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大正・昭和戦前期を中心とする教育と近代仏教に関する学説史的・実践史的考察

研究課題

研究課題/領域番号 23K22241
補助金の研究課題番号 22H00970 (2022-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2022-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分09010:教育学関連
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

真壁 宏幹  慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (90229328)

研究分担者 田中 潤一  関西大学, 文学部, 教授 (00531807)
山本 正身  慶應義塾大学, 文学部(三田), 名誉教授 (30191448)
渡辺 哲男  立教大学, 文学部, 教授 (40440086)
金子 一夫  茨城大学, 教育学部, 名誉教授 (70114014)
Conway Michael  大谷大学, 文学部, 准教授 (70549526)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
キーワード近代仏教 / 修養 / 教養 / 教師 / 大正新教育 / 煩悶青年 / 国体論 / 近代教育 / 人間形成論
研究開始時の研究の概要

近代仏教が教育実践、教師修養、教育学、青年の自己形成に与えた影響を、思想史的、学説史的、実践史的、メディア史的に解明することで、これまで西洋の哲学や心理学、そして教育学や教育実践の影響で語らることが多かった第二次世界大戦前の近代教育や青年の自己形成活動が、実は伝統的な仏教を基盤に西洋の教育思想や人間形成論を独自な形で受容したものだったことを明らかにする研究である。

研究実績の概要

申請時の研究計画の通り、研究活動は1)基本資料(近代仏教の代表的雑誌『求道』)の読書会、2)近代仏教研究者を招いての公開研究会、3)教育思想史学会大会(2022年9月17日同志社大学)でのコロキウム「近代仏教と教育に関する学説史的研究III」の企画運営、4)研究分担者による研究調査旅行および非公開の研究会(年度研究成果発表会)を中心に展開した。

1)の読書会では合計6回Zoomで集まり、『求道』第1巻第1号から5号まで読んだ。当時の一高生や帝大生に与えた近角常観の影響と魅力が、伝統仏教を近代の個人の経験に依拠する仏教に変換しようとする試みにあったことがわかった。2)の研究会では、近代仏教と青年問題にお詳しい岩田文昭氏と近代仏教と修養問題にお詳しい大澤綾子氏をお招きして公開研究会を実施した。近代仏教が若者や教師たちに受け入れられる背景に煩悶青年と修養問題があったことがわかった。3)教育思想史学会コロキウムの企画では、研究分担者の渡辺哲男、田中潤一、マイケル・コンウェイが各研究テーマについて発表し、近代仏教研究が教育学研究においても重要であることを学会員に訴えた。4)では、年度終わりに金沢で来年度に向けた研究調査活動を各自の関心に合わせて行った。そして研究成果発表会を非公開で金沢近郊の西田幾多郎記念館で行った。

以上から、近代仏教と教育(学)の関係をより実態に即して考え、なぜ戦前期の青年や教師たちが近代仏教に惹かれていったのかを考える場合、教師や教育学者が学校教育について語ったことのみならず、青年や教師が自己形成について語った領域である修養論や教養論、そして自己形成の実践としての様々な身体技法・鍛錬法が重要であり、2023年度の研究方向性となるだろうことが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

先に実績概要に記した通り、当初計画していたことはほぼ達成でき、順調に進展している。想定を超えた成果としては、我々の研究が教育思想史学会でその重要性が認識され、2023年度大会のシンポジウムのテーマに選ばれたことである。また、公開研究会を通して、参加ならびに講演していただいた近代仏教を研究する宗教哲学者や歴史社会学者、宗教史研究者と研究ネットワークが形成された。2023年以降の研究進展に大きなインパクトを与えてくれると考えられる。こうした意味で「順調」な進展だった。

しかし、やはり特に前半期は、コロナの影響がまだ大きく、調査に赴くことを控えたり、当初予定していた対面での読書会ができなかったりした。そのため40万円弱配分額が残ってしまった。こうした意味で「おおむね順調」と自己評価した次第である。

