研究課題/領域番号 |
23K22222
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補助金の研究課題番号 |
22H00951 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
久保 博子 奈良女子大学, 工学系, 教授 (90186437)
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研究分担者 |
芝崎 学 奈良女子大学, 工学系, 教授 (00314526)
東 実千代 畿央大学, 健康科学部, 教授 (10314527)
才脇 直樹 奈良女子大学, 工学系, 教授 (20252637)
佐々 尚美 武庫川女子大学, 生活環境学部, 准教授 (50379525)
磯田 則生 奈良女子大学, その他部局等, 名誉教授 (60016871)
安在 絵美 奈良女子大学, 工学系, 専任講師 (70814987)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
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キーワード | 高齢者 / 温熱環境調整 / 冷暖房 / IoT機器 / センシング技術 / 温熱環境 / 環境調整 / 自動制御 / 自動調整 / 見守り技術 / IoT / 生活空間 |
研究開始時の研究の概要 |
住宅の温熱環境は高齢者の健康に大きな影響があることが明らかになっているが、高齢者は夏は暑く、冬は寒い環境での生活 を容認して生活していることが多い。対策の一つとしてIoT機器類が生活の中に導入し、生体情報をセンシングしつつ生活を見守り、環境を制御することを目的に若齢者と高齢者を被験者として快適性に関する実験を行い、実際の生活空間で検証を行い見守り技術の有用性や快適性などを検討する。これにより、若齢者だけでなく高齢者など生活者の健康やQOLを向上させるための検討し、実装への展開を模索するため検討する。
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研究実績の概要 |
超高齢社会の伸展や介護生活の長期化を背景に、生体センシングセンサやIoT機器などによる見守り技術や、様々な環境制御技術を用いて、高齢者の生活の健康性や快適性を維持し、生活の質(QOL)を向上させことを目的として以下の2点を視点として検討を行った。(A)生体センシングやIoT機器による見守り技術は生活をどの程度正確に把握できるのか。(B)環境調整センサーや機器を用いた環境把握や環境制御は居住者にとって本当に快適で有用なのか。 初年度として、まず、倫理申請を行い承認を得た。 (A)に関することとして、(1)IoT機器や、ウエアラブル機器等でのデータ取得の正確性を検討した。機器の性能と使用可能性評価できることを考え、様々なIoT機器や、ウエアラブル機器に関する情報収集を行った。現状で開発されている小型センサー機器等と実験機器や購入できる機器などを用いて、精度検証を行い、使用可能性があるか比較検討した。また、新たな制御機器やデバイスについて開発を行い、メリットや課題について検証し次年度での実測可能性を検討した。 (2)生活空間の中で、コロナ禍が落ち着いた高齢者に関して、日常生活行動・環境について予備的な計測実測を行った。 (B)に関することとして、(3)自動調節と自分での自主的調整との、快適性の相違について、夏期に温熱環境を例にとり予備的な実験を若齢者で行った。その結果、自分自身での環境調整選択気温(a条件)と、温度を選択気温に合わせて自動制御(b条件)で皮膚温など生理的影響や温冷感や快適感にはほとんど違いがなかった。しかし、初期から選択気温(c条件)に設定すると、a条件との間に有意な差がある時間があり、経時的な変化を無視できないことが明らかになった。また、生体信号のモニタリングによる快適環境を設計するなどの、快適性センシングの必要性が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高齢者を対象とする4年間の研究の倫理申請を行い、高齢者への拝領などを含む実測調査と、実験のための承認を得ることができた。これにより高齢者などの実験参加者を募った研究が遂行できる。 (1)IoT機器や、ウエアラブル機器等でのデータ取得の正確性を検討する。機器の性能と使用可能性評価について、情報収集を行い、実際に使えるか、必要とされるデータや技術等に関して、現状で開発されている小型センサー機器等と実験機器や購入できる機器など(ディスク型環境センサー、サーモカメラ型温冷感センサー、ウエアラブル心拍センサー、小型ロガ-型環境センサー等など)を用いて、精度検証を行った。有効な使用ができないと考えられた不適切な機器を除外することができた。また、新たな制御機器やデバイスについて開発を行い、概ね使えそうなシステムを提案することができ、メリットや課題について検証し、さらに次年度への改良の方向性が明らかになり実測可能性が検討できた。 (2)生活空間の中で、コロナ禍が落ち着いた高齢者に関して、日常生活行動・環境について予備的な計測実測を行い、現状での高齢者の生活を把握した。コロナ禍前の状況とそれほど変わらない結果を得ることができ、次年度以降の検証ができそうであるとの結果を得た。また高齢者での認知機能や疲労などを計測するアンケート調査などに関して予備的に実験を行い、複数回の実験でも変化が少なく、若齢者が回数を重ねるのに合わせて結果が上昇するのに比べてほとんど変化しないことが明らかになり、調査内容の検証ができた。 (3)自動調節と自分での自主的調整との、快適性の相違について明らかになったことで、次年度の高齢者での実験の手順を検証することができ、実験の目処が立った。また、経時的な変化を無視できないことが明らかになり、どのような生体信号を計測するのか検討ができた。
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今後の研究の推進方策 |
(1)生体センシングやIoT機器、デバイスについて、さらに検討を行い、生活環境での調査や検証ができるように検討する。できればいくつかの検証実験も行い、実証調査に向けて予備実験を行う。さらに、これまでの実験結果や実測調査の結果から、どのような制御が可能か制御プロトコルを検討する。 (2)機器利用による生活変容の可能性については、高齢者自身の生活に実装するために意識調査を行う。高齢者にとっては生活の中に生体センシングやIoT機器、デバイスなどの機器が入ってくることに関する抵抗感や期待感について、既報の研究結果では見当たらない。しかし我々が実測調査をすると、夏でも熱中症の危険性があるほど高温の室内でも冷房を使わないなど、自動制御が必要と考えられる場合でも、冷房を使用しないなどどの結果が出ており、自動制御することに抵抗があるような意見が見受けられ、自動でONするような機器の場合コンセントを切ってしまうというような言及も見られた。アンケート調査により高齢者がIoT機器やウエアラブル機器をどのように考え、受け入れる土壌ができているのか、またどのような自動調整やデバイスが望まれているのかアンケート調査により意識を調査し検討する。 (3)環境調整センサーや機器を用いた環境把握や環境制御は居住者にとって本当に快適で有用かについて、昨年の夏期に引き続き、選択気温実験と環境評価実験を冬期も行い検討を行うことで、冷房だけでなく暖房での快適性について検討することとする。また、高齢者にて同様の実験を行い、高齢者の快適性についても検討する。さらに、温熱的な快適性を向上させる方策や健康被害を軽減する方策について検討するため、人工気候室を用いて生理的および心理的な影響を計測する実験を行う。
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