研究課題/領域番号 |
23K22371
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補助金の研究課題番号 |
22H01100 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
結城 笙子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (60828309)
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研究分担者 |
後藤 和宏 相模女子大学, 人間社会学部, 教授 (20546725)
中谷 裕教 東海大学, 情報通信学部, 講師 (30333868)
外谷 弦太 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任助教 (70847772)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2022年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
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キーワード | メタ認知 / 確信度 / 比較認知 / 構成論的手法 / 多細胞記録 / fMRI |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、動物のメタ認知研究の知見を反映させたシミュレーションによる仮説探索と、その仮説に基づいた行動・神経記録実験による仮説の実証と神経機序の解明により、メタ認知の進化過程に関する妥当な仮説の提案を目指す。 具体的には、まず記憶状態などの内部状態に基づいて行動を学習可能なメタ認知エージェントを用いた学習・進化シミュレーションを行い、メタ認知を持つことが何らかの形で学習や進化に寄与する条件を探索する。これらの知見と、ヒトや動物の行動・神経記録実験から得られたデータを統合することにより、メタ認知の進化シナリオに関する生態学的妥当性の高い仮説を導き、その適応的意義を解明する。
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研究実績の概要 |
メタ認知とは、確信度などの自身の内的状態を利用した行動の適応制御である。複雑な問題解決場面で確信度を参照できることは、自信がない場合はやみくもに行動せずに刺激を再度確認するなどの行動を可能にし、より柔軟で効率的な問題解決を可能にする。動物のメタ認知研究はこの前提の下に開始され、既に複数の動物種で肯定的な結果を得ている。これはメタ認知が進化の産物であることを示唆するが、動物でメタ認知が機能する複雑な問題解決場面を再現するには各動物種の特性に応じた課題の最適化が必須となるため、知見の種間比較・統合によるその適応的意義と進化プロセスの追究が困難であった。 本研究は、動物のメタ認知研究の知見を反映させたシミュレーションによる仮説探索と、その仮説に基づいた行動・神経記録実験による仮説の実証と神経機序の解明により、メタ認知の進化過程に関する妥当な仮説の提案を目指すものである。 2022年度は、まずメタ認知が何らかの形で学習や進化に寄与する条件をシミュレーションにより探索した。具体的には、記憶状態などの内部状態に基づいて行動を学習可能なメタ認知エージェントを設定し、学習・進化シミュレーションを行った。仮説探索では、強化学習のみ、もしくは記憶課題における遅延時間などの外的な手がかりしか参照できないエージェントに対し、生存・繁殖に追加でコストがかかるが、自身の記憶状態を直接参照できるメタ認知エージェントが有利となる条件を探索した。 その結果、課題において学習する必要のある刺激-反応連合の数が多い、もしくは記憶すべき刺激が複数の次元でコーディングする必要がある複合刺激である場合にメタ認知が進化することが示唆された。また、学習速度に関する興味深い知見として、メタ認知は刺激・反応関係が複雑な場面等の強化学習アルゴリズムが有効に働かない状況下で学習を促進するという機能を持つことを示唆する結果も得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は研究計画として予定していた通り、学習・進化シミュレーションに基づく仮説探索を実施し、メタ認知の進化に関与するであろう課題・環境パラメタの絞り込みと、それらの操作がメタ認知の機能や進化に及ぼすであろう影響についての仮説を得ることができた。さらに、ヒトとラットにおける仮説検証のための行動実験についても、一部前倒しで着手することができた。以上より、本研究は当初の計画よりも進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、2022年度に実施したシミュレーションによる仮説探索の結果に基づき、実験による仮説検証を進める。仮説検証は、マウス、ラット、ヒトを対象とした行動実験を用いて実施する。実験課題としては、遅延見本合わせ課題など、これまで申請者らが作成してきた課題を改変して利用する。各実験で、仮説探索で得た知見に基づいて課題に関する変数を操作し、予測通りの情報希求行動の変化が起こるかを検証する。仮説検証という意味では三つの対象種で同様の結果が得られることが期待されるが、変数操作への応答は種間で系統だって異なることが予想される。そのため、同一の変数操作に対する情報希求行動の応答の違いを種間で比較することで、メタ認知の進化過程について検討する。さらに、実験結果をシミュレーションにフィードバックし、情報希求行動における種差を計算モデルにおける特定のパラメタの違いに落とし込むことで、メタ認知の進化シナリオを提案する。
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