今後の研究の推進方策

基本的には2022年度と同じように、活動は1)『求道』読書会、2)公開研究会、3)学会活動、4)研究調査、5)非公開研究会を軸として展開していく。
2)に関しては、前年は近代仏教でも浄土真宗を中心に講師をおよびしたが、今年は日蓮主義の研究者や、近代仏教の影響を受け当時の青年たちによく読まれた西田哲学や鈴木大拙の仏教研究にお詳しい方もお招きしたい。視野を広げるためである。
3)に関しては、上記のようにすでに9月17日教育思想史学会シンポジウムでの発表が決定している。
4)に関しては、近代仏教受容の背景としての修養・教養論ともつながるが、近代仏教と芸術や美学の関係にも視野を広げたい(たとえば、和辻の『古寺巡礼』や柳宗悦の民藝運動)。富山や奈良で非公開の研究会を行い、この年度の研究総括を行う。

報告書

(1件)
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (15件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (5件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 教育を支えるものとしての生活と文化2023

    • 著者名/発表者名
      眞壁宏幹
    • 雑誌名

      教育哲学研究

      巻: 127 ページ: 21-27

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 黒川紀章と椎尾弁匡における「共生」思想の影響関係:戦前戦後における「個人」・「国家」・「天皇」をめぐって2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺哲男
    • 雑誌名

      『立教大学教育学科研究年報』

      巻: 66 ページ: 69-88

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 発菩提心の教育学 ー人間形成の起点と利他の共同体のためにー2023

    • 著者名/発表者名
      田中潤一
    • 雑誌名

      『日本仏教教育学研究』

      巻: 32 ページ: 1-23

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 後期水戸学における「教育」の含意について―その近代「教育」概念の基層と しての意味合い―2023

    • 著者名/発表者名
      山本正身
    • 雑誌名

      『哲学』

      巻: 150 ページ: 115-141

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 贈与交換システム論的美術教育学における純粋贈与―純粋贈与と無・無意識・自己表出―2023

    • 著者名/発表者名
      金子一夫
    • 雑誌名

      『美術教育学』

      巻: 44 ページ: 113-124

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 子どもの論理による美術教育思想の研究 2―西野範夫の教科調査官就任前の美術教育思想―2023

    • 著者名/発表者名
      金子一夫
    • 雑誌名

      『美術教育学研究』

      巻: 55 ページ: 81-88

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 河口慧海の在家仏教論における人間形成思想2022

    • 著者名/発表者名
      田中潤一
    • 雑誌名

      『教育思想・教授法研究年報』

      巻: 6 ページ: 19-36

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 再考「江戸教育思想史研究」2022

    • 著者名/発表者名
      山本正身
    • 雑誌名

      『教育哲学研究』

      巻: 125 ページ: 69-90

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 毎田周一の教育論とその背景について―親鸞思想の影響を中心に―2022

    • 著者名/発表者名
      マイケル・コンウェイ
    • 雑誌名

      『教育思想・教授法研究年報』

      巻: 6 ページ: 1-18

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 教育を支えるものとしての生活と文化2022

    • 著者名/発表者名
      眞壁宏幹
    • 学会等名
      教育哲学会第65回大会シンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 近代仏教と教育に関する学説史的研究III2022

    • 著者名/発表者名
      眞壁宏幹(司会)
    • 学会等名
      教育思想史学会32回大会コロキウム
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 道徳的自己形成と戒律仏教 ー澤柳政太郎と釈雲照の連続性と非連続性ー2022

    • 著者名/発表者名
      田中潤一
    • 学会等名
      教育思想史学会第32回大会コロキウム
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 暁烏敏の教育論と「大日本文教研究院」設立の構想2022

    • 著者名/発表者名
      マイケル・コンウェイ
    • 学会等名
      教育思想史学会第32回大会コロキウム
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 黒川紀章における「共生」の思想と近代仏教2022

    • 著者名/発表者名
      渡辺哲男
    • 学会等名
      教育思想史学会第32回大会コロキウム
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [図書] 『安岡信義1888-1933―近代洋画の黎明期を生きた画家』(「安岡信義と近代日本中等学校美術教育―東京美術学校図画師範科と富山県美術教育を中心に―」)2023

    • 著者名/発表者名
      金子一夫
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      鳥取県立博物館
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-08-08  

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