研究課題/領域番号 |
23K22312
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補助金の研究課題番号 |
22H01041 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
新田 浩 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (70237767)
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研究分担者 |
木下 淳博 東京医科歯科大学, 統合教育機構, 教授 (10242207)
礪波 健一 明海大学, 保健医療学部, 教授 (20334427)
梅森 幸 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (30644207)
海老原 新 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (60251534)
則武 加奈子 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 准教授 (60624210)
岩城 麻衣子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (70544500)
須永 昌代 東京医科歯科大学, 統合教育機構, 助教 (90581611)
金森 ゆうな 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 特任助教 (00848286)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
14,170千円 (直接経費: 10,900千円、間接経費: 3,270千円)
2025年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 歯科臨床教育 / ARスマートグラス / 双方向的遠隔指導システム |
研究開始時の研究の概要 |
歯科の臨床技能教育では歯科処置が口腔内という狭い術野で行われるため、オンサイトであっても教員がリアルタイムで学生、研修歯科医を指導することに制限があることが課題となっている。また、新型コロナウィルス感染症の拡大に伴う登校制限により、対面での模型実習等の技能教育が不十分になることも新たな課題となった。この2つの課題を解決するため、本研究ではカメラ、モニター、マイク、スピーカー、通信などの機能が搭載されたARスマートグラスを用いた双方向性同期型遠隔歯科臨床技能教育システムの開発を検討する。
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研究実績の概要 |
ARスマートグラスによる遠隔指導下で、研修歯科医を対象に歯科実習用マネキンと顎模型を用いて、概形印象採得実習を実施し、遠隔指導の教育効果を対面指導および紙媒体を用いた学習と比較した。 【方法】研修歯科医27名を①遠隔指導、②対面指導、③紙面のみの自己学習の3グループに分けた。全ての研修歯科医は紙面教材での学習後、マネキンで上下顎模型の全顎のアルジネート印象採得(遠隔指導グループは社M400スマートグラスを装着)を実施した。指導者は1回目の印象採得時にプロセスを観察し(遠隔指導グループはスマートグラスを通して)、指導介入のポイントを抽出した。その後、遠隔指導グループはスマートグラスの音声通信を通じて、対面指導グループは対面で指導者から指導を受けた。紙面のみの自己学習グループは指導者の介入なく自己学習のみを行った。その後2回目の印象採得を行い、指導前後のプロダクトについて評価した。各指導法について上下の評価項目得点の合計点および上下顎評価項目毎の得点の指導前後の差についてpaired-t検定で分析した。多変量解析として指導前後の得点の変化を目的変数、グループ、上下顎、グループ分け時の得点を説明変数とした混合モデルを用いた。 【結果および考察】上下顎合計点は遠隔指導、対面指導のグループで有意に上昇したが、紙面のみの自己学習のグループでは変化を認めなかった。混合モデルを用いた分析ではグループと得点変化に有意な相関を認めた一方で、グループ分け時の得点、上下顎とは相関を認めなかった。グループ間の比較では、指導前後のスコア変化量は遠隔指導、対面指導ともに紙面のみの自己学習のグループより有意に大きかった。 【結論】スマートグラスを使用した遠隔指導は、対面指導に匹敵する教育効果がある可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研修歯科医を対象に歯科実習用マネキンと顎模型を用いて、5つの歯科処置の模型実習を実施し、ARスマートグラスによる遠隔指導に適切なARスマートグラスのカメラの角度、明るさ、音声の音量等の検討した所、当初、予定していた支台歯形成、エンド治療については、カメラ角度と指導における通信音声遅延に課題があり、解決に至っておらず、予定通り進行していない。今後は、課題解決が困難な場合は計画していた処置以外の医療面接、頭頸部診察、口腔内カメラ撮影等の他の処置への応用を検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研修歯科医を対象に歯科実習用マネキンと顎模型を用いて、昨年同様に概形印象採得と模型実習を実施し、被験者を増加させ、ARスマートグラスによる遠隔指導の有用性について再検討する。対象は2024年度東京医科歯科大学病院勤務の研修歯科医30名とする。対象者を10名ずつ3グループに振り分け、それぞれを、スマートグラスの音声・画像通信機能を用いる遠隔指導、現場で指導歯科医が直接指導する対面指導、テキストと図で情報提示のみ行う紙面指導を行うグループとする。遠隔指導では、教員は研修歯科医に適切と思われるアドバイスをリアルタイムで行う。 まず、アルジネート印象材を用いた実習の被実習用マネキンに装着された顎模型の印象採得を行わせ、その結果から、手技の優劣が均等になるように、3つにグループ分けする。それぞれ、上記した3つの指導法にて印象採得の指導を行う。その後、再度印象採得を行う。試験後、それぞれの処置のプロダクトをダブルブラインドで評価し、3つのグループの技能学習効果を統計学的に比較する。 実習終了後に実習中に撮影したビデオを見て、フィードバックを兼ねて、適切な教員からのアドバイスとそのタイミング、グラス内のディスプレイに表示する情報(テキスト、2D、3D画像等)を検討する。また、被験者に対し、アンケート調査を行いARスマートグラスによる遠隔指導の有用性を検討する。 同様に口腔内写真の撮影についても同じプロトコールで実施する。 データ解析については、研究代表者(新田)、研究分担者(木下、礪波、須永)、評価表の作成については、研究分担者(礪波、則武、梅森)が担当する。今後の補綴系処置、保存系処置のプロトコール、評価表の検討はそれぞれ、研究分担者岩城、海老原、金森が担当する。
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