研究課題/領域番号 |
23K22219
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補助金の研究課題番号 |
22H00948 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松村 康生 京都大学, 生存圏研究所, 研究員 (50181756)
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研究分担者 |
真部 真里子 同志社女子大学, 生活科学部, 教授 (50329968)
松宮 健太郎 京都大学, 農学研究科, 准教授 (60553013)
石井 統也 香川大学, 農学部, 助教 (90847261)
阿部 賢太郎 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (20402935)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 植物性素材 / 高機能化 / 多糖類ナノファイバー / 植物ミルク / 酵素処理 / 植物性タンパク質 / 植物性ナノファイバー / 加工機能性 / 脱アミド酵素 / ゼータ電位 / 香気成分分析 / 食物繊維ミクロ・ナノファイバー / 植物ファイバー / キノコ多糖類 / 分散性 |
研究開始時の研究の概要 |
動物性食品については、食料危機、環境への負荷、動物倫理、健康問題(動物性食品の摂取による生活習慣病のリスクの増大)、安全性(畜産業における人重共通感染症リスク等)等の観点から、その代替への動きが避けられない状況となっている。本研究では、未利用のものも含めた植物性素材の高機能化を実現することにより、企業や消費者が食品として利用できる食品材料の選択肢を拡大することで、食料生存基盤の充実を図る。植物性素材としては、穀類、豆類、果実類、野菜類、海藻類など、多岐に渡る素材を対象とし、微細化、新規な酵素の利用、乳化、微細構造制御、フレーバーリングなど多彩な技術や手法を駆使して、高機能化を試みる。
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研究実績の概要 |
本研究では、未利用のものも含めた植物性素材の高機能化を実現することにより、企業や消費者が食品として利用できる食品材料の選択肢を拡大することで、食料生存基盤の充実を図る。植物性素材としては、穀類、豆類、果実類、野菜類、海藻類など、多岐に渡る素材を対象とし、微細化、新規な酵素の利用、乳化、微細構造制御、フレーバーリングなど多彩な技術や手法を駆使して、高機能化を試みる。 令和5年度は、植物性素材のうち、特に植物性タンパク質を対象として、その加工機能性改善の可能性を検討した。まず、大豆タンパク質およびエンドウタンパク質、米タンパク質の乾燥物を微細化装置で処理した粉末を供試し、その溶解性、分散性、乳化性、泡沫特性を評価した。大豆と米タンパク質は酵素処理なしでは特筆すべき機能性は見られなかったが、エンドウタンパク質は相対的に調査した特性が優れていた。これらのタンパク質の機能性向上を目指して脱アミド酵素やタンパク質分解酵素などによって修飾を行ったが、動物性素材ほどの高い機能性は見られなかった。次に大豆タンパク質の分画によって得られる脂質親和性タンパク質の乳化性を検討したところ、良好な乳化物が得られるとともに、pHを制御することで、その物性を改変できる可能性を示した。 植物ミルクを対象とした実験については、タンパク質脱アミド酵素が植物ミルクに及ぼす影響の検討とメカニズムの解析を進めた。脱アミド化反応の進行により、酸性pHにおける植物ミルクの分散安定性が向上した。ゼータ電位測定により、その一因は粒子の負電荷が強まったためであることが示唆された。一方で、脱アミド化率やゼータ電位がほぼ同等でも、異なる凝集挙動を示す場合もみられ、その他の要因の関与も示唆された。 ヒトを対象とした官能評価や香気成分のリリースについては本格的な研究は実施しなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要で述べたように、令和5年度は、植物性タンパク質を対象として、その加工機能性の改善の可能性を検討した。対象とした素材は、大豆、エンドウ、米由来のタンパク質とバラエティに富んでいる。これらの素材は、比較的アミノ酸バランスがよく、かつ油脂や澱粉製造などの副産物として大量に産み出されることから、加工機能性のポテンシャルを引き出すことにより、食品産業への利用の可能性を大いに拡大することが出来る。これらの中では、エンドウタンパク質が比較的、優れた加工特性をもつことが示された。また、大豆タンパク質から分画処理によって得られる脂質親和性タンパク質は優れた乳化性を示すこと、かつ、その乳化物の物性は制御可能であることが示された。以上のように、本テーマに関する研究は、当初の目的と実験計画に従って、ほぼ順調に進捗している。 植物ミルクについては、令和4年度にその調製法を確立し、タンパク質脱アミド酵素によって、その粒子分散性の向上を実現できることを見出した。令和5年度は、分散性向上のメカニズムの解析を進め、概要にあるように、ゼータ電位で評価される静電気的反発力の寄与を明らかにした。一方で、その他の要因の関与も示唆されていることから、そのことを検証するための実験手法の確立を進めている。さらに、植物性ナノファイバーとの混合効果の検証に向けて、様々なナノファイバー分散液調製方法の確立を進めるなど概ね計画通りに順調に進展している。 一方で、今年度も、本格的にヒトを使った官能評価や、香気成分分析の実施には至らなかった。令和6年度の速やかな実施に備え、官能評価に必要な器材の整備を行うとともに、香気成分分析の予備実験は終了しており、最終年度の本課題の実施に問題はない。
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今後の研究の推進方策 |
植物性素材のうち、令和4年度には多糖類ミクロファイバーやナノファイバーを、令和5年度にはタンパク質を主な検討対象として、その加工機能性、特に溶解性、分散性、乳化性、泡沫特性の評価を行った。令和6年度には、食品産業で需要の大きいゲル状食品への応用可能性を検証するため、各種ゲル化素材を対象として検討を進める。すなわち、種々の植物性多糖類ゲル化素材およびタンパク質ゲル化素材を供試し、ミクロファイバーおよびナノファイバーによってゲル化特性の改変を試みる。同時に、改変が達成できたゲル化素材について、微細構造観察や理化学分析を進め、植物性素材のゲル化特性の効率的な改変に向けたメカニズムを見出したい。 植物ミルク素材に関しては、酵素処理植物ミルクを対象にして、粒子間の疎水性相互作用やタンパク質の立体構造の解析をさらに進め、植物ミルクの分散性向上メカニズムの全容を明らかにすることを試みる。また、ナノファイバーと植物ミルクの混合懸濁液からコンポジットゾルやゲルの形成を試み、得られたコンポジット素材の物性評価、構造観察などを実施する。 一方、これまでの研究で優れた加工機能性を有すると判断された液状サンプル、すなわちミクロファイバーやナノファイバーの分散液および植物ミルクを対象として、以下のフレーバー分析を実施する。まず、加工過程におけるにおいの質の変化を解析する。すなわち、加工過程の中間産物、最終産物を対象として、におい嗅ぎガスクロマトグラフィー(GC-O)分析を行い、そのにおいプロファイルを比較検討する。次いで、フレーバー保持・放出能についても検討を進める。具体的には、特定のフレーバー添加後、一定時間放置後の試料から放散される香気成分量をGC-MS分析により経時的に測定する。 3年間の研究成果を取りまとめて、学会発表や論文投稿の準備を進める。
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