研究課題/領域番号 |
23K22442
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補助金の研究課題番号 |
22H01171 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
古川 信夫 青山学院大学, 理工学部, 教授 (00238669)
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研究分担者 |
丸山 勲 福岡工業大学, 情報工学部, 准教授 (20422339)
上田 宏 大阪大学, 量子情報・量子生命研究センター, 准教授 (40632758)
山本 大輔 日本大学, 文理学部, 准教授 (80603505)
宮原 慎 福岡大学, 理学部, 教授 (90365015)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 磁気光学応答 / トポロジカル磁性体 / 電気磁気効果 / トポロジカル磁気構造 / 量子もつれ / テンソルネットワーク法 / スピン軌道相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
トポロジカル性を持つ磁性体において特異的に見られると予想される、異常光学応答などの動的電気磁気効果について研究を行う。
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研究実績の概要 |
トポロジカルな磁気構造を持つ磁気スカーミオンの磁気光学応答を明らかにするためにDM相互作用が大きな系で量子スカーミオンを数値的に求め、古典系と同様にトポロジカル電荷によってスカーミオンが特徴づけられることを確認した。 量子子スピン系における磁気励起に伴う電場応答を明らかにするため、厳密対角法を用いて、Shastry-Sutherland模型におけるダイマー一重項相の磁気励起の電場活性過程について解析を行い、 実験で観測されている共鳴のピーク位置および選択則を説明することに成功した。 量子スピン1/2の反強磁性ハミルトニアンを強磁性体で実現する理論を明らかにした。ハミルトニアンは複雑になるが、これによって例えばスピン1/2反強磁性ハイゼンベルグ三角格子の量子スピン液体状態やその磁気励起状態を内包する強磁性ハミルトニアンが理論的に作成可能になる。その状態はマクロな縮退を持ち、自発的対称性の破れにより選ばれた状態はイジング状態とは異なり、元の量子スピン液体状態と同じ量子もつれをもつことが解明された。 強いスピン軌道相互作用(SOC)を持つ量子多体系の研究はトポロジカル相や磁気光学効果を理解するために重要である。原子気体を用いた人工的なSOC系を想定し、SOCの強さや運動量方向の自由度に対する格子Bose量子系の基底状態の振る舞いを求めた。異なる波数に凝縮した、固体結晶秩序と超流動秩序が共存した超固体状態が形成され、さらにその凝縮波数(固体秩序波数)のSOCパラメータ依存性が「悪魔の階段」と呼ばれる特異なフラクタル構造を取ることが明らかになった。 大規模量子スピン系に対する厳密対角化手法QS3において、摂動外場の印加に対する系の磁気応答を検証するための機能を追加した。また、電磁場に対する系のダイナミクスをテンソルネットワーク法で高度に検証するため、これの構造最適化を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の申請した研究計画が順調に進んでいる一方で、これの基盤となる種々の相互作用に関する新たな基礎知識、および新たなアイディアによる萌芽的研究が執り行われている。さらに、大規模数値計算を行う上での準備も着実に進んでいる。論文発表件数はまだ少ないものの、国際学会等における成果発表は着実に行っており、今後の論文発表につながる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
フラストレート系の量子スカーミオン状態は得られていないため、より高度・大規模な数値計算を行い、磁気光学応答の詳細を調査する。 Shastry-Sutherland模型の解析で得られた成果を、ハルデン相などのトポロジカルな系で発展させ、電場・磁場応答理論の確立および強磁性体拡張を行い、端状態に存在するトポロジカルな励起について解明していく。 SOCパラメータに対する「悪魔の階段」構造は、固体物質のように背景に格子構造を有する系一般に存在するUmklapp散乱に起因することが分かっている。したがって、電子系を含む他の多くのSOC多体系でも同様の物理が存在することが期待される。 キタエフ模型を始めとするトポロジカルに非自明な状態に対して、高度化した数値手法を適用し、それらの電場・磁場応答および磁気光学効果を解析する。
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