研究課題/領域番号 |
23K22274
|
補助金の研究課題番号 |
22H01003 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
|
研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
下田 誠 東京学芸大学, 先端教育人材育成推進機構, 准教授 (40448949)
|
研究分担者 |
片桐 昌直 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00185802)
三石 初雄 東京学芸大学, 先端教育人材育成推進機構, 名誉教授 (10157547)
高旗 浩志 岡山大学, 教師教育開発センター, 教授 (20284135)
中村 和弘 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (50511185)
小谷 健司 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (60273299)
張 揚 北海道大学, 教育学研究院, 講師 (60767193)
松田 恵示 立教大学, スポーツウエルネス学部, 特任教授 (70239028)
十枝内 康隆 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (80359489)
荒巻 恵子 帝京大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80743070)
望月 耕太 神奈川大学, 経営学部, 助教 (80754605)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2026年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2025年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
|
キーワード | 教員養成 / 質的高度化 / 専門職課程 / カリキュラム開発 / PD(プロフェッショナル・ディベロップメント) / 大学教授職 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、教員養成の質的高度化に向けた日本の大学院教育学研究科専門職学位課程(教職大学院)のカリキュラム開発と大学教員の専門職性開発を架橋する学術的研究である。 本研究では専門職としての学校教員、その養成・研修を担う大学教授職、そして大学組織の在り方について、他の専門職養成にも通底する「教育の構造」という視点から、教員養成の質的高度化に寄与する新たな認識枠組みを生成し、教師教育研究の見方を刷新することを目的として、一つに質問紙調査と二つに国内外の訪問調査の定性・定量融合法を実施する。
|
研究実績の概要 |
2022年度は、STEP1(2022・2023)概念化「教員という専門職養成をめぐる議論の整理・予備調査」の1年目である。キックオフミーティングでは、今後の進め方や予算減額に応じた研究計画の精選について話し合った。2022年度は年3回の研究会等を通じて、相互理解の醸成につとめた。各回の研究会では、年1回各自の専門性に応じて科研のテーマに即した報告をおこなった。これは4年目に入稿する予定の論文集に向けた中間報告の位置づけである。 本研究の中核に2つの研究上の「問い」があり、教師教育の分野においても、多少なじみの薄い考え方もあるため、研究代表者から研究課題の意義や重要性について繰り返し説明をおこなった。相互の議論を通じて、一定の軌道修正を加える必要も出てきている。 予備調査は、A班(教員養成高度化に向けた「実践性」解明班)では学校拠点方式を採用する福井大学と県下の中学校を訪問し、先駆的でありながら、実績をつみあげている福井大の取組みを学識専門家の助言と共に理解を深めた。B班(専門職養成をめぐる「教育の構造」解明班)では、看護学の拠点の一つである順天堂大学三島キャンパスの教員より看護教育のカリキュラムやFDにかかわり基本的な課題をご教示いただいた。 1年目に予定していた英国訪問は、A班班長の荒巻が予備調査をおこない、2年目に経費を繰越して研究代表の下田もニューカッスル大学、ケンブリッジ大学を訪問し、PGCEの実際を聴き取りすることができた。 具体的な研究項目としては、A班は大学院担当教員へのアンケート調査を予定していたが、ミーティングを繰り返し開催し、意見交換を続けた。1年目の3月の段階で班員の高旗による原案の提示があり、2年目以降の議論の出発点となった。B班は京都府立大を訪問し、2年目に訪問予定のドイツの教員養成(とくに試補)について、及び社会福祉士の養成に関連して情報を収集した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
STEP1(2022・2023)概念化「教員という専門職養成をめぐる議論の整理・予備調査」では、教員養成の質的高度化に向けた枠組みを生成するため、訪問調査の事例選択には理論カテゴリーに沿った対象・事例(先端事例・代表事例等)を選択するとしていた。その方向に沿って、特色ある教員養成の質的高度化を進める福井大学、ドイツの教員養成と社会福祉士養成に成果をあげる京都府立大学、専門学校との違いも含め看護教育への知見を有する順天堂大学に聞き取り調査をおこなうことができたことは、順調な進捗といえる。 教員養成高度化の方向性として、長期間の学校現場での体験により教員を養成する学校拠点方式があるが、その先駆的事例として英国を訪問するとしており、2022年度に予備調査を実施できた。その準備を経て、繰越をした経費により2023年度夏季に、英国のニューカッスル大学において主に中等教員養成にかかわるPGCEの調査や初等教員養成にかかわりケンブリッジ大学において情報収集をおこなうことができた。 2022年度・2023年度には、【A班】では①大学院担当教員へのアンケート調査を実施するとしており、月例でA班ミーティングをもち、議論を重ねてきた。年度内に調査の原案も用意できたことは、大きな前進といえる。②の座談会はStep0の段階に実施済のため、より必要な調査や研究に時間を投入した。③の内外の学校拠点方式の視察等も上述の通り実現している。【B班】では①2つのRQに関する先行研究の調査、文献研究を進めるとあり、「教育の構造」にかかわり度々議論をおこなった。②の他の専門職の訪問調査では、京都府立大学や順天堂大学に学ぶことができたことも上述の通りである。③の専門職養成課程・修士課程の課題整理も進めている。アウトリーチでは、国内では教大協で発表し、1篇論文も発表することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度の【A班】福井大学訪問調査と【B班】ドイツ調査に向けた事前聴き取り(京都府立大学)、看護師養成(順天堂大学)の聴き取りをふまえ、2023年度は【A班】【B班】ともに国内各数拠点の訪問を予定している。とくに【B班】では、年度前半に医師養成について基礎的な知見獲得、情報収集に向け訪問調査を予定している。 【A班】では質問紙研究にかかわり、全国の教職大学院に質問紙調査をおこない、教員養成高度化にかかわる「実践性」や大学教員の専門職性開発、実務家・研究者教員の連携等に対する大学教員の認識を浮き彫りにする計画にある。並行して、教員養成評価機構の認証評価結果等も活用し情報収集に努める。【B班】は総括表(初稿)を作成し、専門職の養成や実態にかかわり、若手研究者の協力等も得つつ、一覧して比較できるような資料を作成する方向で、協議している。 海外調査では、2023年度、【A班】関係では、中国は出張の計画がたてにくい状態にあるが、状況をみきわめ、独自の地方政府・大学・学校の連合モデルを運営する中国・長春の訪問を計画している。【B班】関係では、試補勤務により教員を育てるドイツを予備調査する予定である。 各研究者は年3回の研究会において、本科研とのかかわりで、各自の研究成果を発表し、そのうち2回は対面式での開催を予定している。その機会を活用して、高度な学術情報の共有や訪問調査計画・報告等、有効な時間の利用を検討している。年3回の研究会とは別に2023年1月より、研究を着実に前進させる観点から、月例定例研究会を開催している。研究体制は、前年度後半に2名の研究協力者に参画していただいた。 参加研究者は、教員養成の専門家ではあるが、それぞれ教科や専門性を異にしていることもあり、出版計画を具体化することにより、各研究者のテーマを有機的に結びつけるよう、2023年度の期間に準備を開始する。
|