研究課題/領域番号 |
23K22238
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補助金の研究課題番号 |
22H00967 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 札幌大学 |
研究代表者 |
荒木 奈美 札幌大学, 地域共創学群, 教授 (20615182)
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研究分担者 |
井上 大樹 札幌学院大学, 人文学部, 准教授 (00638281)
武者 加苗 札幌大学, 地域共創学群, 教授 (60614980)
守屋 淳 北海道大学, 教育学研究院, 教授 (70230159)
姉崎 洋一 北海道大学, 教育学研究院, 名誉教授 (80128636)
本田 優子 札幌大学, 地域共創学群, 教授 (30405625)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 地域共創 / 公共性涵養 / 民主主義教育 / オルタナティブ教育 / Everyday Creativity / 高等教育 / 小中高大連携 / 居場所 / 日常の芸術活動 / ヴァナキュラー / Autoethnography / ナイーブ・アート / 青年期教育 |
研究開始時の研究の概要 |
地域社会に大学生と中高生が「優しさ」でつながる学びの場をひらき、大人の論理によらない公共性涵養の教育実践を形にする。4年間を大きく「理論研究」期(2022年度)と「実践研究」期(2023-2025年度)の二つに分け、具体的な3つの課題をもって臨む。 1 今後社会に汎用可能なプラットフォームとするための理論研究 2 学生たちが自由に学びあう場を開くためのプラットフォームづくり 3 大学生が自らのアイディアで中高生と主体的に学びあう場を開く
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研究実績の概要 |
本研究は、地域社会に大学生と中高生が「優しさ」でつながる学びの場をひらき、「大人の論理」によらない公共性涵養の教育実践例を社会に向けて報告し、大学生が自らのアイディアで中高生と主体的に学びあう場の豊かさを全国に向けて発信することを目的とする。 2022年度は、本研究における実践活動の拠点となる現場のプラットフォーム作りに専念し〈学生たちが日常的に趣味や特技として実践している『自分の好き』からの働きかけ〉が有益ではないかという実感を得た。2023年度はこの実感を基盤に置き、実践研究活動として、研究代表者の勤務校での取り組み(アクティブプログラム)を通じて、「学生たちが自分の好きなことや得意なことで人や社会と結びつく実践の場」を地域に開いた。 8月7日には、札幌市地下歩行空間にて、学生発案のオリジナルキーホルダーづくりのワークショップ、映像および絵画作品の展示発表会などを盛り込んだ異世代交流の場を開いた。地の利のよさに助けられ、多数の方々と学生たちが触れ合う体験ができたと同時に、地域社会には、若者のみならず精神的な孤独にあえぐ人々が、若者に限らず全世代にわたり存在していることを肌で感じた。 10月28日には札幌市モエレ沼公園にて、詩人の吉増剛造氏と学生のコラボレーションによって詩と音楽と映像が重なり合うライブパフォーマンスを行なった。連動企画として上映したドキュメンタリー映画『背』の内容と合わせ、吉増氏の縦横無尽に繰り広げられる詩の朗読劇の世界は、企画側として携わった参加学生たちにとっても、観客として会場に身を置いた人たちにとっても、まさに感情を根こそぎ揺さぶられる未知の体験となった。芸術の生成現場特有の何が起こるかわからない不確定に満ち溢れた場所を共有するワクワク感や気づきの深さを体験したことで、本研究が目標とする「優しさ」で繋がる学びの場のヴィジョンが明確に見えてきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
元々の計画では2022,2023年を理論研究、2024年に実践研究の場を開くと考えていたが、すでに2023年度に1年目の実践研究を終え、新たなヴィジョンも見えてきている。研究代表者の問題関心として常に念頭にあったのは、強く大きい声が優先される社会の中で「周りの空気を読んで」言いたいことを言えない人の声が簡単になかったことにされてしまう社会に対する違和感に他ならない。見えるところでは、さまざまな多様性を受け入れ、合理的配慮に基づく環境も整備され、包括的な社会が実現しつつある状況にも関わらず、人々の意識としては相も変わらず「人は強くあるべき」「言わないとわからない(だから勇気を出して言わないと)」という考えのもとにある。「弱くて小さな声」しか出せない人が「言わなかった」ためにそのまま存在を消されてしまうという現実には、この旧態依然としたヒエラルキー構造が透けて見える。学校教育の現場にはとりわけ教師と生徒/学生、声が大きく発言力のある、コミュニケーション能力の高い生徒/学生とそうでない生徒/学生といった対立構造を生み出しやすい環境が残っている。実際に今年度の実践活動でもこの問題においての学生たちのトラブルが後を立たず、そのために何度も方向の修正を余儀なくされた。現状としてこの歪んだ構造への手当てを抜きにしては、当該研究を進めることはできないと感じている。 ユクスキュル「環世界」の概念を持ち出すまでもなく、今や集団単位で環境を整える時代ではない。集団教育をモデルとした学校教育離れが著しい昨今において、私たち教師は、一人ひとりにとって満足できる環境をどう生み出すかを考えなくてはならないのではないか。2024,2025年度に計画している新たな研究実践の場は、この問題に真正面から取り組むモデルとなっている。
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今後の研究の推進方策 |
2024,2025年度は、実践研究の場を昨年度の実践によってより多くの人々と学生を繋ぐことのできた札幌市地下歩行空間に固定し、「やさしさをわけあうー―文学×アートな我楽多市―」と企画タイトルを定め、2年間で合計4回のイベントを開く。「学生たちが、自分の好きなことで繋がり、自由に学びあう場を開くためのプラットフォームづくり」「大学生が自らのアイディアで、中高生と主体的に学びあう場を開く」「学生たちが自らのアイディアで、自由に主体的に学びあう居場所づくり」の実現を目指す。ルールにのっとり大人しく従うことを教育活動の旨とし、わからないことは経験する前になんでもインターネットで検索して先の見えることにしか取り組もうとしないような学生たちがあふれる社会の中で、「芸術表現活動」であることを条件に、自分の得意なことでプレイフルに創造的に活動し、予測のつかない状況に身を置き、そのつど迷いながら新しい自分の可能性を見つけていく学生たちの経験を後押しし、さまざまな課題も成功のもとと謙虚に受け止め改善し、次の活動に備えるということを繰り返す。同じ場所を借り、近隣の小中高大への周知活動も続けることで、出発こそ研究代表者の所属する大学の学生であるが、参加者も含めて次第に同志を増やし、当該活動を地域全体に広げていく。ホームページ、SNSを通じて社会に向けて継続的に発信し、成果を広く社会に示し、芸術表現活動を通じて「やさしさをわけあう」ムーブメントの火種を札幌から発信し続ける。
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