研究課題/領域番号 |
23K22375
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補助金の研究課題番号 |
22H01104 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
村井 祐基 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター, 研究員 (60847309)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
14,690千円 (直接経費: 11,300千円、間接経費: 3,390千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2022年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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キーワード | 視覚 / 心理物理学 / 脳波 / MRI / 知覚 / 意思決定 / 記憶 / 認知神経科学 / 知覚心理学 / 認知心理学 |
研究開始時の研究の概要 |
網膜に入力される視覚情報は、頭部・眼球運動や、瞬き、物体同士の遮蔽、照明環境の変化など様々な要因によるノイズを含んだ不連続な情報に過ぎない。しかし私たちが実際に感じているのは時間的・空間的に連続した安定的な世界である。視覚系の目的とは、乏しい網膜入力からいまありありと感じている豊かな時空間世界を作り出すことにほかならない。本研究では、事前情報を用いて現在のノイズにまみれた感覚情報を補正し、外界の情報を最適に推定する視覚情報処理メカニズムについて、知覚・判断・記憶の各段階の変容という観点から、心理物理学、計算論モデリング、脳機能・構造計測を用いて明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、現在の知覚が過去に知覚した内容と同じ方向へ偏っていく、知覚の系列依存性に関してその心理学的・神経メカニズムを主に個人差の観点から明らかにすることである。本年度はまず、当初計画の研究1にあたる行動実験を行った。具体的には、知覚の系列依存性とワーキングメモリの前向性干渉の関係性について調べた。同じ参加者を対象に複数回これら2つの現象について効果量を計測した結果、どちらの現象にも安定した個人差が見られた一方、現象間で効果量に相関はなかったことがベイズ統計によって示され、一見類似した両現象が独立したメカニズムによって生起していることが示唆された。次に、系列依存性の神経基盤を明らかにするため、脳波を用いた研究を行い、刺激観察前のアルファ波の位相によってこれから観察する刺激に対する系列依存性の効果量が変動すること、さらにこのアルファの位相と系列依存性のあいだの相関はさらに緩やかな2-3Hz程度の周期で変動することを発見した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は代表者が年度途中で所属機関を異動した影響がややあったものの、行動実験をはじめとして研究計画記載の研究が予定通りに進んだほか、購入した脳波計測システムを用いた研究も実施した。国際誌論文として総説1報、原著論文1報、さらに招待講演2件など対外成果発表も所期の目標以上に行った。他に国際誌論文が2報投稿中、2報準備中となっており、引き続き着実な成果発表が見込まれ、研究計画全体として概ね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
行動実験、脳波を用いた脳計測研究を引き続き実施し、行動実験の結果については論文化をすすめる。また当初研究計画に沿って、ベイズモデル等を用いた行動データのモデル化に取り組むほか、ウェアラブルアイトラッカーを用いた視環境の個人差と系列依存性の個人差を比べる研究をすすめるため、サンプルサイズ設計や解析手法の確立を目指し実験室内での眼球運動計測などの予備実験を行う。
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