網膜に入力される視覚情報は、頭部・眼球運動や、瞬き、物体同士の遮蔽、照明環境の変化など様々な要因によるノイズを含んだ不連続な情報に過ぎない。しかし私たちが実際に感じているのは時間的・空間的に連続した安定的な世界である。視覚系の目的とは、乏しい網膜入力からいまありありと感じている豊かな時空間世界を作り出すことにほかならない。本研究では、事前情報を用いて現在のノイズにまみれた感覚情報を補正し、外界の情報を最適に推定する視覚情報処理メカニズムについて、知覚・判断・記憶の各段階の変容という観点から、心理物理学、計算論モデリング、脳機能・構造計測を用いて明らかにする。
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