こころの科学

      巻: 232 ページ: 35-40

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] 『子どもの権利』を日常の言葉に ―保育の営みを考える2023

    • 著者名/発表者名
      長瀬 正子
    • 雑誌名

      季刊保育問題研究

      巻: 321 ページ: 8-21

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] 児童養護施設等で育った若者のメンタルヘルスー自立援助ホーム退居者調査の結果から―2023

    • 著者名/発表者名
      谷口由希子
    • 雑誌名

      精神科

      巻: 42巻第5号 ページ: 611-616

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] 18歳以降を支援するー「子ども」のその後とは2023

    • 著者名/発表者名
      谷口由希子
    • 雑誌名

      月刊福祉

      巻: 106巻5号 ページ: 29-32

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] こども家庭庁設置の意義とその課題―子どもの権利の観点から―2023

    • 著者名/発表者名
      谷口由希子
    • 雑誌名

      福祉のひろば

      巻: 278 ページ: 30-35

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] 社会的養護経験者がふりかえるケアに関する評価―全国調査の自由記述回答から―2023

    • 著者名/発表者名
      伊部恭子
    • 雑誌名

      佛教大学 社会福祉学部論集

      巻: 19 ページ: 115-136

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 児童養護施設で生活する子どもの主体的な選択と支援の仕組み―子どもの意見表明権に着目して―2023

    • 著者名/発表者名
      谷口由希子
    • 雑誌名

      人間文化研究

      巻: 39 ページ: 57-68

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 子ども家庭庁設置の意義とその課題―子どもの権利の観点から―2023

    • 著者名/発表者名
      谷口由希子
    • 雑誌名

      福祉のひろば

      巻: 278 ページ: 30-35

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [雑誌論文] 子どもの「声」を聴くって?―子どもの権利の視点から考える―2023

    • 著者名/発表者名
      長瀬正子
    • 雑誌名

      ちいさいなかま

      巻: 733 ページ: 87-95

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [雑誌論文] Child and young adult care leavers with disabilities in social care in Japan2023

    • 著者名/発表者名
      Kozue Shindo
    • 雑誌名

      上智大学社会福祉研究

      巻: 47 ページ: 56-76

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 社会的養護を必要とする若者の現状から児童福祉を考える ―「困難な状況にある層」に注目して―2022

    • 著者名/発表者名
      長瀬正子
    • 雑誌名

      世界の児童と母性

      巻: 91 ページ: 11-15

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 子どもに権利を伝えるということ―『子どもの権利ノート』の進展と課題―2022

    • 著者名/発表者名
      長瀬正子
    • 雑誌名

      子どもの虐待とネグレクト

      巻: 24巻1号 ページ: 21-28

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [雑誌論文] コロナ下で子どもに権利を伝える絵本をつくる ― 国連・子どもの権利委員会の声明をもとに―2022

    • 著者名/発表者名
      長瀬正子
    • 雑誌名

      支援

      巻: 12 ページ: 19-31

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [雑誌論文] 第16回全国大会基調講演 なぜ、どのように、子どもの貧困を問題にするのか2022

    • 著者名/発表者名
      松本伊智朗
    • 雑誌名

      学校ソーシャルワーク研究

      巻: 17 ページ: 2-15

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [雑誌論文] 思春期・若年期女性の自立をめぐる困難 : 札幌市若年女性調査を通して2022

    • 著者名/発表者名
      佐藤 奈月・加藤 弘通・Hou Yuejiang・松本 伊智朗
    • 雑誌名

      生活指導研究

      巻: 39 ページ: 21-31

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 日米・当事者ユースの視点から虐待対応および社会的養護の視座を問う2023

    • 著者名/発表者名
      永野 咲, Madison Dao-whitten 中丸冬葵 ,宮崎奈々 , 長瀬正子
    • 学会等名
      日本子ども虐待防止学会第29回学術集会滋賀大会公募シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] わたしの気持ちと子どもの権利2023

    • 著者名/発表者名
      長瀬正子・momo
    • 学会等名
      日本子ども虐待防止学会第29 回学術集会滋賀大会大会企画ワークショップ1
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 地方自治体が設置する子どもの権利擁護機関における権利の具現化および課題2023

    • 著者名/発表者名
      谷口由希子, 栄留里美, 吉池毅志
    • 学会等名
      日本子ども虐待防止学会 第29回学術集会滋賀大会 自主シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 子どもの権利を保障する制度と保育実践 ―子どもの意見表明権に着目して―2022

    • 著者名/発表者名
      谷口由希子; 長瀬正子; 浅田明日香; 藤井美保
    • 学会等名
      日本保育学会第72回大会自主シンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 「子どもに権利を伝える」とは―福岡市の実践に学ぶ―2022

    • 著者名/発表者名
      長瀬正子
    • 学会等名
      日本子ども虐待防止学会第28回学術集会ふくおか大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 困難な状況にある子どもたちの 「サイン」に五感を研ぎ澄ませて -スクールソーシャルワーク実践から-2022

    • 著者名/発表者名
      新藤こずえ
    • 学会等名
      日本感性教育学会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [図書] パラリンピックと共生社会2024

    • 著者名/発表者名
      久田 満(新藤こずえ分担執筆)
    • 総ページ数
      196
    • 出版者
      明石書店
    • ISBN
      4750357294
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [図書] チャイルドサイエンスに学ぶ楽々子育てガイド2024

    • 著者名/発表者名
      名古屋市立大学(谷口由希子分担執筆)
    • 総ページ数
      120
    • 出版者
      中日新聞社
    • ISBN
      4806208116
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [図書] 新版 貧困とはなにか2023

    • 著者名/発表者名
      ルース・リスター、松本 伊智朗、松本 淳、立木 勝
    • 総ページ数
      388
    • 出版者
      明石書店
    • ISBN
      9784750356488
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [図書] 子どもたちが望む「家庭的支援」 : 児童自立支援施設の職員と子ども調査から2023

    • 著者名/発表者名
      野田正人、相澤 仁、岩田美香、板倉香子(新藤こずえ分担執筆)
    • 総ページ数
      240
    • 出版者
      生活書院
    • ISBN
      9784865001617
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [図書] 基礎ゼミ 社会福祉学2023

    • 著者名/発表者名
      與那嶺 司,渡辺 裕一,永野 咲
    • 総ページ数
      184
    • 出版者
      世界思想社
    • ISBN
      4790717879
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [図書] パーマネンシーをめざす子ども家庭支援―共通理念に基づくケースマネジメントとそれぞれの役割2023

    • 著者名/発表者名
      畠山 由佳子(編著) (著), 福井 充(編著) (著), 笹井 康治 (著), 伊藤 徳馬 (著), 榑沼 あづさ (著), 中島 尚美 (著), 橋本 達昌 (著), 永野 咲 (著)
    • 総ページ数
      312
    • 出版者
      岩崎学術出版社
    • ISBN
      4753312348
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [図書] 子ども白書20222022

    • 著者名/発表者名
      日本子どもを守る会
    • 総ページ数
      192
    • 出版者
      かもがわ出版
    • ISBN
      4780312329
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [備考] 気持ちを手がかりに「子どもの権利」を知り、 子どもとおとなの対話の機会をつくる

    • URL

      https://bukkyo-u-research.jp/research/research17/

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [備考] 声をきかれてこなかった人たちとともに

    • URL

      https://www.musashino-u.ac.jp/feature/interview/28_nagano/

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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