研究課題/領域番号 |
23K22387
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補助金の研究課題番号 |
22H01116 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
山田 泰彦 神戸大学, 理学研究科, 教授 (00202383)
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研究分担者 |
太田 泰広 神戸大学, 理学研究科, 教授 (10213745)
高山 信毅 神戸大学, 理学研究科, 教授 (30188099)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
2026年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2025年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 量子曲線 / モノドロミー保存変形 / 量子化 / 特殊関数 / ゲージ理論 / モノドロミー保全変形 / 離散系 / アフィンワイル群 / 量子モノドロミー保存変形 / AGT対応 / 分配関数 / パンルヴェ方程式 / 数え上げ幾何学 |
研究開始時の研究の概要 |
パンルヴェ方程式などのモノドロミー保存変形方程式は重要な非線形微分方程式であり、その差分化や量子化は現在の特殊関数論における最重要課題の1つと言える。この問題は共形場理論やゲージ理論等とも深く関連しており、こうした観点からも広く興味を持たれている。近年発見されたShakirov方程式は、q差分パンルヴェVI型方程式の量子化と同定でき、5次元ゲージ理論の分配関数との関連が期待される。これまでの研究により、Shakirov方程式の解がsl(2)型アフィンローモン空間の分配関数で与えられることを示した。こうした結果のsl(n)への拡張が重要な課題である。
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研究実績の概要 |
本研究の申請時に、「非可換な『量子曲線』の観点から離散パンルヴェ方程式を考察し、その量子化を目指す」ことを研究目的とした。また、「この問題が数学や数理物理の様々な分野と関連しており、それらとの相乗的発展が期待される」とした。申請時において、量子モノドロミー保存変形、特に差分系の場合の研究は限られたものであったが、2021年のS.Shakirovの結果を契機として新たな進展が生まれつつある。本年度の研究において、研究代表者は、粟田英資、長谷川浩司、菅野浩明、大川領、S.Shakirov、白石潤一との共同研究により、Shakirovが構成した方程式に関して、以下のことを明らかにした。(1) Shakirovの方程式はJimbo-Sakaiのq-変形パンルヴェVI型方程式の長谷川による量子化と等価である。(2) 方程式の背景にaffine D5型Weyl群の非可換変数による表現がある。(3) 自励的な場合に保存量が存在し、その保存量は期待される量子曲線と一致する。(4) 方程式の形は微分の場合(4dゲージ理論に対応)と大きく異なりqを1にする極限は非自明であるが、その極限を適切にとることができて微分の場合の結果を正しく再現する。さらに、AGT対応、微分の場合の結果、計算機実験等に基づいて、Shakirov方程式の級数解が5次元ゲージ理論の分配関数で表されることを予想し定式化した。 上記以外にも、以下の成果があった。山田は量子曲線をミラー対称性へ応用する計算手法について整理した。分担者の太田は離散非線形シュレーディンガー系について、rogue wave 解の構成を一般化した。分担者の高山は、交点数理論等を応用して Feynman 積分の研究を進展させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画ではWeyl群の非可換表現から導いた量子曲線についての研究(特にスペクトル等)を主要課題としていた。Shakirovの結果も包括するべく戦略を一部変更したことにより、より広い観点から問題が捉えられるようになった。その方向の研究は順調に進展中であり、Shakirov方程式に関する以下の結果を得た。(1) Shakirovの方程式はJimbo-Sakaiのq-変形パンルヴェVI型方程式の長谷川による量子化と等価である。(2) 方程式の背景にaffine D5型affine Weyl群の非可換変数による表現がある。(3) 自励的な場合に保存量が存在し、保存量が期待される量子曲線と一致する。(4) 方程式の形は微分の場合(4dゲージ理論に対応)と大きく異なりqを1にする極限は非自明であるが、その極限を適切にとることができて微分の場合の結果を正しく再現する。さらに、AGT対応、微分の場合の結果、計算機実験等に基づいて、Shakirov方程式の級数解が5次元ゲージ理論の分配関数で表されることを予想し定式化した。これらは次の論文としてarXivに発表し専門誌に投稿中である。 H.Awata, K.Hasegawa, H.Kanno, R.Ohkawa, S.Shakirov, J.Shiraishi, Y.Yamada, ``Non-stationary difference equation, affine Laumon space and quantization of discrete Painlev\'e equation" [arXiv:2211.16772]
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者は、粟田英資、長谷川浩司、菅野浩明、大川領、S.Shakirov、白石潤一との共同研究を継続し、Shakirovの方程式の構造を解明する。これと同時に、解に関する予想についても、その証明の手がかりが既に得られており、証明を完成させて論文にまとめることを目指す。
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