研究課題/領域番号 |
23K22276
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補助金の研究課題番号 |
22H01005 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
鈴木 恵 新潟大学, 人文社会科学系, フェロー (60163010)
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研究分担者 |
田中 宏幸 安田女子大学, 文学部, 客員教授 (40278966)
松崎 正治 同志社女子大学, 現代社会学部, 特任教授 (20219421)
磯貝 淳一 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (40390257)
森 美智代 福山市立大学, 教育学部, 教授 (00369779)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
13,780千円 (直接経費: 10,600千円、間接経費: 3,180千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
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キーワード | 言語文化共同体 / 学習内容開発 / 古典教材開発 / 学習方法開発 / 論理的思考力 |
研究開始時の研究の概要 |
日本語の歴史的変遷を背景とした言語文化のあり方は、自明性を問うことが難しい思考のレベルにおいて、学習者の言語に影響を及ぼし、思考様式(ものの見方・考え方)の形成にも大きく関わっている。本研究では、学習者の「読み・書く」言語活動における思考様式の深化を可能にする、古典の学習を提案する。そのために、言語文化共同体に生きる学習者という視点から、過去の言語文化共同体の内実を解明し、現代の言語文化共同体との間を行き来する学習者を実現するための、学習内容・学習材・学習方法の開発と検証を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は、学びのプロセスと日本語書記史を統合する学習内容・学習材・学習方法の開発と検証を目的とする。特に、日本語の歴史的変遷を背景とした「我が国の言語文化」の内実を解明し、それに基づいた学習内容・学習材・学習方法の開発を目指す点に特色がある。 本研究では、国語教育学・日本語学の研究者が密接に連携を図りつつ、研究を進展させる。3年間にわたる研究期間中、調査、仮説・検証、成果の共有と発信のように、段階を追って進める。研究初年の令和4年度は、これまで継続的に行ってきた研究を拡充する形で、研究課題に関わる基礎的な研究を行った。 国語教育学領域では、教育研究・実践から見た思考様式(ものの見方・考え方)の解明を担当した。ものの見方・考え方に関連する研究・実践を、論理的な思考力だけでなく、異化効果やアフォーダンス等、情緒的(感性的)な思考力をも含み込んだものとして考察を進めた。令和4年度は、特に①諸理論の検討、②学習者への調査(質問紙法、作文分析)を行った。 日本語学領域では、特に日本語書記史から見た日本語の思考様式(ものの見方・考え方)の解明を担当した。令和4年度は、特に①書記の複層性の実態調査(原典調査)、②書記体の発掘(文法構造等の比較)、③定番教材『枕草子』などの再定位(諸本の比較)を行った。 また、メンバーに加えて岡山理科大学の井浪真吾氏に協力いただき、第143回全国大学国語教育学会2022年秋期大会(10月16日、千葉大学)において、「日本語書記史からみた古典教育の新しい枠組み 国語教育研究と日本語史研究と古典文学研究による共創」というタイトルでラウンドテーブルでの発表を行った。これは、「言語文化共同体に参入を促す教材」を開発していく上で、学習対象となる言語文化共同体をどのように措定すべきか議論する必要性があることを述べたものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、学習者の「読み・書く」言語活動における思考(ものの見方・考え方)の深化を可能にする古典の学習を提案する。そのために、言語文化共同体に生きる学習者という視点から、過去の言語文化共同体の内実を解明し、現代の言語文化共同体との間を行き来する学習者を実現するための学習内容・学習材・学習方法の開発と検証を目指した。それには、複数回にわたる研究発表会と十分に時間をかけた協議により、メンバー全員の理解の深化と、理論面の構築を図る必要がある。ところが、新型コロナウイルス感染拡大の中、全員が参集したり、対面にて研究発表や協議を行ったりすることは極めて困難であった。その代わりとして、メールでの意見・情報交換を頻繁に行うほか、全員による、時間をかけた非対面(オンライン)の協議を1回実施した。 一方、前述したように、千葉大学で開催された第143回全国大学国語教育学会(対面)では、「言語文化共同体に参入を促す教材」の開発をめぐる問題について、ラウンドテーブルでの発表を行った。 また、江戸末期から明治期にかけての話しことばと書きことばとの関係を繙く上で重要な資料として位置づけられてきた、三遊亭円朝演述・若林カン(王偏+甘)蔵筆記の『怪談牡丹燈籠』の語彙総索引を作成・公刊することができた。今後の研究に大きく寄与するものと期待される。 以上、新型コロナ感染禍の中においては少なからず制約はあったものの、「(2)おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、学びのプロセスと日本語書記史を統合する学習内容・学習材・学習方法の開発と検証を目的とする。 具体的には、日本語に特有の「ものの見方・考え方」に着目し、① 国語教育学で研究・実践してきた思考様式(ものの見方・考え方)の解明、及び日本語話者としての学習者のものの見方・考え方の解明、② 日本語学(特に日本語書記史)から見た日本語のものの見方・考え方の解明、③ 日本語固有のものの見方・考え方と言語文化共同体の解明、④「書くこと」の教育のための学習内容・学習材・学習方法の開発と検証、を中心とした研究を行う。 本研究では、国語教育学・日本語学の研究者が密接に連携を図りつつ、研究を進展させる。研究期間中、調査、仮説・検証、成果の共有と発信のように、段階を追って進める。 令和5年度は、国語教育学領域においては、①諸理論の検討、②学習者への調査(質問紙法、作文分析)、③授業の分析を行う。また、日本語学領域においては、①書記の複層性の実態調査(原典調査)、②書記体の発掘(文法構造等の比較)、③定番教材の再定位(諸本の比較)を行う。 本年度は、全員が参集して、対面での研究発表と協議、情報交換の場を複数回設定する予定である。
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