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「社会問題の教育化」現象の日本的ヴァリアントに関する教育歴史社会学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K22248
補助金の研究課題番号 22H00977 (2022-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2022-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分09020:教育社会学関連
研究機関京都大学

研究代表者

倉石 一郎  京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (10345316)

研究分担者 松村 智史  名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 准教授 (10868128)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード社会問題の教育化 / 居場所支援事業 / 融和教育・同和教育 / 生活綴方 / 障害者運動 / 〈社会問題〉の教育化 / 融和教育 / 同和教育 / 高知県の福祉教員 / 学習支援事業 / 校内居場所カフェ / 青い芝の会 / 生活綴り方 / マックス・ウェーバー / 松永健哉 / 日本的ヴァリアント / 宗教社会学的枠組 / 反差別・人権の教育の系譜 / 教育-福祉的実践の系譜
研究開始時の研究の概要

本研究は、欧米において注目される現象である〈社会問題の教育化〉に注目し、欧米との比較においてその日本的ヴァリアントの特質と構造を明らかにしようとするものである。戦前、戦後の日本におけるいくつかの重要な学校改革、教育運動に注目し、その過程を詳細に検討することから教育化のロジックを抽出し、その特性の解明を目指す。その結果を欧米のラバリー、トレイラーらの理論と突き合わせて総合化をはかり、日本型教育の一断面の特性に関する研究として国際的発信を目指す。

研究実績の概要

2023年度においては、まず、〈社会問題の教育化〉の日本的ヴァリアントの重要な一例と目される同和教育・解放教育の系譜についての検討を、これまでの福祉教員に関する一連の研究により地域事情に精通し土地勘や資料の蓄積もある高知県を事例に行った。高知県の部落を焦点として、日露戦争後の改良事業からポスト同和対策特措法時代までの百年を一貫した流れとして捉える視座をM.フーコーの権力形態論に拠って構築し、教育に関する事業を歴史叙述の中に位置づけた。その成果は日本教育社会学会第75回大会における課題研究「教育と福祉のクロスオーバーを教育社会学はどう捉えるか」において報告した。そこでは、福祉教員時代、特措法時代、ポスト特措法時代において、異なるフェーズの〈社会問題の教育化〉が見られることが明らかにされた。すなわち、第1期においては生徒の生活背景にある種々の困難に教員が直接関わる状況のため、教育化の中に経済的要素がかなりの比重を占め、結果的に現行システムへの適応が強調されたが、第2期で対策事業が生活改善を引き受けるようになり教員が経済領域から手を引くと、教育化から経済の要素が消えて純化が起こり、政治的ラディカリズムと主体構築が前景化された。第3期になると対策事業の経済的支えが失われる一方、学力向上の圧が高まり社会問題自体が後景化していった。
また上記プロジェクトと並行して、研究分担者の松村智史の協力を得て、神奈川県を中心に民間の学習支援事業および高校における居場所カフェ事業に関するヒアリング調査を実施した。特に居場所カフェ事業に関しては、学校側がアプローチできない生徒の背景にある問題に居場所カフェのスタッフが支援の手を伸ばすことができる一方で、生活上の困難を発達的な問題に還元する心理主義的傾向があることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

高知県をフィールドにした融和・福祉・同和教育に関する歴史研究については、引き続き現地の関係者とのつながりを資源とすることで、順調に研究を進めることができている。また、神奈川県を中心とする学習支援事業および高校における居場所カフェ事業については、分担者の松村が同地域に太いパイプをもち、順調に調査することが可能となっている。全体として、おおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

今後の研究方針としては、まず融和・同和教育に関する歴史研究においては高知県に加えて和歌山県をフィールドに加え、さらに資料の読み込みやフィールド調査を進めていきたい。これは高知県の関係者より、昭和戦前期の融和教育に関する資料が和歌山にかなり蓄積されているとの助言を得たことによるものである。さらに歴史研究のトピックとして、北方性綴方教育運動を追加し、国分一太郎ら主要な実践家のロジックを〈社会問題の教育化〉の視点から読み解いていく。また神奈川県を中心とする学習支援事業および居場所づくり事業の調査については、定住外国人住民が多く福祉教育的な蓄積もある川崎市桜本地区のこども食堂を調査ポイントに加えさらに調査を進めていきたい。

報告書

(2件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (11件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 教育の自画像としての〈福祉〉理解とその批判―反省なき連携待望論への若干の懸念2023

    • 著者名/発表者名
      倉石一郎
    • 雑誌名

      教育学年報

      巻: 14 ページ: 205-221

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 学校はめくるめくワンダーランド!―歴史と経験への旅②「〈疎開文芸〉の闇と日本の二重構造2023

    • 著者名/発表者名
      倉石一郎
    • 雑誌名

      書斎の窓

      巻: 685 ページ: 49-55

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [雑誌論文] 学力/アチーブメント概念の「弱さ」「受動」への転回 :福祉と教育の新たな関係性をひらくために2022

    • 著者名/発表者名
      倉石一郎
    • 雑誌名

      福祉社会学研究

      巻: 19 ページ: 33-48

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [雑誌論文] ニューヨーク市におけるADNS(地域放課後学校)とアデル・フランクリン:非白人児童をターゲットとした学校拡張運動に関する考察2022

    • 著者名/発表者名
      倉石一郎
    • 雑誌名

      人間・環境学

      巻: 31 ページ: 1-14

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 学校はめくるめくワンダーランド!―歴史と経験への旅①「タイキョウ」の謎を解く2022

    • 著者名/発表者名
      倉石一郎
    • 雑誌名

      書斎の窓

      巻: 684 ページ: 48-52

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 排除型社会下の高等教育における「多様性」「保障」のかたち2023

    • 著者名/発表者名
      倉石一郎
    • 学会等名
      日本高等教育学会第26回大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「教育×福祉」の歴史社会学:高知県の福祉教員制度を中心とした権力装置の展開2023

    • 著者名/発表者名
      倉石一郎
    • 学会等名
      日本教育社会学会第75回大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 松永健哉における〈社会問題の教育化 educationalization of social problems〉の諸相:1930年代の動向に焦点化して2022

    • 著者名/発表者名
      倉石一郎
    • 学会等名
      日本教育学会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 〈社会問題の教育化〉のアナロジーとしての脱魔術化:ウェーバー学問論を手がかりに2022

    • 著者名/発表者名
      倉石一郎
    • 学会等名
      日本社会学会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [図書] みんなでつくるインクルーシブ教育2023

    • 著者名/発表者名
      平野智之・菊地栄治編、木村泰子・倉石一郎・中田正敏・油布佐和子・池田賢市著
    • 総ページ数
      246
    • 出版者
      アdンバンテージサーバー
    • ISBN
      9784864460835
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [図書] インクルーシブ教育ハンドブック2023

    • 著者名/発表者名
      L.Florian 編、倉石一郎・佐藤貴宣・渋谷亮・濱元伸彦・伊藤駿監訳
    • 総ページ数
      864
    • 出版者
      北大路書房
    • ISBN
      9784762832307
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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