研究課題/領域番号 |
23K22305
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補助金の研究課題番号 |
22H01034 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
阪本 浩一 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 特任教授 (10291593)
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研究分担者 |
金子 美樹 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教 (10795735)
清野 健 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (40434071)
瀬戸 俊之 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (60423878)
重松 大輝 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教 (50775765)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
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キーワード | 聞き取り困難症 / APD / 補聴援助システム / 聴覚情報処理障害(APD) / 聞き取り困難症(LiD) / 聴覚情報処理検査(APT) / 発達障害(神経発達症) / 脳機能評価(fNIRS) / 補聴援助システム 補聴器 / DDT(Digit Triplet Test) / 教室音環境改善 / 聴覚情報処理障害 / 補聴効果判定 / 教室騒音 / 聞き取り困難症(LiD) / 聴覚情報処理検査(APT) / 脳機能評価(fNIRS) / 補聴器・耳栓・ノイズキャンセルイヤホン / 聴覚情報処理障害(APD) / 小児 / 早期スクリーニング / 補聴技術 / 評価方法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、聴覚情報処置障害(APD)、聞き取り困難症(LiD)の学童生徒を対象に、その自覚症状が小学校高学年から中学生、高校生になるに従って顕在化するとの、昨年までの検討結果を背景に、実際の小児、学童、生徒での有病率を明らかにすることと、最適な支援法の開発を今年度の目標としている。 その手段として、DDTを用いたスクリーニンを、実際のAPTとの相関関係を明示した上で、学童、生徒に実施し、APD/LiDの有病率を明らかにする。さらに、補聴援助システムのリスニングエフォートに基づいた、客観的な評価をNRISによって実現することが本研究の概要である。
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研究実績の概要 |
1. 「聞き取り困難LiD・聴覚情報処理障害APDの小児に対する研究」を進めた。昨年の大阪教育大学の調査を継続して実施し、連続的なデータ収集により同様の傾向が確認された。小児の自覚症状が年齢と共に顕在化することを論文にまとめた。 2. 「小児のAPDに関する検査法の有用性」についての臨床集積データも順調に増加し、2024年春時点で15歳以下の115例の登録を完了した。小児においては、発達障害の診断にWISC-IVや発達評価を行い、発達障害の確定診断は27%、疑い例は10%と成人よりも高い合併率を示した。聞き取り困難のスクリーニングを実用化するため、DDTを用いたLiD/APDスクリーニングの実証検査を介し、スクリーニングソフトを用いてパイロット検査を実施した。来年度にはAPTとの相関を検討し、大阪教育大学での実証介入を予定している。3. 本研究の特徴である脳機能評価のための機器導入と調整を行った。検査機器として島津製作所製のfNIRSを購入。今年度中には前頭葉の注意機能をAPT検査実施中に評価し、聞き取り困難の程度を注意の違いで評価するパイロット研究の準備を完了した。4. 聞き取り困難を補助するため、補聴援助システム、補聴器、耳栓、ノイズキャンセルイヤホンなどを使用した小児APD例に対する自覚症状と機器使用状況の調査を実施した。補聴援助システムの有効性と分離聴力検査、早口音声聴取検査などのAPTとの関連性について雑音下音場検査の閾値変化を指標にした分析を行った。これにより、最適な機器選択の有効性が期待される。また、大阪教育大学天王寺小学校では、スピーカーやマイクを使用した教室環境改善のための介入研究を外部企業と共同で継続し、今年度はLiD/APDのスクリーニングを含めた介入研究を実施予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目の進捗状況を、研究計画の概要に沿って報告する。 「小児用のAPD/LiD検査法の開発」に関して、小児の自覚症状が年齢の上昇に連れて継時的に上昇し保護者の所見との乖離が年齢の上昇 に連れて拡大すること。因子分析から聴覚的注意課題が最も検出率が高いことを明らかにした。APD患者の集積調査の小児例について 分析し、小児は、成人と比較し、分離聴力検査の文、早口音声聴取検 査の2倍速、1.5倍速、聴覚的注意課題の陽性率と誤答数、両耳交互聴検査で成人より検出率が高かった。この結果を踏まえて、実際の生徒へのスクリーニングを実施するため、DDT(Digit Triplet Test)を採用し、その有効性を当事者会の協力で検証した。また、APTとの相関を実証試験を開始した。結果より次年度は、小児へのスクリーニング検査の実施を計画してる。本研究の特徴である、脳機能の評価に関しては、島津製作所製、fNIRSの導入が完了し、試験的にパイロット試験を実施した。 APT実施時、及び、音場語音検査実施時のNIRS計測について調整をじっししている。「APD症状の評価法の開発」に関しては、DDTを用いるスクリーニングを実施する方向性がかたまり、実施に向けて調整中である。 「補聴技術の開発」に関しては。教室音環境計測分析に関して、大阪教育大天王寺小学校において、介入研究を外部企業と共同で開始、実施している。さらに代 表者の施設の小児APD例に対して、補聴援助システム、補聴器、耳栓、ノイズキャンセルイヤホンなどの使用例に対する調査を実施した。結果、APTの分離聴力検査のパターンと補聴援助システム の有効性に関連のある可能性があり、自覚症状、騒音下音場語音検査、NIRSなどで、評価、症例の集積を続ける予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現時点の推進方法を、研究計画の概要に沿って報告します。「小児用のAPD/LiD検査法の開発」において、小児の自覚症状と小児APTの有効な項目が明らかになりました。本来は小児用簡易APTを開発する予定でしたが、実績あるDigit Triplet Test (DDT)の提供を受けたため、DDTを使用して小児でのAPTとの相関性を検討を続けます。今年度は、DDTとAPTの相関を確認した後、協力体制を組んでいる大阪教育大附属天王寺小学校にてDDTスクリーニングの実効性を確認する予定です。 APD患者の集積調査からは、小児が成人と比較して分離聴力検査の閾値、早口音声聴取検査(2倍速および1.5倍速)、聴覚的注意課題の陽性率および誤答数、両耳交互聴検査で高い検出率を示しました。脳機能の評価については、機器の導入と調整を行いました。特にfNIRSを使用して、APT検査正常例の前頭葉の注意機能を評価し、評価方法の確立を目指します。 「APD症状の評価法の開発」に関しては、教室現場での測定試料とAPD児童の検査結果から、実際の教室環境に即したシミュレーションについて背景因子を含めた検討結果を参考にして検音源を作成しています。「補聴技術の開発」については、大阪教育大天王寺小学校で教室音環境の計測分析を行い、外部企業と共同で介入研究を推進しています。具体的には教室にスピーカーとマイクを導入し、授業後の生徒の聞き取り状況の変化を評価しています。また、代表者の施設の小児APD例に対して、補聴援助システムの有効性について、分離聴力検査と早口音声聴取検査の結果とfNIRSを使用した脳機能との関連を検討しています。
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