研究課題/領域番号 |
23K22236
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補助金の研究課題番号 |
22H00965 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松下 佳代 京都大学, 教育学研究科, 教授 (30222300)
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研究分担者 |
小野 和宏 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40224266)
斎藤 有吾 新潟大学, 教育基盤機構, 准教授 (50781423)
伊藤 通子 東京都市大学, その他部局等, 教授 (00537037)
平山 朋子 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (80388701)
丹原 惇 新潟大学, 医歯学系, 講師 (10636228)
杉山 芳生 藍野大学, 医療保健学部, 講師 (20963284)
田中 孝平 北海道大学, 高等教育推進機構, 助教 (40983119)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)
2025年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | コンピテンシー / 統合性 / 分野固有性と汎用性 / エージェンシー / パフォーマンス評価 / 対話型論証モデル / ミネルヴァ・モデル / PEPA |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、主に大学教育を対象として、コンピテンシーの形成と評価に関する理論的・実践的検討を行う。「統合性」「分野固有性/汎用性」「エージェンシー」という観点から教育目標としてのコンピテンシーについて考察し、その上で、カリキュラム-授業・学習活動-評価にどう具体化できるのかを、主に5つのフィールド(新潟大学歯学部、東京都市大学、藍野大学、高槻高校、ミネルバ大学)でのケーススタディをもとに検討する。
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研究実績の概要 |
1.理論的研究 主に米国の1970年代以降の高等教育におけるコンピテンシーベース教育(CBE)の歴史的展開をたどり、それが2000年代以降の日本、およびOECD主導のコンピテンシーにもとづく教育とは異なり、時間ベースやコミュニティベースを否定する性格をもつものであることを明らかにした。 2.実践的研究 5つのフィールドでの研究を並行して進めた。日本の4つのフィールドにおいては、PEPA、対話型論証など独自の方法にもとづくアクションリサーチを実施した。①新潟大学歯学部では、問題解決能力が分野固有の能力として獲得されるだけでなく、遠い転移を通じて汎用的性格をもつに至っていることを明らかにした(小野他, 2023)。また、PEPAの4つの重要科目についての学生インタビューとパフォーマンス評価結果のデータを収集した。②東京都市大学では、全17学科横断のPBL科目(SD PBL3)を実施し、評価データを収集したが、データの分析と教員へのインタビューは未実施である。③藍野大学では、多職種連携の分野横断型科目において対話型論証を使ってコンピテンシーを育成する授業を実施した。現在、KBDeXを用いた発話分析にもとづいてデータを分析中である。④高槻高校では、実践にもとづき『対話型論証ですすめる探究ワーク』(松下他, 2022)を作成し、刊行した。また、実践への利用と実践コミュニティの構築を促すため、連動するウェブサイトも立ち上げた(https://www.d-argument.net/)。⑤ミネルヴァ大学については、10月28日~11月4日にミネルヴァ大学ブエノスアイレス校(4年次前期)の訪問調査を実施し、1年次からの追跡調査とあわせて、ミネルヴァのコンピテンシー育成の全体像をほぼ把握することができた。結果は、『ミネルヴァ大学を解剖する(仮)』(東信堂、近刊)で報告予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.理論的研究 米国の高等教育におけるCBEが、日本での、特にOECDの教育プロジェクトに依拠した「コンピテンシーベース」とはかなり性格を異にすることがわかり、あらためて教育段階・分野・地域による多義性を整理する必要があることが明らかになった。 2.実践的研究 ①新潟大学歯学部で、授業で身につけた問題解決能力が遠い転移を通じて汎用的性格をもつに至っていることを明らかにできたことは、「分野固有性に根ざした汎用性」を裏づけるものとして大きな意義があると考える。一方、②東京都市大学での分野横断科目「SD PBL3」については、まだデータ収集・分析が不十分で、分野横断の実践が「メタ分野的な汎用性」を身に付けるのにどう寄与しうるのかを明らかにできていない。③藍野大学では、大きくみれば医療という一つの分野内ではあるがその下での分野横断的な学びに対話型論証が有効であるかについて、データが収集され、分析途中にある。また、藍野大学チームで開発したエージェンシーに関する質問紙調査は、他のフィールドでも活用できる。④高槻高校チームで作成したワークブックは高校だけでなく大学でも使用可能であるが、とりわけ新学習指導要領で大幅に取り入れられた探究の指導に苦労している高校からは、かなりの反響があった。⑤ミネルヴァ大学については、1年次から調査してきた学生の卒業までの学びの軌跡をたどることができ、学生というエージェントからみたコンピテンシー育成のプロセスと成果を明らかにすることが可能になった。ミネルヴァによる書籍(Kosslyn & Nelson, 2017)の翻訳も同時に進めており、日本でのミネルヴァ大学の理解や大学におけるコンピテンシー育成の実質化に大きく寄与できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
1.理論的研究――主に米国とヨーロッパ(Tuning Project等)、初中等教育と高等教育、医学教育・工学教育と教養教育・一般教育とを比較しながら、時間ベースと成果ベース、個別最適化とコミュニティベースなどの軸で、コンピテンシーやCBEについて概念整理を行う。 2.実践的研究――①新潟大学歯学部では、昨年度収集したデータ(PEPAの4つの重要科目についての学生インタビューとパフォーマンス評価結果)の分析を行い、学生の学びの軌跡を明らかにする。②東京都市大学では、SD PBL3において、分野をこえた「統合性」や「メタ分野的な汎用性」がどう育成されたかを多様なツールによる評価結果と教員へのインタビューを通じて明らかにする。③藍野大学では、多職種連携の分野横断型科目における対話型論証を使ったコンピテンシー育成について、KBDeXを用いた発話分析を用いて明らかにする。なお、以上3つのフィールドで、エージェンシーに関する質問紙調査を実施する。④高槻高校では、昨年度刊行したワークブックを用いて「総合的な探究の時間」での対話型論証の実践を展開し、その有効性を検討する。さらに、他の高校でも、対話型論証を用いた研究的実践に協力する(岩手、愛知、秋田などで予定)。なお、大学と高校という学校種をこえてコンピテンシーの育成にどのような連続性・非連続性がみられるかも明らかにする。⑤ミネルヴァ大学では、追跡調査してきた学生を対象に、卒業時(本年5月)、および卒業後もインタビューを行い、彼らがコンピテンシーをどう自律的に活用しているかを明らかにする。 3.研究成果の公表――以上の研究成果は、学会発表(ヨーロッパ教育学会、大学教育学会、大学教育研究フォーラム等)、論文(『医学教育』『大学教育学会誌』『教育目標・評価学会』等)、図書(ミネルヴァ大学関係の2冊、コンピテンシー評価関係)の形で発表する。
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