研究課題/領域番号 |
23K22345
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補助金の研究課題番号 |
22H01074 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
石井 敬子 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (10344532)
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研究分担者 |
松永 昌宏 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (00533960)
大坪 庸介 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (80322775)
山末 英典 浜松医科大学, 医学部, 教授 (80436493)
野口 泰基 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (90546582)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
2022年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
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キーワード | 主観的幸福感 / 遺伝子多型 / 日本人 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本人を対象としたビッグデータを利用し、主観的幸福感とそれに関連した特性(例えばBig5や孤独感)に関わる未知の遺伝子多型をゲノムワイド関連解析(GWAS) によって見い出し、1) それが欧米人を対象としたビッグデータを用いたGWASによる知見と整合するものであるか、2) 幼少時の養育環境や社会経済的地位に代表されるような個人の環境要因を考慮した際、その環境要因と相互作用するような未知の遺伝子多型が検出されるのか、3) 未知の遺伝子多型が見い出されたとき、それに対応する心理特性は自己報告に基づいたものならず、その脳内指標とも関連するのかについて検討する。
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研究実績の概要 |
株式会社ジーンクエストと株式会社ユーグレナの遺伝子解析サービス利用者に対し、心理的特性についての追加アンケート調査を昨年度行ったが、株式会社ジーンクエストのほうで、その結果から算出した人生満足尺度および主観的幸福感尺度に加え、今年度は孤独感尺度に着目し、利用者から取得済みのgenotyping情報を用いて、各尺度のゲノムワイド関連解析を実施した。さらにそのアンケート調査に含まれていた幼少期における養育環境との交互作用も検討した。その結果、GRIN2B rs7301328に関し、そのGアレル保有者は、Cアレル保有者よりも孤独感が高いことがわかった。先行研究によると、GRIN2B rs7301328は慢性的なケタミン使用と関連があり、特にGG遺伝子型の個人はGC遺伝子型の個人よりもケタミンの使用量が多い。本研究の知見によれば、このような薬物依存に関連した遺伝子型を持つ個人ほど孤独感を感じやすいことを示唆する。また昨年度、日本人の主観的幸福感に関連したSNPを3つ同定し、そのうちの2つは韓国人を対象とした先行研究と共通していることを示したが、今年度この知見を国際学会(Society for Social Neuroscience)において発表した。さらにこれらの主観的幸福感や孤独感に関連すると同定された遺伝子多型が幸福感や孤独感にに関連したさまざまな生理指標と関連するかを検討するため、昨年度に引き続き、名古屋大学の学生101名に対して追加の調査を行い、幸福感や孤独感を含むさまざまな尺度に加え、自律神経系、唾液中のホルモン、血管拡張率等のデータを収集した。 そして昨年度、OXTRrs9840864と道徳基盤との関連も調べたが、その結果も今年度国内学会(日本社会心理学会)において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
株式会社ジーンクエストと株式会社ユーグレナの遺伝子解析サービス利用者に対するアンケート調査とその解析、さらに利用者から取得済みのgenotyping情報を用いての各尺度のゲノムワイド関連解析に関しては、主観的幸福感のみならず孤独感に関しても分析を進め、関連する遺伝子多型を同定することができた。そしてこれらのSNPが幸福感や孤独感に関連したさまざまな生理指標と関連するかを検討するため、昨年度に引き続き、名古屋大学の学生を対象とした追加のデータ収集を行った。計210名のデータが集まり、さまざまな心理尺度に加え、自律神経系、唾液中のホルモン、血管拡張率等の情報を得た。ただし幸福感や孤独感に関して同定された遺伝子多型が非常にマイナーであるため、この210名から収集された唾液からその遺伝子多型を同定する作業に時間を要しており、遺伝子多型を含めた分析がまだできていない。
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今後の研究の推進方策 |
2024年は最終年度にあたるため、2022年と2023年に得られた成果(幸福感と孤独感に関する遺伝子多型の同定、およびOXTRrs9840864と道徳基盤との関連)を早急に論文化し、国際誌への掲載を目指す。また昨年度終えることができなかった作業(210名から収集された唾液からその遺伝子多型を同定する作業)を終わらせ、ゲノムワイド関連解析による知見の妥当性の確認を心理尺度のみならず生理指標に着目した上で行っていく。
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