研究課題/領域番号 |
23K22335
|
補助金の研究課題番号 |
22H01064 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
|
研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
藤岡 達也 滋賀大学, 教育学系, 教授 (10311466)
|
研究分担者 |
大辻 永 東洋大学, 理工学部, 教授 (20272099)
川真田 早苗 北陸学院大学, 人間総合学部(子ども教育学科), 教授 (20880363)
山口 克彦 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (30251143)
五十嵐 素子 北海学園大学, 法学部, 教授 (70413292)
村田 守 株式会社蒜山地質年代学研究所(地質技術センター), 地質技術センター, 研究員 (80239532)
榊原 保志 信州大学, 教育学部, 名誉教授 (90273060)
佐藤 健 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (90290692)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
|
キーワード | 防災・減災,復興教育 / 自然災害 / ESD,SDGs / STS,STEAM教育 / Web教材 / 防災・減災,復興 / SDGs・ESD / STS・STEAM |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,国内外で発生した自然災害の現状と課題等を踏まえ自然災害に関する教育の総合・体系化を構築すること,さらに開発したデジタルコンテンツ等のICT教材を用い,国内外へ防災・減災,復興等に関する教育内容・方法を発信し,評価・検証等により自然災害に関する包摂的な教育の在り方を明確にすることが目的である。研究方法は,現地・文献調査等から日本の各地域に生じた多様な自然災害に関する対応の経過・現状・成果を収集・分析し,整理する。次に国際動向を集約し現地情報やこれまでの研究成果に基づき,SDGs,STEAM教育等を含めて開発したICT教材,教育プログラム等を用いて学校等教育機関から,国内外に発信する。
|
研究実績の概要 |
学校教育において,「総合的な学習の時間」の創設から3度の改訂に至るまで示された「生きる力」の育成と防災・減災,復興に関する教育の関係性から,国内での展開・現状と課題を整理して公刊した。また,関東大震災100年目の節目であり,この100年間の自然災害と学校防災について取りまとめ,学術防災連携体の特集号に掲載された。同時に近代の地震被害や近年の大震災からの復興について,北但馬地震,福井地震から東日本大震災までの例を整理した。 自然災害に関するカリキュラムマネジメントとしてPDCAサイクルだけでなく,OODAサイクルの視点によって実践研究を行い,教育プログラム等の開発の視点を明確にした。初等中等教育及び教員研修用の教材開発として,SDGsを切り口として(1)地震・津波による災害,(2)火山噴火による災害,(3)風水害の3点から整理し刊行した。これらを基に現地調査等による一次資料としての図版・写真等をデジタルコンテンツ化して学校教育現場から地域の社会教育でも活用可能な教材の作成に取りかかった。さらに,国及び都道府県等実施されている,学校教育,教員研修・養成等での防災・減災教育等の取扱いから,地域と連携した学校安全・危機管理までの内容・方法の現状と課題を整理し,開発したSTEAM教材,ICT教材等を加え総合・体系化を試みた。 以上,日本の自然災害に関する教育の在り方について,国際社会との共通性・一般性を踏まえ,防災・減災と科学的リテラシー育成の両面から教育内容,教育方法,システム等などを総合化した。開発された教材・プログラムをWeb等を用いて教員研修・大学授業や発達段階に応じ小学校から高等学校までの授業で実施後,効果を質問紙調査等で検討・改善し,海外への発信にも活用できるものとして公開が開始できるようになった。学校でのニーズや活用状況をフィードバックできるシステムの構築を準備した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初等中等教育及び学校教員の研修用教材,さらには社会教育にも活用可能な開発教材として,SDGsを切り口として(1)地震・津波による災害,(2)火山噴火による災害,(3)風水害の3点から整理し,公刊するに至った。しかし,学校教育現場や社会教育などにおいて,意外と知られていない重要な自然災害やその復興についてのデータを収集し,教材としての総合化・体系化に取り組むためには,SDGsの視点だけでなく,文理融合型のSTEAM教育の視点からも集約する必要があることが,校種間を越えた教育実践や教員研修から明らかになった。 また,気候変動に関する自然環境への影響の大きさが地球規模での自然災害の拡大のグローバルな視点から,日本におけるローカルな視点での防災・減災,復興に関する教育の重要性も明確になった。具体的には,令和6年初日に能登半島地震が発生し,これに対する教育研究の必要性が明確になったことが挙げられる。これについても様々な課題や,これまでの研究の観点から,日本海側の地震,活断層型の地震との共通性が,数多く見られるため,緊急に調査する必要が生じ,取り組み始めている。 上述のように,関東大震災から100年間の間に発生した自然災害と学校防災の展開を取りまとめたり,第三の教育改革とも言える「生きる力」の育成が謳われた学習指導要領を踏まえ,日本各地で「総合的な学習の時間」の展開の中で,防災・減災,復興に関する教育はどのように取り扱われてきたかを実践例を踏まえ,教育史的に整理したりした。 また,初等中等教育,学校教員の研修用教材としてSDGsを切り口として,地震・津波,火山噴火,風水害の3点から整理し,刊行した。これをデジタルコンテンツ化して学校教育現場から地域の社会教育でも活用可能な教材の作成に取りかかった。これらもほとんど完成し,令和6年度早々から運用開始が見込まれている。
|
今後の研究の推進方策 |
令和6年度末にSDGsを切り口とした(1)地震・津波による災害,(2)火山噴火による災害,(3)風水害のデジタルコンテンツの基本枠組がほぼ完成した。今後をこれを基に各学校や教員研修において,どのようなところに活用意義があったり,防災・減災,復興教育のために必要な情報とは何かを集約したりして,その結果をまとめる。 一方で,令和6年度初日に発生した能登半島地震の取扱いの必要性も明確となった。能登半島地震では,これまで日本海側で発生した地震,及び内陸で発生した活断層型地震の課題が一斉に表出したと言える。そのため,これまでの成果だけでなく,新たに防災・減災,そして復興の教育から取り上げる必要性が生じた。その際,教材開発の視点としては,災害面のみを強調するのでなく,自然の恩恵の二面性を取り入れることが,防災教育の基本となることを重視した研究の方向性を探る。 国内において,自然災害が発生する度に新たな課題が生じ,これまでの体系化・統合化においても繰り込めるように取り組んでいく。また,学校教育の教育課程においての限界が明確になりつつあり,今後は学校のみを対象とするのでなく,社会教育など地域での教育開発にも汎用性が可能な方向性を目指した研究とする。当然ながら,今日,気候変動の影響を受け,海外でも防災・減災,復興に関する教育等が注目されつつある。「仙台防災枠組2015-2030」を踏まえて幅広く研究成果を波及することが求められる。2024年にはIGC(国際地質学会)も開催され,これまでの取組を海外に発表し,自然災害削減やSDGsに取り組んでいる研究者や関係者にも波及すること,情報交換などを行い,国際社会へも貢献できるような研究の進展を目指す。
|