研究課題/領域番号 |
23K22286
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補助金の研究課題番号 |
22H01015 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 十文字学園女子大学 |
研究代表者 |
池田 まさみ 十文字学園女子大学, 教育人文学部, 教授 (00334566)
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研究分担者 |
宮本 康司 東京家政大学, 家政学部, 教授 (00447575)
森 津太子 放送大学, 教養学部, 教授 (30340912)
高比良 美詠子 立正大学, 心理学部, 教授 (80370097)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,510千円 (直接経費: 12,700千円、間接経費: 3,810千円)
2025年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
2024年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 認知バイアス / 倫理 / 心理学 / サイエンスクラウド / 高大連携 / 公共 / クラウドサイエンス |
研究開始時の研究の概要 |
2022年度より高校公民科の科目(公共・倫理)に心理学の学習が導入されることを受け、高校では、生徒の「社会的な見方・考え方」を働かせる公共・倫理での心理学の実践教育が求められている。そこで本研究では、(1)生徒が心理・社会的事象を「自分事」として捉えることのできる認知体験型のオンライン心理学実験とその実験データを生徒自ら用いて探究する教材・教授法を開発する、(2)データを匿名化処理して蓄積し、その実証的知見を教育と研究に活かすデータのプラットホームを備えた「高大連携型クラウドサイエンス」を構築する。教育と研究を兼ね備えた高大連携の仕組みは国内外でも類がなく、この機に実現する必要があると考える。
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研究実績の概要 |
2022年度より高校公民科の科目(公共・倫理)に「心理学」の学習が本格導入されたことを受け、本研究では、(1)公共・倫理の心理学オンライン実験教材・教授法を開発すること、(2)「高大連携型クラウドサイエンス」を構築すること、(3)高校生の心理・行動データから人間の社会的行動のメカニズムを実証的に解明すること、を主目的としている。特に高校「倫理」の中では、心理学の学習は知識等の理解に留まらず、心理学の研究手法を用いた探究学習を通して、生徒が体験的に理解を深めることが求められる。2024年度以降、倫理に心理学が本格導入されるのを機に、認知体験型の心理学実験等を備えた「高大連携型クラウドサイエンス」を構築する必要があり、本研究はその第一歩を担う重要な取り組みである。 研究初年度は、目的(1)の心理学オンライン実験教材・教授法の開発に向けて、公共・倫理に関する思考実験の素材となる「認知バイアス」の現象を整理・選定することが第一となる。また選定した素材を基に、高校生が事象を「自分事」として捉えられるような場面設定や認知体験型の実験ワーク教材を試作すること、また教授法として実験手続きや分析手続きなど一連の教示プロトタイプを試作することが課題であった。まずは学術的観点から認知バイアスの現象を整理し一覧化する取り組みとして、認知バイアスを紹介するホームページ「錯思コレクション100」を更新し、これを出版物にまとめた。具体的には、どのような場面でどのような認知バイアスが生じるかを6つの場面(記憶・推定・選択・信念・因果・真偽)に分類するに至った。こうした一覧化・出版化は、教科教育の中だけでなく、社会一般における認知バイアスに対する認識を高めることにもつながった。教材・教授法の具体的なコンテンツとプログラムについては、2023年度以降の新しい教科書も踏まえて検討を行い、調整等を経て完成を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の教材・教授法開発において根幹となる「認知バイアス」の一覧化についてはホームページの更新や複数の出版物の刊行により迅速に進めることができた。一方、教材・教授法に関するコンテンツおよびプログラムについては、新学習指導要領に基づく新たな倫理の教科書の入手が2023年度以降になることもあり、詳細を詰めるまでには至らなかった。また教材開発に関しては研究会等により対面での試作検討を重ねる必要があるが、研究代表者等の所属研究機関において予期せぬ緊急事案が発生するなどして研究会を延期せざるをえない事態が生じたことも計画の一部遅れにつながった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度以降に入手可能となる新しい公共・倫理の教科書を基に、新たに盛り込まれた心理学の内容とも照らしながら、目的(1)の教材・教授法の開発に向けて、研究会を定期的に開催し完成を目指す。同時に、今年度の目的(2)の高大連携型クラウドサイエンスの構築に関して、システムのデザインの基盤を固めるべく、産学連携等も視野に入れ、学内外の専門家・有識者を交え、情報交換および企業等の情報収集・渉外等を積極的に進める。
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