研究課題/領域番号 |
23K22272
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補助金の研究課題番号 |
22H01001 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
蒔苗 直道 筑波大学, 人間系, 准教授 (40345939)
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研究分担者 |
相田 紘孝 関東学院大学, 教育学部, 講師 (00782749)
成田 慎之介 東京学芸大学, 教育学研究科, 准教授 (00804064)
佐藤 英二 明治大学, 文学部, 専任教授 (20339534)
岡野 勉 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (30233357)
田中 伸明 三重大学, 教育学部, 教授 (60609246)
田中 義久 弘前大学, 教育学部, 准教授 (80610633)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2025年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
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キーワード | 数学教育現代化 / 教育課程 / 学習指導要領 / SMSG / 数学教育史 / カリキュラム / 数学教育 / 現代化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,1950年代から1970年代の教育の現代化における日本の数学教育の指導内容の構成と指導原理を明らかにする.これは,従来の数学教育史において,現代化に対する否定的な評価がされてきたことに対する再評価に当たる.現代化の批判の対象となった事は,高度な指導内容や行き過ぎた指導である.これらの背後にあった現代化の本来の指導内容の構成と指導原理を明らかにすることで,数学教育における現代化を再評価する.
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研究実績の概要 |
本研究課題では、以下の3つを研究課題として取り組んでいる。(1)欧米諸国の現代化はどのような運動だったのか (2)日本は欧米諸国の現代化をどのように見ていたか (3)日本の現代化はどのようなものだったのか 令和5年度は、主として(2)(3)について、以下の研究を行った。 (2)数学教育現代化運動における日本の数学教育者のSMSGの受け止め方に対して、数学教育協議会の主要な会員として活躍した栗原九十郎のアメリカ新数学運動批判と算数教育論を検討した。アメリカ新数学運動批判としては、カリキュラムの体系性の欠如への指摘と、その受容に対する警戒心があった。また、戦後直後から学習指導要領の作成に関わった矢野健太郎の思想を検討した。この結果、現代数学と子どもの認識を統合的に捉える志向、20世紀の数学の成果をいかに数学教育に反映させるかという問題意識、大学初年級の文科系学生に「新しい数学」を教えるプランの具体化、世界の指導者の意見の一致を根拠として、小学校への集合の導入を主張した事などが明らかになった。 (3)小学校算数科や中学校数学科の学習指導要領に記された集合の指導のねらいが検定教科書にどのように具体化されているかを分析した。小学校算数においては、積極的に集合に着目させることによって、内容の学習やその処理が適切にできるという事や、集合をもとにして概念の理解を図るという事の扱い方に差異が認められた。中学校数学科においては、教科書の改訂によって集合の扱いが減少している事が明らかになった。また、集合を内容として扱う節以外である数・式と関数、図形の領域においても、集合に関する記述が多く存在していることや、集合を用いて現在の検定教科書にはみられないような文字の式の扱いが存在していることなどを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題の(1)については、史料収集とその分析を中心に行った。米国のSMSGの教科書を網羅的に収集し、その分析を始めている。研究課題(2)(3)について、当時の数学教育者の思想を明らかにしつつ、初等教育段階、中等教育段階について、それぞれ研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
小学校算数に集合が導入されたことについて、米国SMSGの実験教科書の内容を分析し、日本の検定教科書と比較検討する。日本数学教育会の組織的な活動の一つとして数学科教育課程研究委員会の活動の経緯を捉え、数学教育現代化を取り入れた学習指導要領の改訂への影響を検討する。深水吉春による初等教育段階の集合論のカリキュラムの構想を明らかにする。戦後の東京大学の入試問題を分析することを通して、数学教育現代化で重視されたベクトル・行列・一次変換等の線型代数と場合の数・確率の問題の出題傾向を捉える。 また、学会での研究発表を行い、研究グループ以外の歴史研究者や当時の様子を知る識者方とも研究交流を進める。
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