研究課題/領域番号 |
23K22218
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補助金の研究課題番号 |
22H00947 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
河野 芳海 静岡大学, 工学部, 准教授 (50334959)
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研究分担者 |
福原 長寿 静岡大学, 工学部, 教授 (30199260)
冨田 靖正 静岡大学, 工学部, 教授 (50303532)
松田 靖弘 静岡大学, 工学部, 准教授 (40432851)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2025年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | クロロフィル / 天然色素 / 無機層状化合物 / 複合体 / 着色材料 / 銅クロロフィリン / ハイドロタルサイト / 界面活性剤 / 分散性 / 層状構造 / 粒子径 / 無機層状鉱物 |
研究開始時の研究の概要 |
植物の光合成色素である葉緑素(クロロフィル)は無害で資源量の豊富な緑色天然色素であり,安全性の点で優れているが,不安定で退色を引き起こすために実用的な着色材として使えない。そこで本研究では,葉緑素を適切な無機層状材料の層間に複合化して安定性の改善を目指す。 本研究では天然鉱物としても産出する層状複水酸化物であるハイドロタルサイトについて,その層間空間の性質を天然素材で精密に制御し,葉緑素に特化した吸着・安定化空間を構築する。ここに葉緑素を吸着・複合化させることで,生活環境で安心して汎用できる安全なグリーンの着色材を創製する。
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研究実績の概要 |
本研究は、天然色素として豊富に存在する葉緑素を安全な色材として利用するため、これを適切な無機層状空間に配置し、その安定性の飛躍的な向上を目指すものである。当該年度の研究実施計画に従い、葉緑素の発色部位である色素クロロフィリンを、アニオン交換性粘土の性質を有する層状鉱物ハイドロタルサイトの層間に取り込む際に、この層間にアニオン性界面活性剤を共挿入することで、クロロフィリン色素の分散性を任意に制御できる技術を確立した。 界面活性剤のアルキル鎖が直鎖状のものと、不飽和結合を含んで屈曲した形状のものをそれぞれ選択して、層間での銅クロロフィリンの分散性を比較したところ、不飽和結合の存在による層間でのアルキル鎖を介した空間分割が、色素分子の分散性向上に著しい効果を示すことを見出した。アルキル鎖の鎖長とその折れ曲がりの程度とが、銅クロロフィリン分子の層間での分散性に与える影響を精査し、最適な界面活性剤の選定に至った。また、層間で高分散状態となった銅クロロフィリン分子が、光や熱に対する耐性を失っていないことを確認した。さらに、有機修飾したハイドロタルサイト層間でも、銅クロロフィリン分子は層間空間に強固に固定化され、水やアルコールに対する溶出はほぼ見られないことを確かめた。 色素分子を内包するハイドロタルサイト複合体を高分子と混合し、高分子中での粒子分散を制御する方法を調査した。高分子の軟化に必要な加熱条件下で内包する色素が分解しないよう熱安定性を上げる手法を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
無機層状化合物であるハイドロタルサイトの層間にクロロフィル色素分子を取り込んだ際に、色素分子同士の相互作用が強く、色素が凝集して色調に悪影響を与える懸念について、適切な性質を有する界面活性剤分子の共挿入により凝集を制御する手法を確立した。 高分子膜へのハイドロタルサイト・色素複合体の分散混合手法を確立し、複合体粒子表面のポリマーコーティングの基礎技術を確立した。
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今後の研究の推進方策 |
研究実施計画に従い、無機層状化合物の層間空間でクロロフィリン色素の単分散吸着を実現する。無機ホストとして用いるハイドロタルサイトの層間を適切なアルキル鎖長と不飽和度を有する界面活性剤分子で有機修飾し、ここに天然色素クロロフィル分子を取り込んで固定化する。クロロフィルの取り込みに際し、銅クロロフィリンを先に吸着させてから溶出して取り除き、クロロフィル吸着の空間を確保する手法を検討するが、必要に応じて、クロロフィルを直接、有機修飾ハイドロタルサイトに吸着させる方法も試みたい。
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