研究課題/領域番号 |
23K22352
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補助金の研究課題番号 |
22H01081 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
増本 康平 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (20402985)
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研究分担者 |
谷口 隆晴 神戸大学, システム情報学研究科, 准教授 (10396822)
佐藤 幸治 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20584022)
原田 和弘 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (50707875)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,770千円 (直接経費: 12,900千円、間接経費: 3,870千円)
2024年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 加齢 / 感情調整 / 信頼 / 社会的つながり / 遺伝 / 利他行動 / ホルモン / オキシトシン / バソプレシン |
研究開始時の研究の概要 |
超高齢社会の問題の解決には,社会的つながりが必要不可欠である。感情調整は,良い人間関係の構築において中核的な役割を担う心理機能であり,加齢による低下がみられずむしろ向上する。しかしながら,高齢期の感情調整機能が社会的つながりに及ぼす影響は明確ではない。そこで本研究では,下記の2つを目的とした研究を実施する。 目的1:高齢期の感情調整機能が社会的つながりに及ぼす影響を縦断データを用いて検討する。 目的2:高齢期の感情調整が社会的つながりの基盤である「他者への信頼」に及ぼす影響を心理実験により明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度の目的は,加齢が感情調整,他者への信頼,利他行動に及ぼす影響を生物学的要因,心理的要因をふまえた上で心理実験により明らかにすることであった。 昨年度に実施した縦断調査で回答を得た高齢者の中から抽出した100名(平均年齢73.40, SD = 5.09)と,コントロール群とした大学生100名(平均年齢20.55, SD = 1.77)を対象とした。 感情を喚起する画像を呈示し感情調整を求める課題,尺度による他者への信頼,募金課題を用いた利他行動,WAIS-4を用いた認知機能の測定を実施した。また,オキシトシン,バソプレシンといった他者への信頼や利他行動への関連が示唆されているホルモンを唾液から計測した。 実験の結果,募金課題から,高齢者は若年者よりも利他的に行動することが示された。一方で,募金課題から測定した利他行動に唾液中オキシトシン・バソプレシン濃度は関連していなかった。他者への信頼についても年齢群に有意差がみられ,高齢者の方が他者を信頼しており,また,高齢者の他者への信頼はバソプレシン,オキシトシンとも正の有意な相関がみられた。また感情調整については,年齢群と感情調整条件の交互作用が有意であり,若年者の方が高齢者よりも抑制による感情調整の程度が大きい一方で,反芻では感情調整の程度に年齢差がないことが示された。加えて,年齢群と感情価の交互作用が有意であり,若年者はポジティブな感情をネガティブな感情よりも大きく調整する一方で,高齢者は感情価によって差がないことが示された。来年度以降は,変数間の関連性をより精緻に解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験,調査は予定通りすすみ,研究成果を順調に発表できているため
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今後の研究の推進方策 |
本年度は最終年度であり,これまでの結果をふまえて必要な追加実験および調査を実施する。 本研究の一つ目の目的である「加齢に伴う感情調整の促進は他者との交流にどのように影響するのか?」については,2022年度に実施した調査対象者に対して再度調査を実施する予定である。 二つ目の目的の「なぜ高齢期に他者を信頼する傾向が高まるのか?」については,実験は昨年度に順調に終了しているため,今年度は生化学指標を含めた解析をふまえて,成果を学会,学術誌に報告する。
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