研究課題/領域番号 |
23K22407
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補助金の研究課題番号 |
22H01136 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
村重 淳 茨城大学, 基礎自然科学野, 教授 (40302749)
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研究分担者 |
片岡 武 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (20273758)
宝谷 英貴 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (30636808)
柿沼 太郎 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (70371755)
丸野 健一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80380674)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
14,300千円 (直接経費: 11,000千円、間接経費: 3,300千円)
2026年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2025年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 非線形波動 / 海洋波 / 数理モデル / 数値計算 / 流体力学 / 応用数学 / 数値解析 |
研究開始時の研究の概要 |
実際の海洋で発生するローグ波(外洋で突発的に現れる巨大な波)や内部波(密度成層により海洋の内部で発生する波)は,大型船や海洋構造物を破壊するほど大きなエネルギーを持つことが知られている.このようなダイナミックな海洋波の運動は,波面が時間とともに大きく変化する強非線形・非定常現象であるため,未だ解析方法が確立されていない.本研究では,海洋波の運動の本質を捉えた数理モデルの導出と解析を行い,実際の海洋で観察される非線形現象のメカニズムの解明を目標とする.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,振幅の大きいダイナミックな海洋波の非線形・非定常運動の解析に適した数理モデルの導出とその妥当性の検証である.令和5年度(2年目)は,以下の三つのテーマについて研究を実施した.研究成果は,発表論文8件(査読有6件,国際共著2件),学会発表25件(招待講演1件,国際講演14件)で公表されている. 1. 数理モデル:(1) 流体の密度差によって生じる重力流の数理モデルを導出した(村重).(2) 船舶の背後や地形を過ぎる流れにより励起される航跡波で観察される強い非線形現象を記述するための数学理論(指数漸近解析)を構築した(片岡).(3)解構造を保存する非線形波動方程式の離散化を提案した(丸野). 2. 数値計算:(1)重力流の複素解析に基づいた計算方法を提案した(村重).(2)航跡波の強い非線形現象を数値計算で示した(片岡).(3)波面のデータから内部流場を計算する方法を提案した(宝谷).(4)航空機が大型浮体空港上を移動する際に生成される浮体波を数値計算で調べた(柿沼).(5)弾性浮体と潜提を組み合わせた構造物の津波高さ低減効果について数値計算で調べた(柿沼).(6)多成分非線形波動方程式の自己適合移動格子スキームを提案した(丸野). 3. 実験:(1)航跡波の強い非線形現象を水槽実験で観察した(片岡).(2)水槽実験でステレオカメラにより波浪場を面的に計測する手法を開発した(宝谷). また,国際研究集会 Workshop on Nonlinear Water Waves and Related Topics を令和5年11月6日から10日に湘南国際村センター(神奈川県葉山町)で開催した.26名(海外:16名)の非線形水波に関する専門家が参加し,最近の研究成果を発表した.発表の一部は,学術誌 Water Waves の特集号の論文として公表される予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度(2年目)は,実施計画にしたがい,以下のように研究を進めた. 1. 数理モデル:研究対象とする非線形性の強い海洋波(重力流(密度差により生じる波),航跡波(船の背後に形成される波),ローグ波,津波など)に対する数理モデルの導出と,それらに対する理論的考察を行った. 2. 数値計算:上記の問題に対する数値計算法を開発し,その有効性を数値実験で示した. 3. 実験:非線形性の強い水波の運動を水槽実験で精度よく計測する方法を開発した. さらに,研究成果を公表して専門家と意見交換を行うために,秋(11月6日から10日)に湘南国際村センター(神奈川県葉山町)で国際研究集会を開催した.本研究集会では活発で有意義な議論が行われ,発表の一部は専門誌 Water Waves で公表される予定である.また,片岡氏の論文がトップジャーナル Physica D に掲載されたことは,特筆に値する.以上より,「おおむね順調に進展している」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終的な目標は,振幅の大きいダイナミックな海洋波の非線形・非定常運動の解析に適した数理モデルの導出とその妥当性の理論・実験・数値計算による検証である.今後は,実施計画にしたがいさらに研究を進める.具体的な推進方法を,以下にまとめる. 1. 数理モデル:2年目(令和5年度)までの研究で導出した非線形性の強い海洋波(重力流(密度差により生じる波),航跡波(船の背後に形成される波),ローグ波,津波など)に対する数理モデルの妥当性の検証を,理論的・数値的・実験的に行う. 2. 数値計算:上記の数理モデルの検証のための数値計算を実行する.また,検証に必要となる計算結果の誤差評価法を開発する. 3. 実験:上記の数理モデルの計算結果と比較可能な実験データ,特に精度のよい定量的なデータを得る. 4. 実施計画では4年目(令和7年度)に開催が予定されている国際研究集会(7月 at 神戸を予定)の準備を行う.
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