研究課題/領域番号 |
23K22243
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補助金の研究課題番号 |
22H00972 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
大高 研道 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (00364323)
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研究分担者 |
宮崎 隆志 北海道文教大学, 人間科学部, 教授 (10190761)
走井 洋一 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (30347843)
岡 幸江 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (50294856)
藤井 敦史 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (60292190)
若原 幸範 聖学院大学, 政治経済学部, 准教授 (80609959)
藤本 穣彦 明治大学, 政治経済学部, 専任准教授 (90555575)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
12,870千円 (直接経費: 9,900千円、間接経費: 2,970千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 社会教育 / 協働 / コミュニティ形成 / 地域学習 / アソシエーション / 共同・協同・協働 / 地域づくり / 実践コミュニティ / 労働者協同組合(ワーカーズコープ) / 社会的包摂 / ワーカーズコープ / 協同組合 / 協同労働 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題の核心をなす学術的な問いは、物象化が生活の隅々まで及ぶ現代社会において、対立・矛盾的な契機を内包しながらも異質な他者どうしの協働の意識が如何にして生成され、そこで「共有された世界(全体状況)」が持続的な協働の知や文化として地域に定着する際に、どのような教育的営みが求められるのかを理論的・実証的に明らかにすることにある。とりわけ、地域を基盤とした学びと協働の蓄積過程を結びつけることによって、異質性・多様性を認め合う学習空間の創造にむけた地域学習論の展開の可能性と課題を明らかにしたい。
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研究実績の概要 |
本年度は、労働・福祉・経済・教育等にかかわるさまざまな政策が地域を焦点としている近年の潮流のなかで、地域づくりにかかわる社会教育固有の価値を協働概念の検討を通して明らかにすることを目的として研究調査を行った。2023年度の主たる研究活動は以下のとおりである。 理論面では、コミュニティ形成にかかわる「コモンズ」、「ミュニシパリズム」、「ケア」、「ソーシャル・キャピタル」といった諸概念の再検討を通して、地域づくりにかかわる学習を捉える基本枠組みを以下の3点に整理した。第1に、地域づくりに関わる学習は地域資源としての人材の発掘や再発見だけに焦点化されるものではないということ。第2に、協同実践としての実践コミュニティは地域のつながりを創り、編みなおすことが重要な要素として埋め込まれているということ。第3に、結果や課題解決が地域づくりの目的・ゴールではなく、つながるプロセス自体に課題を発見し共有する学習的要素が含まれていることである。 実証分析では、協同実践としての実践コミュニティが地域へと広がりを見せる過程に伴う学習過程の考察を試みた。2023年度は東京都港区の子育て現場、引きこもりの若者支援を基盤にしながら地域の多様な団体との協同へと支え合いの輪を広げている岩手県北上市のワーカーズコープの事例調査を行った。また、本研究のもう一つの課題である中山間地域の取り組みについては、中心アクターである五ケ瀬地域づくり研究所、ぎおんの里づくり協議会、NPO結ネットたんぽぽの関係者との共同検討会を開催し、分析枠組を再構築した。分担者を含めた集約的調査は、次年度(2024年度)の4-5月にかけて実施予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた理論・実証研究は概ね順調に遂行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き本研究において設定した理論・実証分析面での課題に即して、以下の研究活動に取り組む。 理論面では、事例調査から明らかになった実践的課題を踏まえて、協働蓄積論の射程を再整理する。生活のあらゆる領域の物象化が現代社会の特徴であるが、近年のコミュニティへの注目は、一方で福祉国家体制の変容と連動した非経済的領域の「再発見」という側面を有するが、他方で地縁的な組織を基盤とした集団的規範から解き放たれた「個人」の他者関係は手段化 ・非人格化する。このようにしてみれば、コミュニティ概念の社会経済的文脈への拡大は、矛盾・葛藤から合意・共生へと向かっていく道筋の解明を必然的に求めることになるが、実際には矛盾や葛藤が表出されることはなく、むしろ、社会関係から切り離された個人は他者への無関心を強めているのが現実である。これらを踏まえたうえで、引き続き、個別利害の枠を超えた豊かな他者関係(自己内他者)や自然関係を形成する協働を模索する学びの論理の検討を試みる。 実証分析では、働く者同士に限定されない利用者や地域との協同に重要な価値を置き、地域に必要とされる事業をおこすワーカーズコープの実践分析、人・自然・文化といった本来地域が有している地域資源を生かした地域の未来を考え行動する学び合う実践コミュニティ形成にむけた五ケ瀬町の地域づくりの事例調査を実施する。
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